「お前のような奴を聖女と認めない」と婚約破棄されましたが、侯爵令息に拾われました。

21

ある日のこと、学園祭で演劇をすることになった私はヒロイン役に選ばれた。


「フィーナさん、頑張ってください！」


（はい！）


リリアナ様に応援してもらうと自信が出てきた。そしてついに本番の日がやってきた……


（うぅ……緊張するなぁ……）


舞台裏で出番を待っている間、私は緊張で震えていた。すると突然後ろから声をかけられた。


「フィーナちゃん、緊張してるみたいだね」


（えっ！？ カイル殿下！？）


驚いて振り返るとそこには笑顔を浮かべたカイル殿下の姿があった。彼は優しく微笑むと言った。


「大丈夫、フィーナちゃんは自信を持って演じればいいんだよ」


（うぅ……優しい）


彼の優しさに触れて心が落ち着くと少しだけ緊張がほぐれた気がした。そしてついに出番がやってきたので私は舞台の上に立つのだった……


「ふぅ……」


公演が終わり舞台裏に戻ると私は大きくため息をついた。するとリリアナ様が近づいてきた。


「お疲れ様でした」


（あっ！ リリアナ様）


彼女を見ると自然と笑顔になった。そして私たちは抱き合った。


（あぁ……もう幸せすぎるよぉ～！）


心の中で悶えていると彼女は私の頭を撫でながら言う。


「とても素敵な演技でしたよ！」


「ありがとうございます！」


リリアナ様に褒められてとても嬉しかった。すると彼女は私の手を引いた。


「次は私が主役を演じる舞台がありますので、是非見に来てください」


（えっ！？ 本当ですか！？）


驚きながらも私は頷いた。そしてリリアナ様は手を振って去っていくのだった……


「フィーナちゃん、お疲れ様」


「あっ！ カイル殿下」


学園祭も無事に終わり、私とリリアナ様は帰路につこうとしていた。するとそこにカイル殿下がやってきた。彼は微笑みながら言う。


「すごく良かったよ、フィーナちゃんの演技」


「ありがとうございます！」


素直に褒められて嬉しくなる。すると彼は言った。


「明日は暇？」


（えっ？）


唐突な質問に驚いているとカイル殿下はさらに言葉を続けた。


「実は俺の家でお茶会をするんだ、フィーナちゃんも来ないかい？」


（えぇっ！？）


驚いて固まっているとカイル殿下は申し訳なさそうに言う。


「もちろん無理にとは言わないよ、ただ君に来て欲しいと思っただけだから」


（うぅ……どうしよう？）


悩んでいるとリリアナ様は言った。


「行ってきてはいかがですか？ フィーナさんの演技をたくさんの方が褒めていましたよ」


（リリアナ様……）


彼女の後押しもあって私はお茶会に参加することになった。そして翌朝、私はカイル殿下の家を訪れた。出迎えてくれたメイドさんに案内されて部屋に入るとそこにはたくさんの人がいた。


（わぁ……すごい！）


その光景に驚いているとカイル殿下が話しかけてきた。


「いらっしゃい、待ってたよ」


（はい！）


緊張しながらも返事をすると彼は微笑んでくれた。そしてお茶会が始まる。


「フィーナちゃん、こっちにおいで！」


「あっ！ はい！」


カイル殿下が手招きしてくれたので私は彼の隣に座った。すると他の人たちが話しかけてくる。


「可愛らしい子ね」


「頑張っていましたよね」


様々な感想をもらって嬉しくなる。するとカイル殿下が話しかけてきた。


「フィーナちゃんの演技は素晴らしいよ、これからも頑張ってね」


「はい！」


褒められてさらに自信がついた私は笑顔で返事をした。すると今度はリリアナ様がやってくる。


「あっ！ リリアナ様だ！」


思わず駆け寄ると彼女は微笑んで言った。


「フィーナさん、とても素敵でしたよ」


「ありがとうございます！」


リリアナ様に褒められてとても嬉しかった。するとカイル殿下は微笑みながら言う。


「さて、そろそろ帰ろうか？」


私たちはお茶会を終えて屋敷に帰るのだった……