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2章 魔導院で働いてみましょう
12話 帰宅
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「じゃあ、ワタシはこれで1回帰るな。」
晩ご飯を食べ終わったあと、ワタシは屋敷に帰るため、皆に声をかけドアを開けた。空はすでに薄暗く星が見え始めている。
「おう、気を付けて帰れよ。また来週もよろしくな。」
研究室のソファーでくつろいでいたカイルがこちらを振り向きながらつげる。それに続いて他のメンバーからもあいさつがかえってきた。
「ああ、また来週。」
ワタシはそう告げ、特に持ち物もないのでギルドカードとリング、それから魔導院のドッグタグだけを持ち魔導院に近い門に向かう。
昨日知ったが、城の敷地内…といってもほとんど違う場所のような感じがするが、その中にある魔導院には近くに1つ職員用の小さな門があるらしい。いつもワタシが入ってきていたのは第2門と言われる魔導院への来客用の門らしく、今度からは魔導院に近い職員用の門を使えと言われた。
歩くこと数分、門と言っていいのか分からないほど小さな門があった。ほとんど部屋についているドアと変わらない。その横に小屋のようなものがあり、そこには門兵さんが二人いた。
首にさげている魔導師としての名前や所属がかかれたプレートを門兵さんに見せると、お疲れ様でした、と声をかけられ門を開けてくれた。
それにお礼をのべ門をくぐる。
しばらく歩き人目のないところにくるとすぐに身体強化等の魔法を使い、暗くなりはじめの街を走り抜け屋敷のすぐそばまであっというまにたどりついた。
イオのまま裏口から中に入る。一度使用人寮に入ってから空き部屋で着替えを済ませ本宅に向かった。まだ灯りのついている父様の部屋の扉をノックすると、どうぞ、と声が聞こえたのでそっと扉を開け入室する。
「エリューシアですわ。ただいま帰りました、父様。」
机で書類に判子を押していた父様は顔をあげ嬉しそうに微笑む。
「お帰り、俺のかわいいエル。」
立ち上がり抱き締めてくる父様。
「父様苦しいです。」
グッと押してみるもなかなか離してくれない。
「お疲れ様。仕事はどうだった?あそこのやつらはいいやつばっかりだろう?楽しかったか?」
質問ぜめ。
「父様、質問は1つずつにしてくださると嬉しいですわ。
そうですわね、楽しかったですよ。いい人ばかりでよくしてもらいましたわ。」
「悪い悪い。そうか、それは良かった。疲れているだろう?今日はもう寝て明日マシュー達に会うといい。話も明日聞かせてもらうよ。」
優しく微笑んだ父様に促され、部屋に戻る。確かに疲れていたからありがたい。明日は明日で淑女教育があるから早めに寝ておこう。
部屋に入ると、侍女が待っていたのでお風呂にはいりそのままその日は寝てしまった。
翌日、早起きをして日課をこなした後、侍女に呼ばれ食堂に向かう。
扉を開けるとそこには既にオーリとマシューが席に座っていた。
「おはようございます、マシュー、オーリ先生。」
あいさつをしてからわたくしも席につく。
「おはようございます!姉様。昨日帰ったのですか?お仕事はどうでしたか?」
にっこりと笑った我が家の天使、マシューがにこにこしながら聞いてくる。何故かこの子、わたくしがいくら冷たくしようとなついてくるのだ。
「おはようございます、エル様。お疲れ様でした。」
オーリも微笑みあいさつを返してくれる。相変わらず胡散臭い。失礼か。失礼だな。
「楽しかったですよ。職場の同僚もいい人ばかりですし、やったことがなかったことをやるのは面白いですわ。」
父様に答えたのとほとんど一緒である。語彙力が乏しいと思われちゃうかしら。まあいいか。
「4日はこちらにいますわ。できたら授業にも顔を出しますわね。」
食事を取りながら談笑する。身に染み付いたテーブルマナーは、数日崩したくらいじゃ衰えていなかった。
「姉様姉様!姉様は明後日お休みですよね?僕も、お休みなんです。オーリ先生と一緒に裏の丘まで行く予定なんですけど、姉様もどうですか?」
思い出したとばかりに声をあげるマシュー。
ふむ。お出掛けですか。すぐそこだけど。
実はこの王都別邸、丘のふもとに建っていて丘ごと我が家の敷地なのだ。
すごいよね。別邸でこれだよ?本邸…領地の方の屋敷はもっとすごい。さすが公爵。
まあ丘って言ってもそんなに大きいものではないけれど、休日に休むにはもってこいの癒しスポットである。
「いいですね、わたくしも行きますわ。」
わたくしの返答に分かりやすく顔を喜色にそめるマシュー。かわいい。わたくしが無表情なのが申し訳なくなる。意図してやっている部分もあるからさらに罪悪感が…。
「決まりですね!明後日が楽しみです。」
ほんとに楽しみなのだろうにこにこと幸せそうに笑っている。微笑ましそうに見守るオーリはわたくしよりも、よほどマシューの兄弟のようだった。
「それじゃあ、明後日!忘れないでくださいよ!姉様、オーリ先生!」
食事を終えたマシューはそのまま食堂を去って行った。
そのあとわたくしもオーリも食事をすませ、各々やるべきことをするために部屋に戻った。
晩ご飯を食べ終わったあと、ワタシは屋敷に帰るため、皆に声をかけドアを開けた。空はすでに薄暗く星が見え始めている。
「おう、気を付けて帰れよ。また来週もよろしくな。」
研究室のソファーでくつろいでいたカイルがこちらを振り向きながらつげる。それに続いて他のメンバーからもあいさつがかえってきた。
「ああ、また来週。」
ワタシはそう告げ、特に持ち物もないのでギルドカードとリング、それから魔導院のドッグタグだけを持ち魔導院に近い門に向かう。
昨日知ったが、城の敷地内…といってもほとんど違う場所のような感じがするが、その中にある魔導院には近くに1つ職員用の小さな門があるらしい。いつもワタシが入ってきていたのは第2門と言われる魔導院への来客用の門らしく、今度からは魔導院に近い職員用の門を使えと言われた。
歩くこと数分、門と言っていいのか分からないほど小さな門があった。ほとんど部屋についているドアと変わらない。その横に小屋のようなものがあり、そこには門兵さんが二人いた。
首にさげている魔導師としての名前や所属がかかれたプレートを門兵さんに見せると、お疲れ様でした、と声をかけられ門を開けてくれた。
それにお礼をのべ門をくぐる。
しばらく歩き人目のないところにくるとすぐに身体強化等の魔法を使い、暗くなりはじめの街を走り抜け屋敷のすぐそばまであっというまにたどりついた。
イオのまま裏口から中に入る。一度使用人寮に入ってから空き部屋で着替えを済ませ本宅に向かった。まだ灯りのついている父様の部屋の扉をノックすると、どうぞ、と声が聞こえたのでそっと扉を開け入室する。
「エリューシアですわ。ただいま帰りました、父様。」
机で書類に判子を押していた父様は顔をあげ嬉しそうに微笑む。
「お帰り、俺のかわいいエル。」
立ち上がり抱き締めてくる父様。
「父様苦しいです。」
グッと押してみるもなかなか離してくれない。
「お疲れ様。仕事はどうだった?あそこのやつらはいいやつばっかりだろう?楽しかったか?」
質問ぜめ。
「父様、質問は1つずつにしてくださると嬉しいですわ。
そうですわね、楽しかったですよ。いい人ばかりでよくしてもらいましたわ。」
「悪い悪い。そうか、それは良かった。疲れているだろう?今日はもう寝て明日マシュー達に会うといい。話も明日聞かせてもらうよ。」
優しく微笑んだ父様に促され、部屋に戻る。確かに疲れていたからありがたい。明日は明日で淑女教育があるから早めに寝ておこう。
部屋に入ると、侍女が待っていたのでお風呂にはいりそのままその日は寝てしまった。
翌日、早起きをして日課をこなした後、侍女に呼ばれ食堂に向かう。
扉を開けるとそこには既にオーリとマシューが席に座っていた。
「おはようございます、マシュー、オーリ先生。」
あいさつをしてからわたくしも席につく。
「おはようございます!姉様。昨日帰ったのですか?お仕事はどうでしたか?」
にっこりと笑った我が家の天使、マシューがにこにこしながら聞いてくる。何故かこの子、わたくしがいくら冷たくしようとなついてくるのだ。
「おはようございます、エル様。お疲れ様でした。」
オーリも微笑みあいさつを返してくれる。相変わらず胡散臭い。失礼か。失礼だな。
「楽しかったですよ。職場の同僚もいい人ばかりですし、やったことがなかったことをやるのは面白いですわ。」
父様に答えたのとほとんど一緒である。語彙力が乏しいと思われちゃうかしら。まあいいか。
「4日はこちらにいますわ。できたら授業にも顔を出しますわね。」
食事を取りながら談笑する。身に染み付いたテーブルマナーは、数日崩したくらいじゃ衰えていなかった。
「姉様姉様!姉様は明後日お休みですよね?僕も、お休みなんです。オーリ先生と一緒に裏の丘まで行く予定なんですけど、姉様もどうですか?」
思い出したとばかりに声をあげるマシュー。
ふむ。お出掛けですか。すぐそこだけど。
実はこの王都別邸、丘のふもとに建っていて丘ごと我が家の敷地なのだ。
すごいよね。別邸でこれだよ?本邸…領地の方の屋敷はもっとすごい。さすが公爵。
まあ丘って言ってもそんなに大きいものではないけれど、休日に休むにはもってこいの癒しスポットである。
「いいですね、わたくしも行きますわ。」
わたくしの返答に分かりやすく顔を喜色にそめるマシュー。かわいい。わたくしが無表情なのが申し訳なくなる。意図してやっている部分もあるからさらに罪悪感が…。
「決まりですね!明後日が楽しみです。」
ほんとに楽しみなのだろうにこにこと幸せそうに笑っている。微笑ましそうに見守るオーリはわたくしよりも、よほどマシューの兄弟のようだった。
「それじゃあ、明後日!忘れないでくださいよ!姉様、オーリ先生!」
食事を終えたマシューはそのまま食堂を去って行った。
そのあとわたくしもオーリも食事をすませ、各々やるべきことをするために部屋に戻った。
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