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嵐のような「ざまぁ」劇から数日後。
ヴァン・ルーク公爵邸の庭園にある、ガラス張りの温室。
そこは、私がこの屋敷で最も気に入っている場所の一つだ。
色とりどりの花が咲き乱れ、中央のテーブルには、今日も専属シェフ特製の「季節のフルーツタルト」が用意されている。
「……平和だわ」
私は紅茶を啜り、しみじみと呟いた。
ジュリアンとリラは北へドナドナされ、王城の混乱も私の作成したマニュアル(とアレクセイ殿下の恐怖政治)によって沈静化しつつある。
私の手元には、国王陛下から贈られた「離宮の権利書」と、アレクセイ殿下との「新・王太子妃契約書(改訂版)」がある。
完璧だ。
私の人生設計は、多少の軌道修正(公爵夫人→王太子妃)はあったものの、概ね「勝利」と言っていいだろう。
「あとは、結婚式の準備を効率的に進めるだけね」
私は手元のリストをチェックした。
招待状の発送リスト。
料理のメニュー選定。
ドレスの仮縫い日程。
これらをいかに「短時間」で、「疲労を最小限」に抑えてクリアするか。それが今の私のミッションだ。
「……相変わらず、色気のない顔をしているな」
不意に、背後から声をかけられた。
振り返ると、夕日を背に浴びて、アレクセイ殿下が立っていた。
今日の彼は、いつものきっちりとした執務服ではなく、少しラフなシャツ姿だ。前髪も少し下ろしており、その無防備な姿にドキリとする。
「お疲れ様です、殿下。お茶にしますか?」
「ああ。もらう」
彼は私の向かいに座ると、私が差し出したカップを受け取った。
「結婚式の準備か?」
「はい。無駄を省くために、来賓の挨拶は一人三分までと決めました。長いスピーチは料理が冷める原因ですので」
私が淡々と報告すると、殿下はカップを置き、深いため息をついた。
「……メリーナ」
「はい? 何か不備が?」
「仕事の話は止めろ」
「え?」
「今は『定時外』だ。契約書に基づき、業務の話は禁止する」
彼は真剣な顔で言った。
私はきょとんとする。
「では、何を話せば? 明日の天気の話でも?」
「……はぁ」
彼はまた一つため息をつくと、立ち上がり、私の隣の席へと移動してきた。
そして、私の手からペンを取り上げ、テーブルの端に置いた。
「メリーナ。……お前は、本当に鈍いな」
「鈍い? 私の計算能力は王国のトップクラスですが」
「感情の話だ」
彼は私の手を取り、その指先を弄ぶように撫でた。
その手つきが妙に艶かしくて、背筋がゾクゾクする。
「ここ数日、私はお前に何度もサインを送っていたつもりなんだがな」
「サイン……?」
「『好きだ』と言ったり、キスをしたり、抱きしめたりしただろう」
「あ、あれは『演技』とか『再交渉の条件』ですよね?」
私が確認すると、殿下はガックリと肩を落とした。
「……これだから、合理主義者は」
彼は苦笑し、そしてスッと表情を改めた。
その瞳から、いつもの「冷徹な計算高さ」が消え、代わりに見たこともないほど柔らかな光が宿る。
「メリーナ。……訂正させてくれ」
「訂正?」
「私は今まで、お前との関係を『契約』だの『雇用』だのと言ってきた。それは、そう言えばお前が納得して私のそばにいてくれると思ったからだ」
彼は私の目を真っ直ぐに見つめた。
「だが、それは私の本心の一部でしかない」
「……」
「私は、お前の能力が欲しいわけじゃない」
「えっ? じゃあ、私の価値って……」
「お前が欲しい」
ドクン、と心臓が跳ねた。
彼は私の手を強く握りしめた。
「お前が隣にいないと、世界が色褪せて見える。お前が笑っていないと、どんな成功も虚しく感じる。……お前が食べたそうにしているタルトを、一番に食べさせてやりたいと思う」
「……殿下」
「これは『氷の公爵』としての判断ではない。ただの男としての、どうしようもない感情だ」
彼はポケットから、小さなベルベットの箱を取り出した。
パカッ。
中に入っていたのは、以前の契約時に見せた「公爵家の印章指輪」ではない。
淡いピンク色のダイヤモンドが輝く、繊細で、美しい指輪だった。
「これは……」
「ピンクダイヤだ。……リラの色だと言って嫌がるかと思ったが、これは『桜』の色だと言われてな。春の陽だまりのようなお前に似合うと思った」
「……春の陽だまり……私に?」
「ああ。お前は私にとっての春だ。凍てついた私の人生を、勝手に溶かしていった」
彼は箱から指輪を取り出し、私の左手の薬指に、震える手で通した。
サイズは驚くほどぴったりだった。
「メリーナ・アシュフォード。……契約書など破り捨ててもいい。年俸も、条件も関係なく……ただ、私の妻になってくれないか?」
「……っ」
言葉が出なかった。
これは、反則だ。
「好条件」や「メリット」で攻められることには慣れている。計算できるからだ。
でも、こんな……こんな不器用で、真っ直ぐな「愛」をぶつけられたら、計算機が壊れてしまう。
「……ず、ずるいです」
私は下を向いた。
視界が滲む。
「そんな言い方されたら……『いいえ』なんて、言えるわけないじゃないですか……」
「……受けてくれるか?」
「当たり前です! ……だって、私も……」
私は勇気を出して、顔を上げた。
「私も、殿下のことが……大好きになっちゃったんですから!」
言ってしまった。
顔から火が出るほど恥ずかしい。
でも、殿下はそれを聞いて、まるで少年のような満面の笑みを浮かべた。
氷が解けるどころではない。
花が一斉に咲き誇るような、眩しい笑顔だ。
「……そうか」
彼は私を力強く抱き寄せた。
「ありがとう、メリーナ。……愛している」
「私もです、アレクセイ様」
私たちは温室の中で、長く、深く口づけを交わした。
今度のキスは、契約のオプションでも、演技でもない。
ただ互いの体温を感じ、心を溶かし合うための、甘い甘い口づけだった。
「……ん」
唇が離れると、アレクセイ様は私の耳元で囁いた。
「これで名実ともに、お前は私のものだ」
「はい。……覚悟しました」
「だが、約束は守るぞ。スイーツも、定時退社もな」
「あ、そこは有効なんですね?」
「当然だ。私の愛する妻を過労死させるわけにはいかないからな」
彼はニヤリと笑った。
「その代わり……夜の『定時後』は、私のために時間を割いてもらうが?」
「……具体的には?」
「そうだな。とりあえず、子作り計画の前倒しとか」
「ちょ、却下です! まだ早いです!」
私が慌てて突き飛ばすと、彼は楽しそうに笑い声を上げた。
その笑い声は、かつての冷たい「氷の公爵」のものとは全く違っていた。
温かくて、幸せに満ちた響き。
(……まいったな)
私は左手の指輪を見つめた。
キラキラと輝くピンクダイヤ。
カブ畑で一人で生きるのも悪くなかったかもしれないけれど。
この、ちょっと強引で、でも最高に私を甘やかしてくれる旦那様と一緒なら、波乱万丈な王城生活も悪くないかもしれない。
「さあ、帰ろうメリーナ。夕食の時間だ」
「はい! 今夜は何ですか?」
「お前の好きなハンバーグだ。チーズ乗せだぞ」
「やったー!!」
私は思わずガッツポーズをした。
アレクセイ様はそんな私を愛おしそうに見つめ、手を繋いで歩き出した。
二人の影が、夕日の中に長く伸びていく。
もう、不安はない。
私たちの前には、甘くて、忙しくて、でも最高に幸せな未来が待っているのだから。
ヴァン・ルーク公爵邸の庭園にある、ガラス張りの温室。
そこは、私がこの屋敷で最も気に入っている場所の一つだ。
色とりどりの花が咲き乱れ、中央のテーブルには、今日も専属シェフ特製の「季節のフルーツタルト」が用意されている。
「……平和だわ」
私は紅茶を啜り、しみじみと呟いた。
ジュリアンとリラは北へドナドナされ、王城の混乱も私の作成したマニュアル(とアレクセイ殿下の恐怖政治)によって沈静化しつつある。
私の手元には、国王陛下から贈られた「離宮の権利書」と、アレクセイ殿下との「新・王太子妃契約書(改訂版)」がある。
完璧だ。
私の人生設計は、多少の軌道修正(公爵夫人→王太子妃)はあったものの、概ね「勝利」と言っていいだろう。
「あとは、結婚式の準備を効率的に進めるだけね」
私は手元のリストをチェックした。
招待状の発送リスト。
料理のメニュー選定。
ドレスの仮縫い日程。
これらをいかに「短時間」で、「疲労を最小限」に抑えてクリアするか。それが今の私のミッションだ。
「……相変わらず、色気のない顔をしているな」
不意に、背後から声をかけられた。
振り返ると、夕日を背に浴びて、アレクセイ殿下が立っていた。
今日の彼は、いつものきっちりとした執務服ではなく、少しラフなシャツ姿だ。前髪も少し下ろしており、その無防備な姿にドキリとする。
「お疲れ様です、殿下。お茶にしますか?」
「ああ。もらう」
彼は私の向かいに座ると、私が差し出したカップを受け取った。
「結婚式の準備か?」
「はい。無駄を省くために、来賓の挨拶は一人三分までと決めました。長いスピーチは料理が冷める原因ですので」
私が淡々と報告すると、殿下はカップを置き、深いため息をついた。
「……メリーナ」
「はい? 何か不備が?」
「仕事の話は止めろ」
「え?」
「今は『定時外』だ。契約書に基づき、業務の話は禁止する」
彼は真剣な顔で言った。
私はきょとんとする。
「では、何を話せば? 明日の天気の話でも?」
「……はぁ」
彼はまた一つため息をつくと、立ち上がり、私の隣の席へと移動してきた。
そして、私の手からペンを取り上げ、テーブルの端に置いた。
「メリーナ。……お前は、本当に鈍いな」
「鈍い? 私の計算能力は王国のトップクラスですが」
「感情の話だ」
彼は私の手を取り、その指先を弄ぶように撫でた。
その手つきが妙に艶かしくて、背筋がゾクゾクする。
「ここ数日、私はお前に何度もサインを送っていたつもりなんだがな」
「サイン……?」
「『好きだ』と言ったり、キスをしたり、抱きしめたりしただろう」
「あ、あれは『演技』とか『再交渉の条件』ですよね?」
私が確認すると、殿下はガックリと肩を落とした。
「……これだから、合理主義者は」
彼は苦笑し、そしてスッと表情を改めた。
その瞳から、いつもの「冷徹な計算高さ」が消え、代わりに見たこともないほど柔らかな光が宿る。
「メリーナ。……訂正させてくれ」
「訂正?」
「私は今まで、お前との関係を『契約』だの『雇用』だのと言ってきた。それは、そう言えばお前が納得して私のそばにいてくれると思ったからだ」
彼は私の目を真っ直ぐに見つめた。
「だが、それは私の本心の一部でしかない」
「……」
「私は、お前の能力が欲しいわけじゃない」
「えっ? じゃあ、私の価値って……」
「お前が欲しい」
ドクン、と心臓が跳ねた。
彼は私の手を強く握りしめた。
「お前が隣にいないと、世界が色褪せて見える。お前が笑っていないと、どんな成功も虚しく感じる。……お前が食べたそうにしているタルトを、一番に食べさせてやりたいと思う」
「……殿下」
「これは『氷の公爵』としての判断ではない。ただの男としての、どうしようもない感情だ」
彼はポケットから、小さなベルベットの箱を取り出した。
パカッ。
中に入っていたのは、以前の契約時に見せた「公爵家の印章指輪」ではない。
淡いピンク色のダイヤモンドが輝く、繊細で、美しい指輪だった。
「これは……」
「ピンクダイヤだ。……リラの色だと言って嫌がるかと思ったが、これは『桜』の色だと言われてな。春の陽だまりのようなお前に似合うと思った」
「……春の陽だまり……私に?」
「ああ。お前は私にとっての春だ。凍てついた私の人生を、勝手に溶かしていった」
彼は箱から指輪を取り出し、私の左手の薬指に、震える手で通した。
サイズは驚くほどぴったりだった。
「メリーナ・アシュフォード。……契約書など破り捨ててもいい。年俸も、条件も関係なく……ただ、私の妻になってくれないか?」
「……っ」
言葉が出なかった。
これは、反則だ。
「好条件」や「メリット」で攻められることには慣れている。計算できるからだ。
でも、こんな……こんな不器用で、真っ直ぐな「愛」をぶつけられたら、計算機が壊れてしまう。
「……ず、ずるいです」
私は下を向いた。
視界が滲む。
「そんな言い方されたら……『いいえ』なんて、言えるわけないじゃないですか……」
「……受けてくれるか?」
「当たり前です! ……だって、私も……」
私は勇気を出して、顔を上げた。
「私も、殿下のことが……大好きになっちゃったんですから!」
言ってしまった。
顔から火が出るほど恥ずかしい。
でも、殿下はそれを聞いて、まるで少年のような満面の笑みを浮かべた。
氷が解けるどころではない。
花が一斉に咲き誇るような、眩しい笑顔だ。
「……そうか」
彼は私を力強く抱き寄せた。
「ありがとう、メリーナ。……愛している」
「私もです、アレクセイ様」
私たちは温室の中で、長く、深く口づけを交わした。
今度のキスは、契約のオプションでも、演技でもない。
ただ互いの体温を感じ、心を溶かし合うための、甘い甘い口づけだった。
「……ん」
唇が離れると、アレクセイ様は私の耳元で囁いた。
「これで名実ともに、お前は私のものだ」
「はい。……覚悟しました」
「だが、約束は守るぞ。スイーツも、定時退社もな」
「あ、そこは有効なんですね?」
「当然だ。私の愛する妻を過労死させるわけにはいかないからな」
彼はニヤリと笑った。
「その代わり……夜の『定時後』は、私のために時間を割いてもらうが?」
「……具体的には?」
「そうだな。とりあえず、子作り計画の前倒しとか」
「ちょ、却下です! まだ早いです!」
私が慌てて突き飛ばすと、彼は楽しそうに笑い声を上げた。
その笑い声は、かつての冷たい「氷の公爵」のものとは全く違っていた。
温かくて、幸せに満ちた響き。
(……まいったな)
私は左手の指輪を見つめた。
キラキラと輝くピンクダイヤ。
カブ畑で一人で生きるのも悪くなかったかもしれないけれど。
この、ちょっと強引で、でも最高に私を甘やかしてくれる旦那様と一緒なら、波乱万丈な王城生活も悪くないかもしれない。
「さあ、帰ろうメリーナ。夕食の時間だ」
「はい! 今夜は何ですか?」
「お前の好きなハンバーグだ。チーズ乗せだぞ」
「やったー!!」
私は思わずガッツポーズをした。
アレクセイ様はそんな私を愛おしそうに見つめ、手を繋いで歩き出した。
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