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僻地
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僕の予想は間違っていなかった。ああ、悲しいことだ。それも含めて彼は死ぬ運命にある…いやいや、それを変えるのが僕の役割なのかもしれない。ほぼ確定している運命を少しでも変えるために善処する。そうか、この殺伐とした命のやり取りの現場だからこそ、感じることが出来るのだ。
「まだ決まりませんか?」
僕は尋ねてみた。そういえば、救急隊は僕の素性を知っているのか?流石に同業者の匂いがするのか?割と丁重に話をしてくれた。同じ視線で。
「それが…この地域だと難しいですよね…」
「ああ、やっぱり…」
僕が何か口出しをして変えることが出来るなら…一部の可能性を除いて無理だった。一部の可能性に賭けてみるのは流石に時期尚早だと思った。
「なんとか見つかれば…」
時間はどんどん過ぎていく。気道確保は概ね出来ている。バックバルブマスク換気は良好だが、時折赤色の吐物が引けてくる…僕はそっと吸引をする。
「抵抗はあまりないですねえっ…良かった、ひとまずは」
このままマスク換気を継続しながら…それでもなんとか速めに病院を見つけないと。
「どうすればいい…これで地域の病院は全てダメだ…」
救急指定病院は全て断られて…まあ、よくある話である。このくそったれが!!!と思わず叫びたくなってしまう。だが、仕方がない…これも何かのご縁である。ご縁で出会った彼の命の灯を消すわけにはいかない…そのためにはどんな手段でも使うしかないのだ…。
これが本当の神様…なのだと思った。色々な意味で神様になり得る条件は揃っている。それならば、このまま突っ走ろうと思った。僕は懐からスマートフォンを取り出した。
連絡先は…少しばかり知り合いの家だった。
「まだ決まりませんか?」
僕は尋ねてみた。そういえば、救急隊は僕の素性を知っているのか?流石に同業者の匂いがするのか?割と丁重に話をしてくれた。同じ視線で。
「それが…この地域だと難しいですよね…」
「ああ、やっぱり…」
僕が何か口出しをして変えることが出来るなら…一部の可能性を除いて無理だった。一部の可能性に賭けてみるのは流石に時期尚早だと思った。
「なんとか見つかれば…」
時間はどんどん過ぎていく。気道確保は概ね出来ている。バックバルブマスク換気は良好だが、時折赤色の吐物が引けてくる…僕はそっと吸引をする。
「抵抗はあまりないですねえっ…良かった、ひとまずは」
このままマスク換気を継続しながら…それでもなんとか速めに病院を見つけないと。
「どうすればいい…これで地域の病院は全てダメだ…」
救急指定病院は全て断られて…まあ、よくある話である。このくそったれが!!!と思わず叫びたくなってしまう。だが、仕方がない…これも何かのご縁である。ご縁で出会った彼の命の灯を消すわけにはいかない…そのためにはどんな手段でも使うしかないのだ…。
これが本当の神様…なのだと思った。色々な意味で神様になり得る条件は揃っている。それならば、このまま突っ走ろうと思った。僕は懐からスマートフォンを取り出した。
連絡先は…少しばかり知り合いの家だった。
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