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「下がれ! 下がれと言うに! 私は王太子アレクセイだぞ!」
王城のバルコニー。
眼下に広がる数千の群衆に向かって、アレクセイは声を張り上げていた。
しかし、その声は怒号にかき消され、全く届いていない。
「うるせぇ! パンをよこせ!」
「税金を返せ!」
「無能王子は引っ込んでろ!」
ヒュンッ!
群衆の中から腐ったトマトが飛んできて、アレクセイの足元で潰れた。
「ひぃっ!? と、トマト!? 私の靴にトマトが!」
「殿下、避けないでください! 貴方の仕事は『サンドバッグ』になることです!」
背後で腕組みをして監視しているルアーノが、冷徹に指示を飛ばす。
「で、でもルアーノ! 彼らは話を聞く状態じゃない! 殺される!」
「当たり前です。空腹と将来への不安でパニック状態の顧客(国民)に対し、『静かにしろ』などと命令口調で接すれば、火に油を注ぐだけです」
ルアーノは溜息をつき、無線魔導具に向かって指示を出した。
「ミーナ様、準備は?」
『バッチリよぉ! 揚げたてアツアツが用意できたわ!』
「よし。では作戦変更。アレクセイ殿下はそこで土下座して震えていてください。主役(ミーナ)と交代です」
「ど、土下座……!?」
アレクセイが屈辱に顔を歪めている間に、ルアーノはバルコニーの脇に控えていたミーナに合図を送った。
「皆様ぁ~! こーんにーちわぁー!!」
魔導拡声器を通した、底抜けに明るい声が広場に響き渡った。
殺気立っていた群衆が、一瞬だけ動きを止める。
バルコニーに現れたのは、コックコートに身を包み、両手に巨大なバスケットを抱えたミーナだった。
「お腹、空いてますよねぇ? イライラしますよねぇ? 分かりますぅ! 私だって、お腹が空くと殿下を殴りたくなりますもん!」
「……おい」
アレクセイの抗議は無視された。
群衆から、ドッと笑いと「そうだそうだ!」という共感の声が上がる。
「今日はね、辺境で大人気の『特製揚げドーナツ』を、なんと全員に無料で振る舞っちゃいまぁす! 甘いものを食べて、一回落ち着きましょう!」
ミーナがバスケットをひっくり返すと、中から大量のドーナツが――落ちるのではなく、風魔法によってふわりと浮き上がった。
制御しているのは、もちろん日陰に隠れているギルバートだ。
「さあ、受け取ってくださぁい!」
ドーナツが雨のように群衆の手元へ降り注ぐ。
甘い香りが広場を包み込み、殺伐とした空気を和らげていく。
「こ、これは……うめぇ!」
「甘い……久しぶりに甘いものを食ったぞ!」
「なんだこれ、腹にたまるな!」
「ふふん! カロリーは正義! 糖分は平和の象徴よ!」
ミーナがVサインを決める。
彼女の「客商売」で培った度胸と愛嬌は、王族の権威よりも遥かに強力な鎮静剤だった。
「……計算通りですね」
ルアーノはその様子を見て、満足げに頷いた。
「血糖値が上がれば、人は理性的になります。これでようやく『話し合い』のテーブルにつけますね」
彼女は踵を返し、執務室へと向かった。
ここからが、彼女の本戦場だ。
***
「……ひどい有様ですね」
王宮の財務大臣室。
そこに積み上げられた書類の山を見て、ルアーノは呆れ果てていた。
部屋には財務大臣と、数人の高官が青い顔をして並んでいる。
「ル、ルアーノ様……。こ、これには事情がありまして……」
「言い訳は結構。事実確認(ファクトチェック)が先です」
ルアーノは一番上の書類を手に取り、パラパラとめくった。
「まずこれ。先月の『王宮庭園改修費』。金貨500枚? 非常時に花を植え替えている場合ですか?」
「そ、それはアレクセイ殿下が『ミーナとの散歩道には薔薇が必要だ』と……」
「即刻中止。薔薇は引き抜いて、代わりにジャガイモを植えなさい。食糧危機の足しになります」
「ジャ、ジャガイモ!?」
「次。『近衛騎士団の新型マント発注書』。デザイン料だけで金貨300枚? 防寒機能もないただの布に?」
「そ、それも殿下が『カッコいい騎士団でないと僕の威厳が』と……」
「却下。既存のマントを洗濯して使い回しなさい。威厳は布ではなく実力で示すものです」
ルアーノは次々と赤ペンで書類に『×』をつけていく。
その速度はマシンガンのようだ。
「……要するに、殿下の思いつきによる『浪費』と、貴方たちの『事なかれ主義』が、財政破綻の原因ですね」
高官たちがガタガタと震え出す。
かつてのルアーノは、彼らにとって「口うるさい小娘」だった。
だが今は、「国の生殺与奪の権を握る債権者」だ。
「ここからは私が管理します。全ての支出は私の決裁を通すこと。1ルピーたりとも、無駄金は使いません」
ルアーノは電卓を叩き、弾き出された数字を突きつけた。
「まず、貴方たちの給与を50%カットします」
「なっ、ご、50%!?」
「不服ですか? 本来なら懲戒免職レベルの失態です。働いて返済できるだけありがたいと思いなさい」
「ひぃぃぃ……!」
「それと、滞っている商会への支払いは、私が立て替えます。ただし、利子はトイチ(十日で一割)で国に請求しますので、そのつもりで」
「ト、トイチ……! 闇金より高い!」
「私の信用(クレジット)を使うのですから当然です。文句があるなら、今すぐ現金をここに用意してください」
シーン……。
誰も言い返せない。
「よろしい。では、業務再開。今日中に未処理案件を全て片付けます。終わるまで帰れると思わないでくださいね」
ルアーノがニッコリと笑うと、高官たちは「はいぃぃぃ!」と悲鳴を上げてデスクにかじりついた。
***
一方、王都の物流拠点である大門。
そこには、荷馬車の大渋滞ができていた。
「動かねぇぞ! どうなってんだ!」
「検問の人手が足りなくて、手続きが進まねぇ!」
苛立つ商人たち。
そこに、一人の男が優雅に歩み寄った。
ギルバートだ。
「……ちんたらやっているな。これでは日が暮れる」
彼は門の前に立つと、軽く杖を振った。
「『自動選別(オート・ソーティング)』」
ブワッ!
風が巻き起こり、荷馬車の荷台から伝票だけが舞い上がった。
それらは空中で自動的に分類され、承認印がポンポンと押されていく。
「『氷結輸送路(アイス・ハイウェイ)』」
さらに、地面に氷の道が出現。
摩擦ゼロのレーンに乗った荷馬車が、馬の力を使わずとも滑るように進んでいく。
「うおぉぉ!? 勝手に進むぞ!?」
「速ぇぇぇ!」
商人たちが驚愕の声を上げる。
「通行料は後でヴァレンティ商会にツケておく。さっさと行け。物資を市場に届けるんだ」
ギルバートはあくびを噛み殺しながら指揮を執る。
「……ったく。ルアーノのためじゃなけりゃ、国ごと凍らせて終わりなんだがな」
彼の圧倒的な魔力によって、数週間止まっていた物流の動脈は、わずか一時間で開通したのだった。
***
夕暮れ時。
王城の会議室。
疲れ果てたアレクセイ、満足げなミーナ、退屈そうなギルバート、そして書類の山を片付けたルアーノが集まっていた。
「……し、死ぬかと思った……」
アレクセイは机に突っ伏している。
トマトまみれの服は、ある意味で勲章だ。
暴動は、ミーナのドーナツと、アレクセイの(半強制的な)土下座によって、ひとまずは収束していた。
「お疲れ様です、殿下。トマトの汁は美容にいいらしいので、そのままパックになさっては?」
「嫌味か……!」
「報告します。財務省の無駄な支出を8割削減しました。物流も復旧。明日には市場に食料が出回ります」
ルアーノは淡々と成果を報告する。
「す、すごい……。たった一日で……」
アレクセイは信じられないものを見る目でルアーノを見た。
自分が何ヶ月も頭を抱えていた問題を、彼女は電卓片手に瞬殺してしまったのだ。
「……やはり、お前はすごいな。私がバカだった」
アレクセイがポツリと漏らす。
それは初めて見せる、本心からの敗北宣言だった。
「お前がいれば、この国は安泰だ。……なぁ、ルアーノ。やはり復縁は……」
「しません」
食い気味に拒否。
「しつこい男は嫌われますよ、殿下。それに」
ルアーノは一枚の紙をペラリと出した。
「本日の請求書です」
「……え?」
「『危機管理コンサルティング料』、『ドーナツ原材料費及び配布人件費』、『魔法インフラ整備費』、そして『精神的苦痛への慰謝料(上乗せ分)』。締めて金貨二万枚になります」
「に、二万……!?」
アレクセイの目が飛び出る。
「国庫は空だと言っただろう!?」
「存じております。ですので、こちらの『支払い計画書』をご用意しました」
ルアーノが出したのは、王家の離宮や、アレクセイの個人的な別荘、宝石コレクションなどの『資産売却リスト』だった。
「これらを全て売却すれば、なんとか支払えます。サインをどうぞ」
「お、俺の別荘が……! おじい様から貰った懐中時計が……!」
「国を守るためです。泣いてる暇があったらペンを持ってください。時は金なり(タイム・イズ・マネー)です」
ルアーノの笑顔は、王都の夕日よりも眩しく、そして容赦がなかった。
「……ううっ、分かったよぉ……!」
アレクセイは泣きながらサインをした。
こうして王都の危機は去ったが、王太子の私財もまた、綺麗さっぱり消え去ったのである。
王城のバルコニー。
眼下に広がる数千の群衆に向かって、アレクセイは声を張り上げていた。
しかし、その声は怒号にかき消され、全く届いていない。
「うるせぇ! パンをよこせ!」
「税金を返せ!」
「無能王子は引っ込んでろ!」
ヒュンッ!
群衆の中から腐ったトマトが飛んできて、アレクセイの足元で潰れた。
「ひぃっ!? と、トマト!? 私の靴にトマトが!」
「殿下、避けないでください! 貴方の仕事は『サンドバッグ』になることです!」
背後で腕組みをして監視しているルアーノが、冷徹に指示を飛ばす。
「で、でもルアーノ! 彼らは話を聞く状態じゃない! 殺される!」
「当たり前です。空腹と将来への不安でパニック状態の顧客(国民)に対し、『静かにしろ』などと命令口調で接すれば、火に油を注ぐだけです」
ルアーノは溜息をつき、無線魔導具に向かって指示を出した。
「ミーナ様、準備は?」
『バッチリよぉ! 揚げたてアツアツが用意できたわ!』
「よし。では作戦変更。アレクセイ殿下はそこで土下座して震えていてください。主役(ミーナ)と交代です」
「ど、土下座……!?」
アレクセイが屈辱に顔を歪めている間に、ルアーノはバルコニーの脇に控えていたミーナに合図を送った。
「皆様ぁ~! こーんにーちわぁー!!」
魔導拡声器を通した、底抜けに明るい声が広場に響き渡った。
殺気立っていた群衆が、一瞬だけ動きを止める。
バルコニーに現れたのは、コックコートに身を包み、両手に巨大なバスケットを抱えたミーナだった。
「お腹、空いてますよねぇ? イライラしますよねぇ? 分かりますぅ! 私だって、お腹が空くと殿下を殴りたくなりますもん!」
「……おい」
アレクセイの抗議は無視された。
群衆から、ドッと笑いと「そうだそうだ!」という共感の声が上がる。
「今日はね、辺境で大人気の『特製揚げドーナツ』を、なんと全員に無料で振る舞っちゃいまぁす! 甘いものを食べて、一回落ち着きましょう!」
ミーナがバスケットをひっくり返すと、中から大量のドーナツが――落ちるのではなく、風魔法によってふわりと浮き上がった。
制御しているのは、もちろん日陰に隠れているギルバートだ。
「さあ、受け取ってくださぁい!」
ドーナツが雨のように群衆の手元へ降り注ぐ。
甘い香りが広場を包み込み、殺伐とした空気を和らげていく。
「こ、これは……うめぇ!」
「甘い……久しぶりに甘いものを食ったぞ!」
「なんだこれ、腹にたまるな!」
「ふふん! カロリーは正義! 糖分は平和の象徴よ!」
ミーナがVサインを決める。
彼女の「客商売」で培った度胸と愛嬌は、王族の権威よりも遥かに強力な鎮静剤だった。
「……計算通りですね」
ルアーノはその様子を見て、満足げに頷いた。
「血糖値が上がれば、人は理性的になります。これでようやく『話し合い』のテーブルにつけますね」
彼女は踵を返し、執務室へと向かった。
ここからが、彼女の本戦場だ。
***
「……ひどい有様ですね」
王宮の財務大臣室。
そこに積み上げられた書類の山を見て、ルアーノは呆れ果てていた。
部屋には財務大臣と、数人の高官が青い顔をして並んでいる。
「ル、ルアーノ様……。こ、これには事情がありまして……」
「言い訳は結構。事実確認(ファクトチェック)が先です」
ルアーノは一番上の書類を手に取り、パラパラとめくった。
「まずこれ。先月の『王宮庭園改修費』。金貨500枚? 非常時に花を植え替えている場合ですか?」
「そ、それはアレクセイ殿下が『ミーナとの散歩道には薔薇が必要だ』と……」
「即刻中止。薔薇は引き抜いて、代わりにジャガイモを植えなさい。食糧危機の足しになります」
「ジャ、ジャガイモ!?」
「次。『近衛騎士団の新型マント発注書』。デザイン料だけで金貨300枚? 防寒機能もないただの布に?」
「そ、それも殿下が『カッコいい騎士団でないと僕の威厳が』と……」
「却下。既存のマントを洗濯して使い回しなさい。威厳は布ではなく実力で示すものです」
ルアーノは次々と赤ペンで書類に『×』をつけていく。
その速度はマシンガンのようだ。
「……要するに、殿下の思いつきによる『浪費』と、貴方たちの『事なかれ主義』が、財政破綻の原因ですね」
高官たちがガタガタと震え出す。
かつてのルアーノは、彼らにとって「口うるさい小娘」だった。
だが今は、「国の生殺与奪の権を握る債権者」だ。
「ここからは私が管理します。全ての支出は私の決裁を通すこと。1ルピーたりとも、無駄金は使いません」
ルアーノは電卓を叩き、弾き出された数字を突きつけた。
「まず、貴方たちの給与を50%カットします」
「なっ、ご、50%!?」
「不服ですか? 本来なら懲戒免職レベルの失態です。働いて返済できるだけありがたいと思いなさい」
「ひぃぃぃ……!」
「それと、滞っている商会への支払いは、私が立て替えます。ただし、利子はトイチ(十日で一割)で国に請求しますので、そのつもりで」
「ト、トイチ……! 闇金より高い!」
「私の信用(クレジット)を使うのですから当然です。文句があるなら、今すぐ現金をここに用意してください」
シーン……。
誰も言い返せない。
「よろしい。では、業務再開。今日中に未処理案件を全て片付けます。終わるまで帰れると思わないでくださいね」
ルアーノがニッコリと笑うと、高官たちは「はいぃぃぃ!」と悲鳴を上げてデスクにかじりついた。
***
一方、王都の物流拠点である大門。
そこには、荷馬車の大渋滞ができていた。
「動かねぇぞ! どうなってんだ!」
「検問の人手が足りなくて、手続きが進まねぇ!」
苛立つ商人たち。
そこに、一人の男が優雅に歩み寄った。
ギルバートだ。
「……ちんたらやっているな。これでは日が暮れる」
彼は門の前に立つと、軽く杖を振った。
「『自動選別(オート・ソーティング)』」
ブワッ!
風が巻き起こり、荷馬車の荷台から伝票だけが舞い上がった。
それらは空中で自動的に分類され、承認印がポンポンと押されていく。
「『氷結輸送路(アイス・ハイウェイ)』」
さらに、地面に氷の道が出現。
摩擦ゼロのレーンに乗った荷馬車が、馬の力を使わずとも滑るように進んでいく。
「うおぉぉ!? 勝手に進むぞ!?」
「速ぇぇぇ!」
商人たちが驚愕の声を上げる。
「通行料は後でヴァレンティ商会にツケておく。さっさと行け。物資を市場に届けるんだ」
ギルバートはあくびを噛み殺しながら指揮を執る。
「……ったく。ルアーノのためじゃなけりゃ、国ごと凍らせて終わりなんだがな」
彼の圧倒的な魔力によって、数週間止まっていた物流の動脈は、わずか一時間で開通したのだった。
***
夕暮れ時。
王城の会議室。
疲れ果てたアレクセイ、満足げなミーナ、退屈そうなギルバート、そして書類の山を片付けたルアーノが集まっていた。
「……し、死ぬかと思った……」
アレクセイは机に突っ伏している。
トマトまみれの服は、ある意味で勲章だ。
暴動は、ミーナのドーナツと、アレクセイの(半強制的な)土下座によって、ひとまずは収束していた。
「お疲れ様です、殿下。トマトの汁は美容にいいらしいので、そのままパックになさっては?」
「嫌味か……!」
「報告します。財務省の無駄な支出を8割削減しました。物流も復旧。明日には市場に食料が出回ります」
ルアーノは淡々と成果を報告する。
「す、すごい……。たった一日で……」
アレクセイは信じられないものを見る目でルアーノを見た。
自分が何ヶ月も頭を抱えていた問題を、彼女は電卓片手に瞬殺してしまったのだ。
「……やはり、お前はすごいな。私がバカだった」
アレクセイがポツリと漏らす。
それは初めて見せる、本心からの敗北宣言だった。
「お前がいれば、この国は安泰だ。……なぁ、ルアーノ。やはり復縁は……」
「しません」
食い気味に拒否。
「しつこい男は嫌われますよ、殿下。それに」
ルアーノは一枚の紙をペラリと出した。
「本日の請求書です」
「……え?」
「『危機管理コンサルティング料』、『ドーナツ原材料費及び配布人件費』、『魔法インフラ整備費』、そして『精神的苦痛への慰謝料(上乗せ分)』。締めて金貨二万枚になります」
「に、二万……!?」
アレクセイの目が飛び出る。
「国庫は空だと言っただろう!?」
「存じております。ですので、こちらの『支払い計画書』をご用意しました」
ルアーノが出したのは、王家の離宮や、アレクセイの個人的な別荘、宝石コレクションなどの『資産売却リスト』だった。
「これらを全て売却すれば、なんとか支払えます。サインをどうぞ」
「お、俺の別荘が……! おじい様から貰った懐中時計が……!」
「国を守るためです。泣いてる暇があったらペンを持ってください。時は金なり(タイム・イズ・マネー)です」
ルアーノの笑顔は、王都の夕日よりも眩しく、そして容赦がなかった。
「……ううっ、分かったよぉ……!」
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こうして王都の危機は去ったが、王太子の私財もまた、綺麗さっぱり消え去ったのである。
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