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「まあ、いずれにしても現状ではあなた様が最も疑わしいと……この事実はゆるぎないものでございますからね、どうか詳細な事情聴取にご協力いただけますでしょうか???」

「おいおい、本気で言っているのか???私を誰だと思っているんだ???」

「あの……恐れながら、私どもは相手が例え皇帝陛下であったとしても、真実を追求するために話をお聞きするつもりです。この世界の秩序を保つためには必要なことだと心得ておりますゆえ……どうか、ご協力願います……」

ここまで言われてしまったら、かえって断るのが不自然ということになってしまうでしょう。

「まあ、仕方ないな!!!」

若干切れモード……というわけでした。実際のところポワソン様は何もしていないのですから。

ポワソン様が警察に連れていかれる姿を横目に見ていた皇帝陛下は、ハラハラしていたのでしょう。居ても立っても居られないという感じでした。

「さあ、皇帝陛下……これで良かったでしょうか???」

お父様は皇帝陛下に質問をしました。

「……と言いますと???」

「だって……いまさらポワソン様を次期皇帝にしようとお思いではないでしょう???」

「なぜ……そんなことを???」

「だって、ここまで不貞を働いた男を……皇帝の座に持ち上げる必要はないし……と言うよりか不可能でしょう???薄々気が付いていたのではありませんか???」

なるほど、お父様の狙いは最初からここにあったのですね。最高の復讐を成し遂げた……まあ、皇帝陛下に罪があるわけではございませんが、結果として王家全体の連帯責任として償ってもらうことにしたのでしょう。

「はああああっ……」

皇帝陛下の口からは溜息しか出て来ませんでした。まあ、当然のことでしょう。

「それで……これからどうするおつもりですか???」

「どうするって言われても……次の皇帝は……」

(確かにこれ以上ポワソンに情熱を注いでも意味がないし……かといって、このままランドン家に任せてしまったら、それこそ王家の伝統が途切れてしまうし……)

皇帝陛下は難しいかじ取りを迫られることになりました。

「いいんですよ。ゆっくりとお考えになってください。でもね……私が愚考しますに、答えは一つしかないと思いますがね……」

その答えについて、私は家の中でお兄様と議論を巡らせることになりました。
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