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「……計算が、合いません」
王都のヴァレンティ商会・臨時支部(元・王太子別邸の一室)。
早朝の執務室に、ルアーノの困惑した声と、激しい電卓の打鍵音が響いていた。
「昨夜のパーティでの営業利益、金貨5000枚相当。新規顧客獲得数、20社。ブランド認知度向上率、200%。……ここまではいいのです。完璧な成果(リザルト)です」
ルアーノは頭を抱えた。
手元のメモ帳には、もう一つの項目が書かれている。
『ギルバート様からの独占契約申し入れ』
『推定カテゴリ:終身雇用(婚姻)』
「……なぜ。どう計算しても、この項目だけ変数が多すぎます。感情値(パラメータ)が測定不能エラーを起こしている……」
昨夜のダンスの最中、ギルバートは確かに言ったのだ。
『俺の人生という資産を、君に全額投資したい』と。
それは商売上の契約ではなく、明らかに情緒的な――いわゆる愛の告白だった。
「ルアーノ様、朝食をお持ちしました」
ガチャリ。
タイミング悪く(あるいは良く)、当事者が入ってきた。
ギルバートは爽やかな朝の光を背負い、湯気の立つカップをトレイに載せている。
「……おはようございます、ギルバート様」
ルアーノは反射的に背筋を伸ばし、電卓を背中に隠した。
「顔色が悪いな。昨夜はよく眠れなかったのか?」
「……ええ、少々。脳内のキャッシュクリアに時間がかかりまして」
「そうか。俺はぐっすり眠れたぞ。人生で一番スッキリした朝だ」
ギルバートは屈託なく笑い、カップをデスクに置く。
特製ミントティーだ。
その香りが、ルアーノの動揺を少しだけ鎮める。
「……さて、ルアーノ。昨夜の話の続きだが」
ギルバートが向かいの椅子に腰掛け、単刀直入に切り出した。
彼は仕事が早い。
早すぎる。
「契約交渉(ネゴシエーション)の時間だ」
「……っ! い、今は始業前です! プライベートな交渉は業務規定違反で……」
「俺にとって、君との関係は最優先事項(トッププライオリティ)だ。業務時間など関係ない」
ギルバートは身を乗り出し、アイスブルーの瞳でルアーノを射抜く。
「単刀直入に言おう。俺と結婚してくれ」
ド直球だった。
変化球も牽制球もない、豪速球のストレート。
「け……っ!?」
ルアーノの思考回路が完全に停止した。
口がパクパクと動くが、言葉が出てこない。
顔が急速に熱を持ち、湯沸かしポットのように赤くなる。
「あ、あの、えっと……け、結婚? 私と?」
「他に誰がいる? アレクセイか?」
「ありえません! ですが、なぜ私ですか? 私は金にうるさいですし、可愛げもありませんし、ロマンチックな演出もできませんよ?」
ルアーノは必死に『自分と結婚することのデメリット』を列挙した。
「それに、私と結婚すれば、貴方は『悪役令嬢の夫』という汚名を着ることになります。貴方の社会的評価(ブランド価値)を下げるリスクがあります!」
「構わん」
ギルバートは即答した。
「俺の評価など、君の作る『激辛ジャム』ほども気にしていない。俺が欲しいのは世間体ではなく、君だ」
「り、理屈が通りません!」
「恋に理屈が必要か?」
「必要です! 根拠のない感情はバグの温床になります!」
ルアーノは立ち上がり、ホワイトボードに向かった。
混乱した頭を整理するには、書き出すしかない。
「いいですか、ギルバート様! 結婚におけるコストとベネフィットを分析しましょう!」
キュキュッ、とマーカーが走る。
【コスト】
・自由時間の減少
・家計の共有による複雑化
・感情労働の増加
【ベネフィット】
・税制上の優遇措置
・社会的信用の向上
・冬場の暖房費削減(ギルバート限定)
「……見てください。これだけでは、結婚という契約を結ぶ決定打(決め手)に欠けます。特に貴方にとってのメリットが不明確です!」
ルアーノがバン! とボードを叩く。
ギルバートは面白そうにそれを眺め、立ち上がってルアーノの隣に立った。
そして、彼女の手からマーカーを取り上げる。
「メリットならある」
彼は【ベネフィット】の欄に、大きな文字で書き足した。
『毎日、君の淹れた茶が飲める』
『君が笑うと、俺が幸せになる』
『君を守る権利を独占できる』
「……これらは、金銭換算できない『無形固定資産』だ。俺にとっては、国庫の全財産より価値がある」
「……っ」
ルアーノは言葉を失った。
その計算式は、彼女の辞書にはないものだった。
だが、胸の奥が温かくなり、心拍数が上昇するという『身体的反応』だけは、嘘をつかない。
「……計算、できません」
ルアーノは小さく呟き、うつむいた。
「私のCPUでは、この変数を処理しきれません。……時間が、必要です」
「どれくらいだ?」
「……3営業日。いえ、一週間。……いいえ、無期限の保留(ペンディング)でお願いします」
逃げた。
最強の経営者が、判断を先送りにした。
ギルバートは困ったように眉を下げ、それから優しく笑った。
「いいだろう。君が納得する答えが出るまで待つよ。……ただし」
彼はルアーノの顎を持ち上げ、その唇に軽く口づけた。
チュッ。
「!?!?!?」
「手付金だ。契約の予約は有効だからな」
ギルバートは真っ赤になって固まるルアーノを残し、颯爽と部屋を出て行った。
残されたルアーノは、へなへなとその場に座り込んだ。
「……卑怯です。そんなの、計算外です……」
彼女の頭の中では、電卓の液晶が『❤』のエラー表示で埋め尽くされていた。
***
一方、その頃。
王城の裏手にある広大な畑(元・薔薇園)。
「くそっ……なぜ私が芋掘りなどを……」
アレクセイ元王太子は、泥だらけになって鍬(くわ)を振るっていた。
ルアーノによる『財政再建プラン』の一環で、観賞用の薔薇は全て引き抜かれ、救荒作物であるジャガイモ畑に変えられてしまったのだ。
「おい、サボるな! ノルマ達成まで昼飯抜きだぞ!」
監視役の騎士(かつての部下)が冷たく言い放つ。
アレクセイの立場は、今や『ただの作業員A』まで転落していた。
「おのれルアーノ……! 私の華麗な庭園を、こんな泥臭い畑にしおって……!」
アレクセイは芋を投げつけたい衝動を堪える。
彼のプライドはずたずただが、ここで働かなければ、ルアーノへの借金(金貨二万枚)は返せない。
完済まで、計算上あと150年はかかる。
「……殿下、休憩にします?」
声をかけてきたのは、ピンク色の手ぬぐいを頭に巻いたミーナだった。
彼女もまた、ここで収穫された芋を使って、その場で『揚げたてポテトドーナツ』を作る屋台を出していた。
「ミーナ……。お前は楽しそうだな」
「ええ、楽しいわよ! だって、この『王室御用達・芋ドーナツ』、すっごく売れるんだもん!」
ミーナはドル箱を抱えてホクホク顔だ。
彼女はたくましい。
どんな環境でも適応し、商機を見出す。
ある意味、ルアーノの影響を最も強く受けているのは彼女かもしれない。
「殿下も食べます? 社員割引で銀貨1枚にしとくわよ」
「金を取るのか……」
アレクセイは力なく首を振った。
「……なぁ、ミーナ。私は考えたんだ」
「何を?」
「地道に働いて返すなんて、私には無理だ。一発逆転が必要だ」
アレクセイの目に、怪しい光が宿る。
ロクでもないことを考えている時の目だ。
「ルアーノがあれほど儲けているのには、何か『秘密』があるはずだ。例えば、あの『火竜ボイラー』とか、新商品の『レシピ』とか……」
「……まさか、盗む気?」
ミーナがジト目で見る。
「盗むのではない! 『正当な権利者』として回収するのだ! 元はと言えば、あいつは私の婚約者だったのだから、あいつの知識は私のものだ!」
相変わらずのジャイアン理論である。
ミーナは「はぁ~」と大きなため息をついた。
「やめときなさいよ。ギルバート様に凍らされるのがオチよ」
「フフフ……策はある。ギルバートがいない隙を狙うのだ」
アレクセイはニヤリと笑った。
「今夜だ。ルアーノが寝静まった頃、奴の部屋に忍び込み、重要書類を確保する。そしてそれをネタに、借金の帳消しと復縁を迫る!」
「……バカねぇ」
ミーナは冷めた目で、揚げたてのドーナツをかじった。
「まあ、好きにすれば? でも私、今回は共犯にならないからね。……だって、ルアーノお姉様を敵に回す方が、ギルバート様より怖いもん」
ミーナは知っていた。
ルアーノ・ヴァレンティという女が、どれほど周到に『リスク管理』をしているかを。
夜。
アレクセイの『起死回生(という名の自爆)作戦』が始まろうとしていた。
それが、ルアーノとギルバートの関係を決定的に進める『最後のひと押し』になるとも知らずに。
王都のヴァレンティ商会・臨時支部(元・王太子別邸の一室)。
早朝の執務室に、ルアーノの困惑した声と、激しい電卓の打鍵音が響いていた。
「昨夜のパーティでの営業利益、金貨5000枚相当。新規顧客獲得数、20社。ブランド認知度向上率、200%。……ここまではいいのです。完璧な成果(リザルト)です」
ルアーノは頭を抱えた。
手元のメモ帳には、もう一つの項目が書かれている。
『ギルバート様からの独占契約申し入れ』
『推定カテゴリ:終身雇用(婚姻)』
「……なぜ。どう計算しても、この項目だけ変数が多すぎます。感情値(パラメータ)が測定不能エラーを起こしている……」
昨夜のダンスの最中、ギルバートは確かに言ったのだ。
『俺の人生という資産を、君に全額投資したい』と。
それは商売上の契約ではなく、明らかに情緒的な――いわゆる愛の告白だった。
「ルアーノ様、朝食をお持ちしました」
ガチャリ。
タイミング悪く(あるいは良く)、当事者が入ってきた。
ギルバートは爽やかな朝の光を背負い、湯気の立つカップをトレイに載せている。
「……おはようございます、ギルバート様」
ルアーノは反射的に背筋を伸ばし、電卓を背中に隠した。
「顔色が悪いな。昨夜はよく眠れなかったのか?」
「……ええ、少々。脳内のキャッシュクリアに時間がかかりまして」
「そうか。俺はぐっすり眠れたぞ。人生で一番スッキリした朝だ」
ギルバートは屈託なく笑い、カップをデスクに置く。
特製ミントティーだ。
その香りが、ルアーノの動揺を少しだけ鎮める。
「……さて、ルアーノ。昨夜の話の続きだが」
ギルバートが向かいの椅子に腰掛け、単刀直入に切り出した。
彼は仕事が早い。
早すぎる。
「契約交渉(ネゴシエーション)の時間だ」
「……っ! い、今は始業前です! プライベートな交渉は業務規定違反で……」
「俺にとって、君との関係は最優先事項(トッププライオリティ)だ。業務時間など関係ない」
ギルバートは身を乗り出し、アイスブルーの瞳でルアーノを射抜く。
「単刀直入に言おう。俺と結婚してくれ」
ド直球だった。
変化球も牽制球もない、豪速球のストレート。
「け……っ!?」
ルアーノの思考回路が完全に停止した。
口がパクパクと動くが、言葉が出てこない。
顔が急速に熱を持ち、湯沸かしポットのように赤くなる。
「あ、あの、えっと……け、結婚? 私と?」
「他に誰がいる? アレクセイか?」
「ありえません! ですが、なぜ私ですか? 私は金にうるさいですし、可愛げもありませんし、ロマンチックな演出もできませんよ?」
ルアーノは必死に『自分と結婚することのデメリット』を列挙した。
「それに、私と結婚すれば、貴方は『悪役令嬢の夫』という汚名を着ることになります。貴方の社会的評価(ブランド価値)を下げるリスクがあります!」
「構わん」
ギルバートは即答した。
「俺の評価など、君の作る『激辛ジャム』ほども気にしていない。俺が欲しいのは世間体ではなく、君だ」
「り、理屈が通りません!」
「恋に理屈が必要か?」
「必要です! 根拠のない感情はバグの温床になります!」
ルアーノは立ち上がり、ホワイトボードに向かった。
混乱した頭を整理するには、書き出すしかない。
「いいですか、ギルバート様! 結婚におけるコストとベネフィットを分析しましょう!」
キュキュッ、とマーカーが走る。
【コスト】
・自由時間の減少
・家計の共有による複雑化
・感情労働の増加
【ベネフィット】
・税制上の優遇措置
・社会的信用の向上
・冬場の暖房費削減(ギルバート限定)
「……見てください。これだけでは、結婚という契約を結ぶ決定打(決め手)に欠けます。特に貴方にとってのメリットが不明確です!」
ルアーノがバン! とボードを叩く。
ギルバートは面白そうにそれを眺め、立ち上がってルアーノの隣に立った。
そして、彼女の手からマーカーを取り上げる。
「メリットならある」
彼は【ベネフィット】の欄に、大きな文字で書き足した。
『毎日、君の淹れた茶が飲める』
『君が笑うと、俺が幸せになる』
『君を守る権利を独占できる』
「……これらは、金銭換算できない『無形固定資産』だ。俺にとっては、国庫の全財産より価値がある」
「……っ」
ルアーノは言葉を失った。
その計算式は、彼女の辞書にはないものだった。
だが、胸の奥が温かくなり、心拍数が上昇するという『身体的反応』だけは、嘘をつかない。
「……計算、できません」
ルアーノは小さく呟き、うつむいた。
「私のCPUでは、この変数を処理しきれません。……時間が、必要です」
「どれくらいだ?」
「……3営業日。いえ、一週間。……いいえ、無期限の保留(ペンディング)でお願いします」
逃げた。
最強の経営者が、判断を先送りにした。
ギルバートは困ったように眉を下げ、それから優しく笑った。
「いいだろう。君が納得する答えが出るまで待つよ。……ただし」
彼はルアーノの顎を持ち上げ、その唇に軽く口づけた。
チュッ。
「!?!?!?」
「手付金だ。契約の予約は有効だからな」
ギルバートは真っ赤になって固まるルアーノを残し、颯爽と部屋を出て行った。
残されたルアーノは、へなへなとその場に座り込んだ。
「……卑怯です。そんなの、計算外です……」
彼女の頭の中では、電卓の液晶が『❤』のエラー表示で埋め尽くされていた。
***
一方、その頃。
王城の裏手にある広大な畑(元・薔薇園)。
「くそっ……なぜ私が芋掘りなどを……」
アレクセイ元王太子は、泥だらけになって鍬(くわ)を振るっていた。
ルアーノによる『財政再建プラン』の一環で、観賞用の薔薇は全て引き抜かれ、救荒作物であるジャガイモ畑に変えられてしまったのだ。
「おい、サボるな! ノルマ達成まで昼飯抜きだぞ!」
監視役の騎士(かつての部下)が冷たく言い放つ。
アレクセイの立場は、今や『ただの作業員A』まで転落していた。
「おのれルアーノ……! 私の華麗な庭園を、こんな泥臭い畑にしおって……!」
アレクセイは芋を投げつけたい衝動を堪える。
彼のプライドはずたずただが、ここで働かなければ、ルアーノへの借金(金貨二万枚)は返せない。
完済まで、計算上あと150年はかかる。
「……殿下、休憩にします?」
声をかけてきたのは、ピンク色の手ぬぐいを頭に巻いたミーナだった。
彼女もまた、ここで収穫された芋を使って、その場で『揚げたてポテトドーナツ』を作る屋台を出していた。
「ミーナ……。お前は楽しそうだな」
「ええ、楽しいわよ! だって、この『王室御用達・芋ドーナツ』、すっごく売れるんだもん!」
ミーナはドル箱を抱えてホクホク顔だ。
彼女はたくましい。
どんな環境でも適応し、商機を見出す。
ある意味、ルアーノの影響を最も強く受けているのは彼女かもしれない。
「殿下も食べます? 社員割引で銀貨1枚にしとくわよ」
「金を取るのか……」
アレクセイは力なく首を振った。
「……なぁ、ミーナ。私は考えたんだ」
「何を?」
「地道に働いて返すなんて、私には無理だ。一発逆転が必要だ」
アレクセイの目に、怪しい光が宿る。
ロクでもないことを考えている時の目だ。
「ルアーノがあれほど儲けているのには、何か『秘密』があるはずだ。例えば、あの『火竜ボイラー』とか、新商品の『レシピ』とか……」
「……まさか、盗む気?」
ミーナがジト目で見る。
「盗むのではない! 『正当な権利者』として回収するのだ! 元はと言えば、あいつは私の婚約者だったのだから、あいつの知識は私のものだ!」
相変わらずのジャイアン理論である。
ミーナは「はぁ~」と大きなため息をついた。
「やめときなさいよ。ギルバート様に凍らされるのがオチよ」
「フフフ……策はある。ギルバートがいない隙を狙うのだ」
アレクセイはニヤリと笑った。
「今夜だ。ルアーノが寝静まった頃、奴の部屋に忍び込み、重要書類を確保する。そしてそれをネタに、借金の帳消しと復縁を迫る!」
「……バカねぇ」
ミーナは冷めた目で、揚げたてのドーナツをかじった。
「まあ、好きにすれば? でも私、今回は共犯にならないからね。……だって、ルアーノお姉様を敵に回す方が、ギルバート様より怖いもん」
ミーナは知っていた。
ルアーノ・ヴァレンティという女が、どれほど周到に『リスク管理』をしているかを。
夜。
アレクセイの『起死回生(という名の自爆)作戦』が始まろうとしていた。
それが、ルアーノとギルバートの関係を決定的に進める『最後のひと押し』になるとも知らずに。
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