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番外編
前半アラン視点 後半ミナト視点 トーアの巣立ち
しおりを挟む「うっ、うぅ…ぐすっ」
ぐずぐずと鼻を鳴らしながらぽろぽろと涙を溢すミナトの顔を自分の胸に押し付けながらどうしたものかと思案する。
トーアの仕事も弟子入りという形だが決まり、引退する為に呼び寄せたミルマに粗方引き継ぎを済ませた。
このまま完全に引退。というわけにはなかなかいかず、暫くは相談役として籍はおかなくてはならないが休みは取りやすくなった。
その為今まで出来なかった家族旅行の計画をたてた。
発案者のトーアが学校を卒業するまであと1ヶ月。
なので期間は3週間と長めに。
ミナトもトーアも喜んで2人で頬を寄せ合って観光案内の本を読む姿はとても微笑ましかった。
だがその計画にソワソワとする者が1名。
ミルマだ。
数ヶ月前にトーアがミナトの作ったパフェを食べにギルドの食堂へ来たと職員から報告を受けてすぐにミナトの護衛であるルークが小走りで執務室へ入ってきた。
「変な感じはしない奴っすけど…ミナトさんが戦ってます!」
急いで食堂に向かうとにこにこと笑顔で話すミナトと古い付き合いの後輩がいた。
運命の相手だとミルマの顔をみればすぐにわかった。
喜ばしい事なのに頭の中には赤ん坊の頃のトーアが浮かんで手放しでは喜べなかったのだが最近ではミルマが不憫過ぎて同情してしまう。
トーアは人族であり見た目は俺に似ていても性格はミナトに似てゆったりのんびり。決断力はあるがおおらかで、ふわふわ系な小さい番が欲しいと本人は言っていたが親としては強くて逞しく、トーアを守ってくれる番が良いと思っていた。
その点ミルマは見た目通り屈強な強さと精神力があり、申し分ない収入もある。
気になるのは年の差くらいの理想のトーアの番なのだが、流石にミナトの息子。
気がつかないのだ。
平気で理想の番の話をするし、今回の旅行も「お土産買ってくるね。」とにっこりとして言い放つ。
自分の番が自覚していない状態で目の届かないところへ行く。
自分に置き換えて想像するだけでゾッとする。
しかし気づくと隣に寄り添い仲良くしているのは運命の番という事で惹かれ合うものがあるのだろう。
先日もミナト特製のパフェを並んで食べながら
「ミルマさんっていつも良い匂いするよね~。」
と首筋に鼻を寄せられているミルマを見かけて、もう本人に言ったらどうかと助言すると「心で惹かれ合いたい」なんて答えたミルマの眼差しはとても強く、それからは口を挟むのをやめた。
ミナトは初対面のときにミルマからトーアに一目惚れしたと聞かされそれをまるっと信じていて運命だとは思っていないようだが、ミルマの人柄に触れるたび、トーアが如何に可愛いか話し合うたびにミルマになついた。
今やミルマを応援していてトーアにもそれとなく勧めているようだがトーアからの返事は決まっていて。
「いや、俺人族だけどゴツいし。可愛くないしからかわれているだけでしょ。」
あれだけ「可愛い、愛しい、好きだ」と囁かれているのに愛されている自覚すらない。
そんな2人の事をミナトは気にしているが、最終的にはトーアが決める事だからと最近では優しい瞳で傍観に徹している。
いや、徹していた、だな。旅行前日の昨日までは。
今日になって2人に何があったのかはわからない。だがトーアは無事に自覚したのだろう。
「ごめんなさい旅行には行けない。ミルマのとこにいるから安心して。」
と急ぎの連絡が入ったので多少の心配はあるがミルマに任せることにする。
ミナトも無事に2人がくっついてホッとしたような笑顔を浮かべており、一緒に夕食を取りながら旅行は延期にするかと話し合う。
やっと結ばれたのだからミルマはしばらくトーアと一緒に過ごしたいだろう。
もしかしたらヒートに入ったのかもしれない。
先日引退したばかりだというのに5日程ギルマス代理として出勤することにし、連絡を入れて戻るとミナトの姿がみえない。
気配を辿っていくと今は使っていない物置部屋に座り込む姿を見つけた。
足音で気づいたのか振り返りもせずにポツポツと話し出す。
「いつもこのおくるみで抱っこしてたよね。抱っこしてないとぴーぴー泣いて、辛くて悲しくて一緒に泣いちゃったこともあったなぁ。」
「ねぇ、みて?このお洋服。小さいね。こんなに小さかったんだねぇ。」
トーアが書いた線だけの俺たちの絵。初めての靴。初めての手紙。沢山の思い出たちを眺めながら震える肩を抱き締めた。
暫く泣いて、落ち着いたのかそっと顔をあげてくるミナトの顔はお世辞にも綺麗とは言えないくらい涙と鼻水でぐちゃぐちゃで、胸に顔を押し付けて泣いたからか目元が擦れて腫れぼったく、ベッド以外では泣かせようとしない俺には新鮮だった。
それと同時に自分がこれから先もさせる事がないような表情を引き出したトーアに嫉妬した。
泣かせたいとは全く思わないが、愛する息子にさえ未だに嫉妬する自分に苦笑いし、そのまま抱き上げて胡座をかく自分の上に引き寄せ赤らむ目元に口付けを落とした。
「もしも…もしもね?二人のどちらかに運命の相手が現れたらどうしようって考えてた。二人共お互いを捨てるのかな…?」
あのミナトの記憶から抹消してしまいたい奴らの事を考えているのだろう。気まずそうに俯き目にかかる長めの前髪をかきあげる。
「確かにあの時は辛くて恨んだりもしたけど、アランに出会えて、出会うまでに起こったこと全部をひっくるめて運命だったんだって思えるようになったよ。でも、もしどちらかが運命と出会って、お別れしてその先ずーっと1人だったらって思ったら…悲しくなっちゃった。」
僕は運が良かっただけだ。そう言って唇を噛み締めて涙が溢れないようにしているミナトの唇を指で撫でる。
「運命に惹かれるのは仕方がないが、本当に想い合ってたら直ぐに捨てるなんてことはないさ。獣人だって馬鹿じゃない。最初の衝動さえ乗り切れば理性を持って話し合える。まぁ、話し合えても若いのは大体が別れ話だな。だが深く永く愛し合っていれば例外もあるのはわかるだろう?」
発情期に出会ってしまったらどんな奴でも番たいと思ってしまうのは仕方がないとは言えない。本当にあのルーラの領主には感謝している。ミナトを捨ててくれてありがとうと言いたいくらいだ。同時に殺したいほど憎いが。
「それにあの二人は運命の番だ。だからその心配はない。」
「え?」
吃驚した顔でこちらを見る可愛い顔にリップ音を大袈裟に鳴らしながら沢山のキスを降らせると邪魔そうに手で頬を押される。
「ねぇっ!それ本当?本当に2人は運命なの?」
目を合わせて頷いてやるといきなり脱力する。
「そっかぁ…運命かあ。…良かった。お父さんたちが運命に関係なく愛し合ってるのはわかるけど、本当に稀なのはわかるから。悲しい想いはして欲しくなかったから良かった…」
本当に良かったと呟いてぎゅうっと抱きついてくる細腕を取って首に回させこちらからも強く抱き締めた。
「みんなで住めるデカイ家でも建てるか。」
ここから少し離れてはしまうが所有している無駄に広い土地があるのだ。
「うーん、トーアたちはまだ結ばれたばっかりだし暫くはイチャイチャさせてあげよう?」
本当に良いのだろうか。
トーアが産まれてからミナトは良くも悪くもトーアを最優先に考えてきたし、行動してきた。それこそ血をわけた息子に対して醜く嫉妬してしまう程に。
「離れるのは淋しいだろう?」
二世帯、いや三世帯でも良いかもしれない。
腹の中ではミナトを独占したくて仕方がないのにミナトが淋しくないように何でもしてやりたくなるのは変わらない。
形の良い額に何度も口付ければくすぐったいのかクスクスと笑い声が洩れる。
「んーん。確かにトーアがこのお家出ちゃうのはすっごく淋しいけど、僕決めてたの。」
顔をあげたミナトに続きを促すと小さく微笑みながら話を続ける。
「トーアが産まれてからずっとずっと大切にしてきて、それと同時に色んな事後回しにしてた。アランが沢山我慢してくれてたのも気づいてたけど何も行動には移せなくて…アランなら大丈夫って甘えてた。母親として、完璧じゃないけど自分なりにやってきたつもり。でもアランの伴侶としてはダメダメだったから…」
あぁ。目尻に涙が溜まっている。泣かせたいわけじゃないのに。
無理して笑おうとして涙が一滴頬を伝う。
我慢、はしてきたと思う。だがミナトだって沢山我慢してきた。
甘えたくても親だからと頑張っていたし、この18年程で幼さ残る少年のようだったミナトは見た目も大人びて心も強くなった。
正直母親としても伴侶としても文句はないのだが、根強いマイナス思考はなかなか直らない。
「だから僕、トーアが巣立ったらアランと目一杯イチャイチャしてアランを沢山甘えさせてあげるって決めてたの。だから何でも言って。」
思わず目が点になった。あんなに恥ずかしがりやで未だにベッドでは羞恥心を隠せずモジモジしているのに、わかってて言っているのだろうか。
「せっかくだからな。遠慮なく頂こう。」
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
トスッと軽い音がして、見下ろしてくるアランを不思議に思って見つめるとニヤリと不敵な笑みで返される。
「何で僕押し倒されてるの?」
今から甘えるの?と両手を広げると一瞬真顔になって呆れたようなため息を吐いて、それからふにゃりと破顔して僕の胸に顔を埋める。
「ふふっ、アラン可愛い。」
けど重い。でもこの重みが暖かくて幸せで珍しく甘えんぼうのアランを可愛がる事にした。
最初は普通に可愛がってたんだ。ぎゅって胸にアランの頭を抱え込んで短めに刈り上げた髪をショリショリ掻いて、耳を撫でて、旋毛にキスして。
でも流石に重くなってきて、くるっと回転して貰ってアランの上へ。しばらくそのままイチャイチャしてたんだけどアランの手がシャツの裾から入ってきて不埒な動きをしてきて、「僕が可愛がるんでしょう?」
って言ったらお腹の上で体の向きを変えられてしまった。
「アランっ、トーアが帰ってくるからだめだよ。」
そう言ってからハッとした。トーアは短くとも1週間は帰ってこない。その後もミルマさんが離すとは思えない。
これはしばらく逃げられないじゃ...?
アランの上からぎこちなく振り返ると凄く楽しげな顔と目が合った。
「もうその言葉は言えないな?」
トーアが帰ってくる時間にアランにイタズラされたり熱の籠った目で見詰められたらいつもこう言って逃げてた。
獣族の人たちは性に奔放であまり気にしないで交わうみたいだけど、僕は同じ家に息子がいると思うと恥ずかしくてどうしてもダメで。
お母さんも恥ずかしそうにするけど、お父さんは僕たちがいても気にせずお母さんを連れて部屋に籠ったりグイグイいくから人それぞれなんだろうけど...
それにしても今まで何度逃げたのか。
アランには本当に沢山我慢させちゃってた。
僕は意を決してアランから目をそらしてゆっくりとズボンのボタンに手をかけた。
いつ見ても凶悪なそれをまじまじと見る機会は実はあまりなかった。
下着から取り出してまだ少し柔らかいところを両手で支えてぺろりと先端を舐めるとピクリと動く。
それに気を良くして大きく口を開いて鬼頭全体を咥え込むと括れているところに沿って舌先を動かした。
暫くそうしているとバキバキに硬くなっていく。
先端さえも口に収まらなくなってきて窪みをぐりぐりと刺激すればじんわりと出てくるカウパーをチュッと音を立てて舐め取った。
途端に鼻に抜ける僕の雄の匂い。
この匂いはお酒に酔ったみたいにふわふわになってしまう。
もっと舐めたくて、味わいたくて、少し垂れていた竿の部分を根元から舐めあげてアランを振り返った。
きっと僕は物欲しそうな顔をしているんだろうってギラギラしたアランの目を見て確信した。
ベッドボードに背中を預けたアランが僕の服を脱がせてくる。
優しく優しく触れてくれるアランがもどかしくて、腰をあげて協力したら吃驚した顔をしていたけれど僕も驚いている。
触れて欲しくて、繋がりたくて堪らない。
そう伝えると同時に蕾に熱い舌先が捩じ込まれた。
「あぁッ、や、あっ」
体格差があるからお尻ごと鷲掴みにされて持ち上げられひろげられて、恥ずかしいのに触りやすいように動いてしまう。
もう僕はアランの下腹部にぺったり顔をつけて目の前にあるそれに片手を添え竿の部分に舌を這わせる事しか出来ない。
それしか出来ないのにアランの愛撫は容赦なく、一度声が洩れると、もう舐める事すら出来なくて口からは絶えず甘い声が出る。
「んんッ、あっ、やぁッ」
「ミナト、口が動いてないぞ。可愛がってくれるんだろう?」
「ッや、だって、んうっも、無理ぃ」
三本目の指が難なく入ってグチュグチュと恥ずかしい音が部屋に響く頃には僕はもうアランの上で喘ぐだけだった。
熱に浮かされた顔をしてアランを見つめれば一度優しく抱き上げられシーツの上に仰向けになるように体制を変えてくれる。
口許をぬぐわれて、そこで初めて涎やアランのもので顔が酷い状態な事に気づく。
それなのにアランの瞳にはまだ熱が灯っていて、僕ももう体の疼きが我慢出来なくて気にしない事にして何度も何度もアランを求めたのだった。
起きたら体やベッドは綺麗さっぱり。着ているものはアランの大きなシャツ一枚だけだけどそれが逆に落ち着く。
ベッド脇の小さなテーブルには水と置き手紙があって挨拶と仕事に行く事と無理させてすまんと、あの見た目とは反対の小さくて整っている字で綴られていた。
昨夜というか今朝までお互いを求めていたのだが、トーアが生まれてから発情期以外でこんなにしたのは初めてで、ぽわっと顔が赤くなったのがわかる。
自分の恥ずかしい行為まで思い出しそうになって慌てて頭を振って家の掃除でもしようと起き上がろうとしたのだが腰が立たず、諦めて毛布にくるまった。
旅行の予定だったから暫くは仕事もお休みだ。
アランを甘えさせてあげたかったけど、やっぱり甘えまくってやる!と意気込んで暖かい陽の光を浴びながら微睡みの中に落ちていった。
それから一週間程たち、トーアが帰宅した。
モジモジとミルマさんとの事を報告してくれるトーアは世界一可愛い。
そんなトーアの肩を抱くミルマさんの顔はでれでれで、僕と同じ気持ちなんだなって思ったら淋しい気持ちがちょっぴり減った。
一応まだ学生のトーアは卒業までは家から通って、卒業したらミルマさんのお家に引っ越ししたいと言ってくれた。
番になったら直ぐに出ていっちゃうと思っていたから嬉しくて、アランから近場ならミルマさんも来れるだろうから一泊だけでも旅行に行くかと提案されてまた嬉しくて。
その日はトーアのベッドに潜り込んで一緒に寝たけどアランもトーアも何も言わなくて頑張って子離れしようと心に誓った。
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