「お前のような奴を聖女と認めない」と婚約破棄されましたが、侯爵令息に拾われました。

22

学園祭から数日後、私はリリアナ様に誘われて森の中にある小さな湖に来ていた。そこで私たちは釣りを楽しんでいた。


「うわぁ……綺麗」


水面に反射する太陽の光が眩しくて目を細める。するとリリアナ様が話しかけてきた。


「フィーナさん、釣れますか？」


「うぅ……全然釣れません」


私は釣りが苦手なので上手くいかなかった。するとリリアナ様が竿を差し出してきた。


「フィーナさん、よかったら使ってください」


「えっ？」


驚いて彼女の顔を見ると優しい微笑みを浮かべていた。


「一緒に頑張りましょう！」


「うん！」


私は大きく頷いた。そして二人で釣りを始めるのだった……

しばらくして、リリアナ様の方が先に魚を釣り上げた。彼女は嬉しそうに笑みを浮かべると私の方を見て言った。


「フィーナさん、釣れましたよ！」


「わぁ……すごい！」


リリアナ様の釣り上げた魚はとても大きく、私のとは違い大きかった。私は羨ましく思った。


（うぅ……羨ましいなぁ）


するとリリアナ様は小さく笑いながら言った。


「フィーナさん、諦めないで頑張りましょう！」


「はい！」


リリアナ様の言葉に元気をもらいながら私は釣りを再開した。そしてついにその時が来た。


「フィーナさん、引いていますよ！」


「はい！」


リリアナ様が応援してくれて力が湧いてくる。そして私は勢いよく竿を引いた。すると水面から魚が飛び出してきた。


「わぁ！ すごいです！」


リリアナ様は嬉しそうに拍手をする。私はその期待に応えたくてさらに力を入れるのだった……

それから数分後、ついに釣り上げたのは巨大な魚だった！


「やったー！」


喜びのあまりその場で飛び跳ねる。その様子を見ていたリリアナ様は微笑みながら言った。


「フィーナさん、やりましたね！」


「はい！」


私は大きく頷くと、彼女はさらに言葉を続ける。


「フィーナさん、おめでとうございます」


「ありがとうございます！」


お礼を言うとリリアナ様は私を抱きしめてくれた。そして私たちは釣りを再開するのだった……


「そろそろお昼にしましょうか？」


リリアナ様がそう言ったので私は頷いた。


「そうだね、何か食べたいものはある？」


「えっと……それじゃあサンドイッチがいいです！」


私がそう言うとリリアナ様は優しく微笑みながら言った。


「分かりました、では用意しますね」


「お願いします！」


（楽しみだなぁ～）


そんなことを考えながら待っているとサンドイッチの載ったお皿を持ってやってきた。そして私たちはお昼ご飯にすることにした……

食事を終えると私は湖を見て回った。綺麗な景色に心を奪われているとリリアナ様が声をかけてくれた。


「フィーナさん、どうかしましたか？」


「あっ！ いえ……何でもないです！」


慌てて返事をすると彼女は首を傾げる。しかし私は誤魔化した。


（うぅ……恥ずかしくて言えないよ）


リリアナ様は首を傾げていたがやがて笑顔を浮かべると私の隣に立った。そして私の手を掴むと言った。


「少し歩きましょうか」


「はい！」


（リリアナ様と一緒に歩けるなんて嬉しいな）


そう思いながら彼女と一緒に森の中を散策するのだった……


「ふぅ……」


夜、お風呂に入り終えて脱衣所で髪を乾かしていた私は思わずため息をついた。


（今日も楽しかったな……）


学園祭で初めて舞台に立ってからというもの、演技力が評価されているようで劇の出演依頼が来るようになった。その度にリリアナ様が私と一緒に出演してくれたり、衣装を用意してくれたりと協力してくれるので本当に助かっていた。


（うぅ……疲れた）


一人になると疲労感に襲われる。しかしそれも仕方のないことなのかもしれない、だって学園祭が終わってから毎日のように仕事をしているのだから……それでも私はリリアナ様と一緒にいられることが嬉しかった。


（明日も頑張らないと！）


自分に喝を入れながら私は寝室に向かうのだった……