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次の日、マリカが私に仕立て屋のリストを持ってきた。
「仕立て屋ですか?」
私なんかのためにドレスを作ってくれる仕立て屋なんているのだろうか。
私はリジーの事を思い出す。
彼女はいつも嫌々といった様子で、私に流行遅れのドレスを用意した。
お前には、これでも勿体無いと言わんばかりに。
「はい、どれがよろしいですか?人気店もありますよ。予定を空けてくれるそうです」
リストを見ると有名な場所がちらほらとあった。
その中で、あの名前を見つけた。
「仕立て屋リジー……」
彼女の私を蔑む目を思い出し寒気がした。
「ここ、凄く有名みたいですね。なんでも、新作が出るたびに飛ぶように売れるとか。宣伝が……、いえ、なんでもありません」
マリカは何か言いかけてやめた。おそらく、ライザが仕立て屋リジーのドレスを着てあちこち出掛けているので、いい宣伝になっている事を知らせたくなかったのだろう。
「そうなんですね」
「アストラ様は、クラシカルで神秘的な雰囲気の方が似合いそうですから、ここは除外しますかね」
マリカは言いながら仕立て屋リジーの名前にバツを打ち、さらに、恨みでもあるのか、名前がちゃんと消えるように黒く塗りつぶした。
次は穴をあけようとしたので止めた。
「オススメはある?ちゃんと私にドレスを作ってくれるところがいいの」
似合うかどうなは二の次だ。ちゃんと仕事をしてくれる仕立て屋がいい。
もしも、不恰好なものをつくられたらナイジェルの恥になってしまう。
「領地内にある仕立て屋なんですけどね。古風な感じですね。アストラ様には、こっちの方が似合うかも、とても丁寧な仕事をするのでオススメですよ。断る事もできるので、一度お話しを聞いてみませんか?」
「そ、そうね。そうしようかしら」
マリカの言う事なら信用できそうなので、私はオススメの「仕立て屋雪の妖精」にした。
「仕立て屋雪の妖精です」
「は、初めまして」
仕立て屋の名前は、キーラといい私を見て目を見開いて、うっとりとした表情をした。
そう、顔に嫌悪を滲ませるのではなくて、うっとりとしたのだ。
私はその反応に少し面食らった。
「まあ、まあ、新雪のような綺麗な髪の毛!白いドレスがさぞ映えると思いますわ」
少しふっくらとしたおかげなのか、多少見れる顔になったと言いたいのだろうか。
「あ、ありがとう」
「まあ、その黒い瞳も、雪の妖精と同じだわ。なんと愛らしい。……腕が鳴るわ」
キーラは、鼻息を荒くさせて腕まくりをした。
「お嬢様は増量中でして、今のサイズに合わせると確実にサイズオーバーします」
「そうね。少しくらい肉付きが良い方が可愛いものね。ちょっとふくよかな白猫ちゃんは可愛いでしょう?」
キーラは猫が好きなのだろうか、ふふふ、と声を出して笑った。
今は猫の話なんてしていないけれど。
「サイズは大きめに作って後から微調整しましょうか」
「ナイジェル様の衣装もこだわらないと」
二人は息が合うのか、熱心に語っている。
当事者である私とナイジェルはおいけてぼりだ。
「あの、そこまで熱を入れなくても」
「いいえ、アストラ様とナイジェル様を磨き上げて、老婆と化け物カップルと言った奴らにざまぁさせないと私の気がすみません!」
誰がそんな事を言っているのか、嫌でもわかる。
見窄らしい私を知っていたら、誰もが老婆だと思うだろう。
ただ、そんなふうに言われているのは知りたくなかった。
「私たちってそういうふうに言われているんですね……」
力無く笑うと、マリカか慌てた様子で「違うんです!私はそんな事思ってません!」と慌ててフォローを始めた。
私が老婆だと言われるのは別にいいが、ナイジェルの事を化け物だと言われるとはどうしても許せない。
「……な、ナイジェル様を世界一素敵にしてください」
二人は任せておきなさい!と、胸を叩いてアピールした。
それからは、二人の熱い語り合いが始まり私は完全に蚊帳の外だった。
~~~~
お読みくださりありがとうございます
今日の更新はこれで終わりです
お気に入り登録、エール、感想ありがとうございます
明日からまた1日1回か2回の更新になります
別視点が数話ほど続きます
よろしくお願いします
次の日、マリカが私に仕立て屋のリストを持ってきた。
「仕立て屋ですか?」
私なんかのためにドレスを作ってくれる仕立て屋なんているのだろうか。
私はリジーの事を思い出す。
彼女はいつも嫌々といった様子で、私に流行遅れのドレスを用意した。
お前には、これでも勿体無いと言わんばかりに。
「はい、どれがよろしいですか?人気店もありますよ。予定を空けてくれるそうです」
リストを見ると有名な場所がちらほらとあった。
その中で、あの名前を見つけた。
「仕立て屋リジー……」
彼女の私を蔑む目を思い出し寒気がした。
「ここ、凄く有名みたいですね。なんでも、新作が出るたびに飛ぶように売れるとか。宣伝が……、いえ、なんでもありません」
マリカは何か言いかけてやめた。おそらく、ライザが仕立て屋リジーのドレスを着てあちこち出掛けているので、いい宣伝になっている事を知らせたくなかったのだろう。
「そうなんですね」
「アストラ様は、クラシカルで神秘的な雰囲気の方が似合いそうですから、ここは除外しますかね」
マリカは言いながら仕立て屋リジーの名前にバツを打ち、さらに、恨みでもあるのか、名前がちゃんと消えるように黒く塗りつぶした。
次は穴をあけようとしたので止めた。
「オススメはある?ちゃんと私にドレスを作ってくれるところがいいの」
似合うかどうなは二の次だ。ちゃんと仕事をしてくれる仕立て屋がいい。
もしも、不恰好なものをつくられたらナイジェルの恥になってしまう。
「領地内にある仕立て屋なんですけどね。古風な感じですね。アストラ様には、こっちの方が似合うかも、とても丁寧な仕事をするのでオススメですよ。断る事もできるので、一度お話しを聞いてみませんか?」
「そ、そうね。そうしようかしら」
マリカの言う事なら信用できそうなので、私はオススメの「仕立て屋雪の妖精」にした。
「仕立て屋雪の妖精です」
「は、初めまして」
仕立て屋の名前は、キーラといい私を見て目を見開いて、うっとりとした表情をした。
そう、顔に嫌悪を滲ませるのではなくて、うっとりとしたのだ。
私はその反応に少し面食らった。
「まあ、まあ、新雪のような綺麗な髪の毛!白いドレスがさぞ映えると思いますわ」
少しふっくらとしたおかげなのか、多少見れる顔になったと言いたいのだろうか。
「あ、ありがとう」
「まあ、その黒い瞳も、雪の妖精と同じだわ。なんと愛らしい。……腕が鳴るわ」
キーラは、鼻息を荒くさせて腕まくりをした。
「お嬢様は増量中でして、今のサイズに合わせると確実にサイズオーバーします」
「そうね。少しくらい肉付きが良い方が可愛いものね。ちょっとふくよかな白猫ちゃんは可愛いでしょう?」
キーラは猫が好きなのだろうか、ふふふ、と声を出して笑った。
今は猫の話なんてしていないけれど。
「サイズは大きめに作って後から微調整しましょうか」
「ナイジェル様の衣装もこだわらないと」
二人は息が合うのか、熱心に語っている。
当事者である私とナイジェルはおいけてぼりだ。
「あの、そこまで熱を入れなくても」
「いいえ、アストラ様とナイジェル様を磨き上げて、老婆と化け物カップルと言った奴らにざまぁさせないと私の気がすみません!」
誰がそんな事を言っているのか、嫌でもわかる。
見窄らしい私を知っていたら、誰もが老婆だと思うだろう。
ただ、そんなふうに言われているのは知りたくなかった。
「私たちってそういうふうに言われているんですね……」
力無く笑うと、マリカか慌てた様子で「違うんです!私はそんな事思ってません!」と慌ててフォローを始めた。
私が老婆だと言われるのは別にいいが、ナイジェルの事を化け物だと言われるとはどうしても許せない。
「……な、ナイジェル様を世界一素敵にしてください」
二人は任せておきなさい!と、胸を叩いてアピールした。
それからは、二人の熱い語り合いが始まり私は完全に蚊帳の外だった。
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お読みくださりありがとうございます
今日の更新はこれで終わりです
お気に入り登録、エール、感想ありがとうございます
明日からまた1日1回か2回の更新になります
別視点が数話ほど続きます
よろしくお願いします
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