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1章 乙女ゲームに転生したようです
6話 勉強と、魔法と、
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あれから約1ヶ月、歴史学と魔法学、地理学を重点的に基礎と少しの発展を無理やり詰め込んだ。その合間に体力作りも欠かさずに。
オーリは最初わたくしの覚えの速さに驚いていたが1週間もたてば慣れたもので、その後はどこか呆れ顔で教えてくれた。
オーリはすごく教えるのがうまかったことを明記しておく。
そうそう、魔法と護身術や剣術などの武術は無事父様の許可をもぎ取ることに成功した。
危険のないように、と無理をしないこと、体力作りから始めることを条件に武術はなんとか了承してもらえた。
子供らしくおねだりした、とだけ言っておこう。
魔法はもとから教えるつもりで、魔法学の基礎が終わればすぐに実践にはいっていいらしい。これも危険なことはするなと口酸っぱく言われたが。
今日から午後に魔法の実技もはいると聞きわたくしは、やっとか!とテンション高めにオーリを部屋に招き入れた。
「エル様、今日はこの国の歴史と魔法学、それからこの辺りの地理をやったら少し外にでて魔法を試して見ようか。」
オーリの言葉に目を輝かせる。
「ええ!早く終わらせましょう!今日はいつもの倍の速度で覚えるわ」
倍の速度、という言葉にオーリがピシリとかたまる。
「エル様…本気じゃなかったの?あれで?」
「失礼ね。わたくしはいつも本気で取り組んでいるわ、見ていれば判るでしょう?そうね、なんていうのかしら、平常時の本気とやる気をだした時の本気、って感じかしら。」
微妙に納得していなさそうな顔で頷かれた。解せぬ。
ということで!午前と午後前半の座学を終わらせてただいま訓練場に来ております!例のごとくついてこようとした父様は追い出しました。仕事もありますしね。
「珍しくテンションたかいね、エル様。」
少し驚いたような顔をするオーリ。それこそ失礼です。わたくしは基本座学のときでもテンションは高めでしたよ。私のせいか顔に出ることがあんまりないだけで。
「実技ですよ実技!楽しみに決まってるわ。」
子供らしいとこもあったんだ、と驚かれます。ひどいです。心外です。わたくしだって魔法に関しては子供ですもん。
「じゃあとりあえずやって見せるから見ててね。」
そういって訓練場の真ん中あたりまで出ていくオーリ。あ、訓練場は貸しきりにしてもらいました。警備の人たちは走り込みに行ったそうです。
前をみるとちょうどオーリが手を前につきだしたところでした。
『範囲を指定―1メートル前方。威力を指定―小。水の壁!』
オーリがそう唱えた瞬間ふわっと水色の光が舞って彼の約1メートル先に水の壁ができる。スッと手を横に薙ぐと、光の粒となって水が消えていった。
「こんな感じ。イメージが大切だけど初めだと範囲や威力を指定した方ができやすいかな。」
おいで、と手招きされ説明される。
「じゃあさっそくやってみようか。」
はーい!と元気よく返事をし、手のひらを前にだす。
「俺の後に続いて言ってみて。」
『範囲を指定―1メートル前方。』
『範囲を指定!1メートル前方!』
『威力を指定―小』
『威力を指定!小!』
『水の壁!』
『水の壁!!』
………ふわってもんじゃない、ぶわっっ!て感じでわたくしの手から水色の光が出る。
隣にいて同じ呪文を唱えていたオーリから驚いたような声があがる。
ごめんなさい、忘れてました魔力チート。イメージは完璧だから同じものが出来ているけど明らかにわたくしの壁の方が水量が多く幅も広い。
すぐさま魔力供給をたつと水は消える。オーリも同じように消していた。
「……。」
「……。」
スッとオーリから目線をそらす。ごめんなさいごめんなさい、魔力チートなんですうう。文句があるならアザレアの運営さんに言ってくださいいいい。
「エル様…?もしかしてこういうこと知ってた?身を守る必要があるってこういうこと?なんで一発目で完璧にできてるの?使ったことあったとか言わないよね?」
今度は顔ごとふいっとそらす。知ってましたよ、ええ。異世界だということに無意識にテンションあがって忘れてたけど。
完璧にできるのはあれです、使ったことあるからです。黙っててごめんなさいすみませんほんと。忘れてたんですうう。自分でもなんでこんな大切なこと頭から抜け落ちてたのか…。
つらつらと謝罪兼返答を心の中で並べる。顔は相変わらず明後日の方向。
「エル様?」
少し力のこもった言葉。
「えーと、ですね…」
はしょりながら、嘘を交えながら説明していく。
誘拐事件のときに無意識に使ってしまって驚いた、とかそんな感じで。
無理がある?気のせいだ。さすがに転生者でここが乙女ゲームの世界で~なんていいだしたら、頭おかしいやつ認定は免れないだろうからすごく難しいんだよ。
「なんかまだ隠してそうだけどそれで納得しておくよ。」
ホッと息をつく。なんとかなった。
「イメージでちゃんと発動できたんなら、イメージ重視でやったほうがいいかもね。変に威力指定すると逆にこわいかも。」
ああ分かってらっしゃる先生!柔軟な考えを持ってる若い(12歳だからほんとにすごく若い)先生でよかった!
「…ええ、そうね。なんか、ほんとありがとうございます。すみません。」
頬をかきながら苦笑い。
そのあと数発危険度の低い魔法を打ち魔力量と質に呆れられたのは言うまでもない。
「じゃあ今日はここまでにして、体力作りにうつろうか。
あ、そうだ。魔力のコントロールを上手くするのに魔力循環っていうのがあるんだ。
エル様はやった方がいいかもね。濃度も濃いし量も多いからね。コントロールできないと大変なことになるんだよ。
こう、身体中に魔力を回す感じで循環させると、感覚もさらに分かりやすくなるはずだから今度試してみて。」
魔力循環、と。ふむ。今度から朝の日課に加えよう。ストレッチと体操、これがわたくしの日課だ。そこに魔力循環が加わっても大した差はない。
「分かったわ、今度やってみるわね。
運動着に着替えてくるからちょっと待っててちょうだい。」
今着てるのはシンプルだけど素材のいいワンピースドレス。さすがにこれじゃあ体力作りには向かないので訓練の時は基本ズボンにワイシャツと、ラフな格好でやっている。
そして今日もオーリに師事し、素振り等体力作りをするのであった。
魔力のことはまたちゃんて考えなきゃな、なんて思いながら。
オーリは最初わたくしの覚えの速さに驚いていたが1週間もたてば慣れたもので、その後はどこか呆れ顔で教えてくれた。
オーリはすごく教えるのがうまかったことを明記しておく。
そうそう、魔法と護身術や剣術などの武術は無事父様の許可をもぎ取ることに成功した。
危険のないように、と無理をしないこと、体力作りから始めることを条件に武術はなんとか了承してもらえた。
子供らしくおねだりした、とだけ言っておこう。
魔法はもとから教えるつもりで、魔法学の基礎が終わればすぐに実践にはいっていいらしい。これも危険なことはするなと口酸っぱく言われたが。
今日から午後に魔法の実技もはいると聞きわたくしは、やっとか!とテンション高めにオーリを部屋に招き入れた。
「エル様、今日はこの国の歴史と魔法学、それからこの辺りの地理をやったら少し外にでて魔法を試して見ようか。」
オーリの言葉に目を輝かせる。
「ええ!早く終わらせましょう!今日はいつもの倍の速度で覚えるわ」
倍の速度、という言葉にオーリがピシリとかたまる。
「エル様…本気じゃなかったの?あれで?」
「失礼ね。わたくしはいつも本気で取り組んでいるわ、見ていれば判るでしょう?そうね、なんていうのかしら、平常時の本気とやる気をだした時の本気、って感じかしら。」
微妙に納得していなさそうな顔で頷かれた。解せぬ。
ということで!午前と午後前半の座学を終わらせてただいま訓練場に来ております!例のごとくついてこようとした父様は追い出しました。仕事もありますしね。
「珍しくテンションたかいね、エル様。」
少し驚いたような顔をするオーリ。それこそ失礼です。わたくしは基本座学のときでもテンションは高めでしたよ。私のせいか顔に出ることがあんまりないだけで。
「実技ですよ実技!楽しみに決まってるわ。」
子供らしいとこもあったんだ、と驚かれます。ひどいです。心外です。わたくしだって魔法に関しては子供ですもん。
「じゃあとりあえずやって見せるから見ててね。」
そういって訓練場の真ん中あたりまで出ていくオーリ。あ、訓練場は貸しきりにしてもらいました。警備の人たちは走り込みに行ったそうです。
前をみるとちょうどオーリが手を前につきだしたところでした。
『範囲を指定―1メートル前方。威力を指定―小。水の壁!』
オーリがそう唱えた瞬間ふわっと水色の光が舞って彼の約1メートル先に水の壁ができる。スッと手を横に薙ぐと、光の粒となって水が消えていった。
「こんな感じ。イメージが大切だけど初めだと範囲や威力を指定した方ができやすいかな。」
おいで、と手招きされ説明される。
「じゃあさっそくやってみようか。」
はーい!と元気よく返事をし、手のひらを前にだす。
「俺の後に続いて言ってみて。」
『範囲を指定―1メートル前方。』
『範囲を指定!1メートル前方!』
『威力を指定―小』
『威力を指定!小!』
『水の壁!』
『水の壁!!』
………ふわってもんじゃない、ぶわっっ!て感じでわたくしの手から水色の光が出る。
隣にいて同じ呪文を唱えていたオーリから驚いたような声があがる。
ごめんなさい、忘れてました魔力チート。イメージは完璧だから同じものが出来ているけど明らかにわたくしの壁の方が水量が多く幅も広い。
すぐさま魔力供給をたつと水は消える。オーリも同じように消していた。
「……。」
「……。」
スッとオーリから目線をそらす。ごめんなさいごめんなさい、魔力チートなんですうう。文句があるならアザレアの運営さんに言ってくださいいいい。
「エル様…?もしかしてこういうこと知ってた?身を守る必要があるってこういうこと?なんで一発目で完璧にできてるの?使ったことあったとか言わないよね?」
今度は顔ごとふいっとそらす。知ってましたよ、ええ。異世界だということに無意識にテンションあがって忘れてたけど。
完璧にできるのはあれです、使ったことあるからです。黙っててごめんなさいすみませんほんと。忘れてたんですうう。自分でもなんでこんな大切なこと頭から抜け落ちてたのか…。
つらつらと謝罪兼返答を心の中で並べる。顔は相変わらず明後日の方向。
「エル様?」
少し力のこもった言葉。
「えーと、ですね…」
はしょりながら、嘘を交えながら説明していく。
誘拐事件のときに無意識に使ってしまって驚いた、とかそんな感じで。
無理がある?気のせいだ。さすがに転生者でここが乙女ゲームの世界で~なんていいだしたら、頭おかしいやつ認定は免れないだろうからすごく難しいんだよ。
「なんかまだ隠してそうだけどそれで納得しておくよ。」
ホッと息をつく。なんとかなった。
「イメージでちゃんと発動できたんなら、イメージ重視でやったほうがいいかもね。変に威力指定すると逆にこわいかも。」
ああ分かってらっしゃる先生!柔軟な考えを持ってる若い(12歳だからほんとにすごく若い)先生でよかった!
「…ええ、そうね。なんか、ほんとありがとうございます。すみません。」
頬をかきながら苦笑い。
そのあと数発危険度の低い魔法を打ち魔力量と質に呆れられたのは言うまでもない。
「じゃあ今日はここまでにして、体力作りにうつろうか。
あ、そうだ。魔力のコントロールを上手くするのに魔力循環っていうのがあるんだ。
エル様はやった方がいいかもね。濃度も濃いし量も多いからね。コントロールできないと大変なことになるんだよ。
こう、身体中に魔力を回す感じで循環させると、感覚もさらに分かりやすくなるはずだから今度試してみて。」
魔力循環、と。ふむ。今度から朝の日課に加えよう。ストレッチと体操、これがわたくしの日課だ。そこに魔力循環が加わっても大した差はない。
「分かったわ、今度やってみるわね。
運動着に着替えてくるからちょっと待っててちょうだい。」
今着てるのはシンプルだけど素材のいいワンピースドレス。さすがにこれじゃあ体力作りには向かないので訓練の時は基本ズボンにワイシャツと、ラフな格好でやっている。
そして今日もオーリに師事し、素振り等体力作りをするのであった。
魔力のことはまたちゃんて考えなきゃな、なんて思いながら。
応援ありがとうございます!
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