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王都の夜会で前代未聞の「請求書付き婚約破棄」を成し遂げたルアーノは、その足で実家であるヴァレンティ公爵邸へと帰還した。
帰りの馬車には、なぜか当然のように国の筆頭魔術師ギルバート・クライヴが同乗していたが、ルアーノは彼を「高性能な護衛兼草刈り機」として認識し直したため、特に気にする様子もない。
屋敷に到着すると、ルアーノは執事に短く告げた。
「お父様は?」
「執務室にいらっしゃいます。決算期ですので」
「ちょうどよかったわ。報告事項があります」
ルアーノは足早に廊下を進む。
背後でギルバートが物珍しそうに屋敷の中を見回しながらついてくる。
「……随分と静かな屋敷だな。娘が婚約破棄されて帰ってきたというのに、騒ぎにもなっていない」
「うちは『感情』よりも『事実』を優先しますので。騒いだところで事実は変わりませんし、カロリーの無駄です」
「なるほど。徹底しているな」
ルアーノは重厚な扉の前で足を止め、ノックもそこそこに扉を開け放った。
「お父様、ただいま戻りました」
執務室の中は、書類の山で埋もれていた。
その奥のデスクで、ルアーノによく似た鋭い目つきの初老の男――ヴァレンティ公爵が、片眼鏡を光らせてペンを走らせている。
彼は顔も上げずに言った。
「遅かったな。夜会はどうだった? あの無能な王太子は、また何かやらかしたか?」
「ええ、想定の範囲内です。本日付で婚約破棄となりました」
ピタリ、と公爵の手が止まる。
部屋に沈黙が落ちた。
後ろに控えていたギルバートが、少しだけ身構える。
さすがに公爵だ、娘が王家との縁を切られたとなれば、激怒するか、あるいは嘆き悲しむか……。
しかし、公爵の口から出た言葉は、ギルバートの予想を遥かに超えていた。
「……で、いくら取れた?」
「慰謝料、および過去の経費精算を含めて、金貨三千枚です。支払い期限は今月末」
ルアーノが、アレクセイから奪い取ったサイン入りの合意書をデスクに置く。
公爵はそれを手に取り、素早い視線で内容を確認すると、ニヤリと口角を上げた。
「ほう。あのバカ王子からこれだけの額をふんだくるとは、いい仕事をしたな。金貨三千枚か……ふむ。当初の投資額を差し引いても、利回りは悪くない」
「ええ。これ以上の継続保有は『損切り』のタイミングを逃すと判断しました。彼は将来的に価値が下がる一方の『減価償却資産』ですから」
「違いない。王家との縁など、見栄という名の維持費がかかるばかりで、実益が薄い。よくぞ切ってくれた」
「恐縮です」
似た者親子である。
ギルバートは呆れを通り越して感心していた。
この親にしてこの子あり。
ヴァレンティ家において、王太子との婚約破棄は「悲劇」ではなく「賢明な事業撤退」として処理されているらしい。
ようやく公爵が顔を上げ、ルアーノの背後にいるギルバートに気づいた。
「ん? そっちの男は誰だ。新しい使用人か?」
「あ、ご紹介が遅れました。彼、ギルバート様です」
「ギルバート……? どこかで聞いた名だな」
「『氷の魔術師』と呼ばれる辺境伯の方ですわ。これからの領地経営において、雑草処理と空調管理を担当していただくことになりました」
ルアーノの紹介に、ギルバートが思わず咳払いをする。
「……訂正させてくれ。俺は雑草処理係になった覚えはないぞ。あくまで『見学』と『協力』だ」
公爵は片眼鏡の位置を直しながら、ギルバートをじろじろと値踏みするように見つめた。
「筆頭魔術師殿か。噂は聞いている。動く戦略兵器と名高い貴殿が、なぜうちの娘などに?」
「娘さんの合理的な思考に惚れ込みましてね。ぜひ側で観察させていただきたいと思い、押しかけました」
ギルバートが不敵な笑みで答える。
公爵はふむ、と顎を撫でた。
「物好きなことだ。だが、貴殿ほどの魔術師が辺境についてきてくれるのなら、警備費が大幅に削減できるな。……よかろう、許可する」
「ありがとうございます。……ん? 許可?」
「ただし、食費は自腹で頼む。うちは無駄飯食らいを置く余裕はないのでな」
「……あ、あぁ。承知した」
ギルバートは苦笑した。
この父親もまた、ルアーノと同じくブレない男のようだ。
「話は決まりましたね」
ルアーノはパンと手を叩いた。
「ではお父様。私は明日早くに領地へ向かいます。王都にいると、元婚約者(アレクセイ)や自称ヒロイン(ミーナ)が騒ぎ立てて面倒ですので」
「それがいい。奴らはどうせ、『悪役令嬢が逃げ出した』などとあることないこと吹聴するだろうが」
「構いませんわ。悪名は無名に勝ります。知名度が上がれば、うちの領地の特産品も宣伝しやすくなるというものです」
「さすが我が娘。転んでもただでは起きんな」
公爵は満足げに頷き、引き出しから一枚の書類を取り出した。
「ならば、これを渡しておこう」
「これは?」
「領地の全権委任状だ。お前が好きに開発し、好きに稼ぐといい。ただし――」
公爵の目が鋭く光る。
「3年以内に領地の収益を倍増させること。それができなければ、王都に連れ戻して、どこかの金持ちの爺さんにでも嫁がせるぞ」
通常なら脅し文句だが、ルアーノにとってはこれ以上ない発破(はっぱ)だった。
彼女の瞳が、チャリンと音を立てて輝く。
「倍増どころか、3倍にしてみせますわ。見ていてください、お父様」
「期待しているぞ」
こうして、ルアーノの王都撤退戦および辺境進出計画は、公爵の全面的なバックアップ(という名の利益追求)のもと、承認されたのだった。
***
翌朝。
まだ空が白み始めたばかりの早朝。
ヴァレンティ公爵邸の裏門から、一台の馬車がひっそりと出発した。
荷台には、ルアーノの身の回りの品と、大量の専門書、そしてなぜかギルバートの実験道具が積み込まれている。
「……本当に大量の荷物だな」
馬車の中で、向かいに座ったギルバートが呆れたように言った。
「必要経費です。辺境には娯楽がありませんから、本と研究道具は必須でしょう?」
「それは同意するが、君の荷物の半分が『帳簿』と『電卓の予備』なのはどうなんだ」
「命の次に大事なものですから」
ルアーノは澄ました顔で答え、窓の外を流れる王都の景色を眺めた。
きらびやかな街並み。
王城の尖塔。
それらが遠ざかっていくにつれて、胸のつかえが取れていくようだ。
「……せいせいしました」
「ん?」
「あの街には、無駄が多すぎました。虚飾、嫉妬、足の引っ張り合い。生産性のないお茶会。……これからは、自分のやったことがすべて数字として返ってくる。こんなに楽しみなことはありません」
ルアーノが珍しく、年相応の(といっても内容は商魂たくましいが)無邪気な笑顔を見せた。
朝日に照らされたその横顔を見て、ギルバートはふっと目を細める。
「君は、本当に『悪役令嬢』と呼ばれていたのか?」
「ええ。ミーナ様にとってはそうだったのでしょうね。彼女がサボろうとするのを阻止し、甘えようとするのを正論で斬り捨ててきましたから」
「それは教育的指導と言うんじゃないか?」
「受け取る側が『いじめ』だと感じれば、世間ではそう認定されるのです。非合理な話ですが」
ルアーノは肩をすくめる。
「でも、悪役で結構ですわ。いい子ちゃんでいるより、悪役の方が自由で、何より儲かりますもの」
「くくっ……違いない」
ギルバートが楽しそうに笑う。
この男、やはり少し感覚がズレているようだ。
普通なら引くところだろうに。
「さて、辺境までは馬車で五日。長い旅になりますね」
ルアーノが予定表を確認しようとした時だった。
ギルバートが指をパチンと鳴らした。
「五日? そんなにかかるのか。それは非効率だ」
「はい? ですが、地理的に……」
「俺がいるのを忘れていないか?」
ギルバートの手から、青白い魔力が溢れ出す。
それが馬車全体を包み込んだかと思うと、車輪の下に氷のレールのようなものが形成された。
「しっかり掴まっていろよ。俺の『氷結滑走(アイス・スライド)』なら、半日で着く」
「は……?」
ルアーノが言葉を発する間もなく、馬車はごうっ! という音と共に急加速した。
普通の馬車ではありえない速度。
まるでジェットコースターだ。
「きゃあああああああ!? 馬! お馬さんが驚いてますわ!?」
「安心しろ、馬の足元も強化魔法でサポート済みだ! さあ行くぞ、スローライフ(爆速)へ!」
「ちょ、速すぎます! 風圧で計算機が飛びますわーーーッ!!」
王都の門番たちは、早朝の街道を青い光の帯となって疾走する謎の馬車を目撃し、「あ、新しい魔獣か!?」と腰を抜かしたという。
こうしてルアーノとギルバートは、常識も物理法則も置き去りにして、領地へと旅立ったのである。
帰りの馬車には、なぜか当然のように国の筆頭魔術師ギルバート・クライヴが同乗していたが、ルアーノは彼を「高性能な護衛兼草刈り機」として認識し直したため、特に気にする様子もない。
屋敷に到着すると、ルアーノは執事に短く告げた。
「お父様は?」
「執務室にいらっしゃいます。決算期ですので」
「ちょうどよかったわ。報告事項があります」
ルアーノは足早に廊下を進む。
背後でギルバートが物珍しそうに屋敷の中を見回しながらついてくる。
「……随分と静かな屋敷だな。娘が婚約破棄されて帰ってきたというのに、騒ぎにもなっていない」
「うちは『感情』よりも『事実』を優先しますので。騒いだところで事実は変わりませんし、カロリーの無駄です」
「なるほど。徹底しているな」
ルアーノは重厚な扉の前で足を止め、ノックもそこそこに扉を開け放った。
「お父様、ただいま戻りました」
執務室の中は、書類の山で埋もれていた。
その奥のデスクで、ルアーノによく似た鋭い目つきの初老の男――ヴァレンティ公爵が、片眼鏡を光らせてペンを走らせている。
彼は顔も上げずに言った。
「遅かったな。夜会はどうだった? あの無能な王太子は、また何かやらかしたか?」
「ええ、想定の範囲内です。本日付で婚約破棄となりました」
ピタリ、と公爵の手が止まる。
部屋に沈黙が落ちた。
後ろに控えていたギルバートが、少しだけ身構える。
さすがに公爵だ、娘が王家との縁を切られたとなれば、激怒するか、あるいは嘆き悲しむか……。
しかし、公爵の口から出た言葉は、ギルバートの予想を遥かに超えていた。
「……で、いくら取れた?」
「慰謝料、および過去の経費精算を含めて、金貨三千枚です。支払い期限は今月末」
ルアーノが、アレクセイから奪い取ったサイン入りの合意書をデスクに置く。
公爵はそれを手に取り、素早い視線で内容を確認すると、ニヤリと口角を上げた。
「ほう。あのバカ王子からこれだけの額をふんだくるとは、いい仕事をしたな。金貨三千枚か……ふむ。当初の投資額を差し引いても、利回りは悪くない」
「ええ。これ以上の継続保有は『損切り』のタイミングを逃すと判断しました。彼は将来的に価値が下がる一方の『減価償却資産』ですから」
「違いない。王家との縁など、見栄という名の維持費がかかるばかりで、実益が薄い。よくぞ切ってくれた」
「恐縮です」
似た者親子である。
ギルバートは呆れを通り越して感心していた。
この親にしてこの子あり。
ヴァレンティ家において、王太子との婚約破棄は「悲劇」ではなく「賢明な事業撤退」として処理されているらしい。
ようやく公爵が顔を上げ、ルアーノの背後にいるギルバートに気づいた。
「ん? そっちの男は誰だ。新しい使用人か?」
「あ、ご紹介が遅れました。彼、ギルバート様です」
「ギルバート……? どこかで聞いた名だな」
「『氷の魔術師』と呼ばれる辺境伯の方ですわ。これからの領地経営において、雑草処理と空調管理を担当していただくことになりました」
ルアーノの紹介に、ギルバートが思わず咳払いをする。
「……訂正させてくれ。俺は雑草処理係になった覚えはないぞ。あくまで『見学』と『協力』だ」
公爵は片眼鏡の位置を直しながら、ギルバートをじろじろと値踏みするように見つめた。
「筆頭魔術師殿か。噂は聞いている。動く戦略兵器と名高い貴殿が、なぜうちの娘などに?」
「娘さんの合理的な思考に惚れ込みましてね。ぜひ側で観察させていただきたいと思い、押しかけました」
ギルバートが不敵な笑みで答える。
公爵はふむ、と顎を撫でた。
「物好きなことだ。だが、貴殿ほどの魔術師が辺境についてきてくれるのなら、警備費が大幅に削減できるな。……よかろう、許可する」
「ありがとうございます。……ん? 許可?」
「ただし、食費は自腹で頼む。うちは無駄飯食らいを置く余裕はないのでな」
「……あ、あぁ。承知した」
ギルバートは苦笑した。
この父親もまた、ルアーノと同じくブレない男のようだ。
「話は決まりましたね」
ルアーノはパンと手を叩いた。
「ではお父様。私は明日早くに領地へ向かいます。王都にいると、元婚約者(アレクセイ)や自称ヒロイン(ミーナ)が騒ぎ立てて面倒ですので」
「それがいい。奴らはどうせ、『悪役令嬢が逃げ出した』などとあることないこと吹聴するだろうが」
「構いませんわ。悪名は無名に勝ります。知名度が上がれば、うちの領地の特産品も宣伝しやすくなるというものです」
「さすが我が娘。転んでもただでは起きんな」
公爵は満足げに頷き、引き出しから一枚の書類を取り出した。
「ならば、これを渡しておこう」
「これは?」
「領地の全権委任状だ。お前が好きに開発し、好きに稼ぐといい。ただし――」
公爵の目が鋭く光る。
「3年以内に領地の収益を倍増させること。それができなければ、王都に連れ戻して、どこかの金持ちの爺さんにでも嫁がせるぞ」
通常なら脅し文句だが、ルアーノにとってはこれ以上ない発破(はっぱ)だった。
彼女の瞳が、チャリンと音を立てて輝く。
「倍増どころか、3倍にしてみせますわ。見ていてください、お父様」
「期待しているぞ」
こうして、ルアーノの王都撤退戦および辺境進出計画は、公爵の全面的なバックアップ(という名の利益追求)のもと、承認されたのだった。
***
翌朝。
まだ空が白み始めたばかりの早朝。
ヴァレンティ公爵邸の裏門から、一台の馬車がひっそりと出発した。
荷台には、ルアーノの身の回りの品と、大量の専門書、そしてなぜかギルバートの実験道具が積み込まれている。
「……本当に大量の荷物だな」
馬車の中で、向かいに座ったギルバートが呆れたように言った。
「必要経費です。辺境には娯楽がありませんから、本と研究道具は必須でしょう?」
「それは同意するが、君の荷物の半分が『帳簿』と『電卓の予備』なのはどうなんだ」
「命の次に大事なものですから」
ルアーノは澄ました顔で答え、窓の外を流れる王都の景色を眺めた。
きらびやかな街並み。
王城の尖塔。
それらが遠ざかっていくにつれて、胸のつかえが取れていくようだ。
「……せいせいしました」
「ん?」
「あの街には、無駄が多すぎました。虚飾、嫉妬、足の引っ張り合い。生産性のないお茶会。……これからは、自分のやったことがすべて数字として返ってくる。こんなに楽しみなことはありません」
ルアーノが珍しく、年相応の(といっても内容は商魂たくましいが)無邪気な笑顔を見せた。
朝日に照らされたその横顔を見て、ギルバートはふっと目を細める。
「君は、本当に『悪役令嬢』と呼ばれていたのか?」
「ええ。ミーナ様にとってはそうだったのでしょうね。彼女がサボろうとするのを阻止し、甘えようとするのを正論で斬り捨ててきましたから」
「それは教育的指導と言うんじゃないか?」
「受け取る側が『いじめ』だと感じれば、世間ではそう認定されるのです。非合理な話ですが」
ルアーノは肩をすくめる。
「でも、悪役で結構ですわ。いい子ちゃんでいるより、悪役の方が自由で、何より儲かりますもの」
「くくっ……違いない」
ギルバートが楽しそうに笑う。
この男、やはり少し感覚がズレているようだ。
普通なら引くところだろうに。
「さて、辺境までは馬車で五日。長い旅になりますね」
ルアーノが予定表を確認しようとした時だった。
ギルバートが指をパチンと鳴らした。
「五日? そんなにかかるのか。それは非効率だ」
「はい? ですが、地理的に……」
「俺がいるのを忘れていないか?」
ギルバートの手から、青白い魔力が溢れ出す。
それが馬車全体を包み込んだかと思うと、車輪の下に氷のレールのようなものが形成された。
「しっかり掴まっていろよ。俺の『氷結滑走(アイス・スライド)』なら、半日で着く」
「は……?」
ルアーノが言葉を発する間もなく、馬車はごうっ! という音と共に急加速した。
普通の馬車ではありえない速度。
まるでジェットコースターだ。
「きゃあああああああ!? 馬! お馬さんが驚いてますわ!?」
「安心しろ、馬の足元も強化魔法でサポート済みだ! さあ行くぞ、スローライフ(爆速)へ!」
「ちょ、速すぎます! 風圧で計算機が飛びますわーーーッ!!」
王都の門番たちは、早朝の街道を青い光の帯となって疾走する謎の馬車を目撃し、「あ、新しい魔獣か!?」と腰を抜かしたという。
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