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九話 それぞれの動き2
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「こんばんは」
「……」
オーウェンさんから、夜中に窓から友人が訪ねるから驚かないで欲しいと連絡を受けていたが、実際に現れると思わず悲鳴を上げそうになった。
頭から足先まで黒い服で覆われ、瞳だけが見える。
大きな黒猫を連想させた。
「予告していても、みんな驚いちゃうのよね。ごめんなさいね。見張りを掻い潜るにはこの方法しかなかったの。部屋に入っても?」
「どっ、どうぞ……」
女性は軽い身のこなしで部屋に入り、窓やカーテンを素早く閉めた。
「ソフィア・フィートです。平民街で探偵兼弁護士をしています」
「リリーシアです」
彼女は顔を覆っていたマスク?を外し、礼儀正しく握手を求めてきたので、私もその手を握り、挨拶を交わした。
突然現れて驚いたが、好い人そうで良かった。
「早速ですが、お話を聞かせてほしいです。座っても?」
「もちろん。あの、何のお構いもできなくてごめんなさい」
「いいえ、指示通りにしてもらった方が助かります」
ソフィアさんは椅子に座り、私にもベッドに座るよう促した。
「オーウェンに『お茶などは準備させないで』と指示したのは私です。いつもと違う行動をすると、こちらを見張っている者に気取られますから。普段通り部屋にいて欲しかったんです。お茶はこの事件が落ち着いたらにしましょう。平民街ですが、お洒落なカフェを知っているので、良ければ」
「はい。ありがとうございます」
私が笑うと、彼女も優しく微笑んだ。
「そのためにも、話を聞かせてください。まず、何があったのか」
私はあの日の出来事を話した。
娘と部屋でゆっくりしていると、エドワードが部屋に訪れ、娘が彼の子供ではないと診断された鑑定書を突きつけられた。
そして、私が護衛騎士のオーウェンさんと浮気をしていると告げられた。
もちろん、事実無根だ。
私はエドワードを愛していたし、この体を彼以外に許したことはない。
赤ちゃんの髪の色が黒いことを問題視していたが、私の祖母は黒髪だったので、何らおかしなことはないと説明した。
しかし、彼は信じてくれなかった。
詳細は覚えていないが、私とオーウェンさんが情事を重ねていた宿の亭主の証言書や、何処かでデートしていた証言、あと……お揃いのアクセサリーがあったと言っていたと思う。
「お揃いのアクセサリーって、これですか?」
ソフィアさんが胸元からネックレスを取り出した。
見覚えはない。
「わかりません。エドワードが言っていただけで、どんな物か知らないです。それは何ですか?」
「なるほど」
彼女はアクセサリーを胸にしまった。
「これはオーウェンが持っていました。ただ、本人も見覚えがないらしく、伯爵たちに捕まって取り調べを受けているときに、いつの間にか首にかかっていたそうです」
「はあ……」
そんなことってあるの?
「おそらく、オーウェンをハメるために、誰かが首にかけたんではないかと考えてます」
「誰か?」
「まだ調査中なので、詳しくはわかっていません。オーウェンが捕らえられる前夜は、伯爵家の副騎士団長の定年祝いで飲み会が開かれていたそうです。そこで、酒に強いはずのオーウェンが酔いつぶれ、気が付いたら自室のベッドの上。同僚騎士たちが踏み込んできた時に目を覚まし、そのまま取調べ室に連行されたそうです」
副騎士団長の定年祝いか……。
たしか、出産してすぐあとに開かれてたわ。私は動けないから、イモージェンに祝いの品を手配するようにお願いしたっけ。
副騎士団長……。接点はなかったが、部下思いの方と聞いたことがあったな。
「有志での飲み会ですか?」
「はじめはそのように計画していたそうですが、伯爵から労いを兼ねてお金を出すと話が来たそうです。ただ、日程は奥様の出産後にするよう言われ、伯爵から開催日を指定されたらしいです」
エドワードが?
しかも私の出産後に。
「ははっ……」
本当、いつから私を陥れる計画をしていたのやら……。
何食わぬ顔で私と笑い合い、子供の名前やどんな子に育って欲しいなど、どんな気持ちで話していたのかしら。
「奥様……」
「ごめんなさい。なんでもないの。あっ、奥様はやめてもらえますか?リリーシアって呼んで欲しいです。それから敬語もやめましょう。今は貴族籍を剥奪されていますし、年下ですから。それに離婚しますし」
そう。私は離婚する。
エドワードのことなんて、どうでも良いじゃない。ちゃんと離婚して、しっかりお金をもらって、それから娘と幸せに暮らす。
あの人のことで、気持ちを下げる必要はない。
こんな事態、笑って乗り越えてやるわ。
「わかりまし……いえ、わかったわ。じゃ、私もソフィアでいいわ。敬語もなし」
「え?」
「腹を割って話しましょ。その方が私もやりやすいわ」
ソフィアが手を差し出した。
先程の形式的な挨拶ではなく、仲間に対する握手のように感じた。
「離婚の話が出たから、聞きたかったことを率直に聞くわ。本当に離婚するの?」
「えぇ」
「離婚って簡単に言うけど、貴族の奥様が一人で子供を抱えて生きていくのは相当大変よ。出戻り――」
「出戻り娘は世間体が悪くて、実家や実家の領地で暮らす女性は少ないってことでしょ?もちろん知ってるわ。でも、その点は問題ないと思う。炊事洗濯掃除、男爵領では家族が分担して行っていたから、一通りできるの。まぁ、平民の主婦の方に比べたら要領やスピードは無いけど、それも慣れれば問題ないと思う。ただ、畑仕事や馬の扱い方は見てただけで、やったことがないから、田舎で暮らすことに不安がないわけじゃない。でも、やってやるわ」
アリアと生活するのに必要なら、何だってやるし、努力は惜しまないわ。
それに、万が一の場合はお金さえあれば、お手伝いさんを雇って、生活の基盤を整えられる。
アリアのお母さんになったとき、覚悟は決まったわ。
「お花畑のお嬢さんかと思ってたけど、良いじゃない。悪くない顔ね。じゃ、離婚して、慰謝料と養育費をガッツリいただいちゃいましょ!」
「はい!」
「そうと決まれば、サクッと濡れ衣を晴らしちゃおう!まず、ネックレスの出所を調査しようと思うわ。オーウェンもリリーシアも知らないなら、犯人が用意したものでしょ」
「それなら、オーウェンさんにも話したけど、ハーバイン商会を訪ねてみて。兄さんの奥さんの実家で、きっと力になってくれると思うの」
「えぇ、そのつもり。オーウェンから預かったあの手紙も有効活用させてもらうね。あと、オーウェンとお嬢ちゃんの親子鑑定を取りたいんだけどいいかな?」
「もちろん構わないわ。どうすればいいの?」
「え?」
「え?」
ソフィアに何故か驚かれた。
「え?伯爵と親子鑑定したんでしょ?」
「そうみたいだけど、知らぬ間によ。エドワードが突然親子鑑定書を突き付けてきただけだから、よく知らないの」
私の言葉にソフィアは首をかしげて考えている。
「……同意書にサインした?」
「同意書?」
ソフィアが不敵に笑った。
「親子鑑定書は偽造ね」
「え?うん、娘は絶対エドワードの子供――」
「違う違う。親子鑑定書そのものが偽造されてるわ。親子鑑定書を作るには、王立サンブラノ研究所に行って、検査員がその場で本人確認と血を採取する決まりがあるの。じゃないと本当にその人の血かわからないじゃない。ただ、諸事情で研究所に訪れることができない場合は、検査員が訪問して血液を採取し、被験者が同意書を書くの。赤子の場合は母親が代わりに書くのよ」
「それじゃあ……」
「伯爵の持ってる親子鑑定書は偽造書類ってこと。公的書類偽造罪が適用され、貴族でも禁固刑が課せられるわ」
禁固刑?!
そんな重罪なの?!
「ふふっ。面白くなってきたわ」
ソフィアが悪人のような顔で笑っている……。
「……」
オーウェンさんから、夜中に窓から友人が訪ねるから驚かないで欲しいと連絡を受けていたが、実際に現れると思わず悲鳴を上げそうになった。
頭から足先まで黒い服で覆われ、瞳だけが見える。
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「ソフィア・フィートです。平民街で探偵兼弁護士をしています」
「リリーシアです」
彼女は顔を覆っていたマスク?を外し、礼儀正しく握手を求めてきたので、私もその手を握り、挨拶を交わした。
突然現れて驚いたが、好い人そうで良かった。
「早速ですが、お話を聞かせてほしいです。座っても?」
「もちろん。あの、何のお構いもできなくてごめんなさい」
「いいえ、指示通りにしてもらった方が助かります」
ソフィアさんは椅子に座り、私にもベッドに座るよう促した。
「オーウェンに『お茶などは準備させないで』と指示したのは私です。いつもと違う行動をすると、こちらを見張っている者に気取られますから。普段通り部屋にいて欲しかったんです。お茶はこの事件が落ち着いたらにしましょう。平民街ですが、お洒落なカフェを知っているので、良ければ」
「はい。ありがとうございます」
私が笑うと、彼女も優しく微笑んだ。
「そのためにも、話を聞かせてください。まず、何があったのか」
私はあの日の出来事を話した。
娘と部屋でゆっくりしていると、エドワードが部屋に訪れ、娘が彼の子供ではないと診断された鑑定書を突きつけられた。
そして、私が護衛騎士のオーウェンさんと浮気をしていると告げられた。
もちろん、事実無根だ。
私はエドワードを愛していたし、この体を彼以外に許したことはない。
赤ちゃんの髪の色が黒いことを問題視していたが、私の祖母は黒髪だったので、何らおかしなことはないと説明した。
しかし、彼は信じてくれなかった。
詳細は覚えていないが、私とオーウェンさんが情事を重ねていた宿の亭主の証言書や、何処かでデートしていた証言、あと……お揃いのアクセサリーがあったと言っていたと思う。
「お揃いのアクセサリーって、これですか?」
ソフィアさんが胸元からネックレスを取り出した。
見覚えはない。
「わかりません。エドワードが言っていただけで、どんな物か知らないです。それは何ですか?」
「なるほど」
彼女はアクセサリーを胸にしまった。
「これはオーウェンが持っていました。ただ、本人も見覚えがないらしく、伯爵たちに捕まって取り調べを受けているときに、いつの間にか首にかかっていたそうです」
「はあ……」
そんなことってあるの?
「おそらく、オーウェンをハメるために、誰かが首にかけたんではないかと考えてます」
「誰か?」
「まだ調査中なので、詳しくはわかっていません。オーウェンが捕らえられる前夜は、伯爵家の副騎士団長の定年祝いで飲み会が開かれていたそうです。そこで、酒に強いはずのオーウェンが酔いつぶれ、気が付いたら自室のベッドの上。同僚騎士たちが踏み込んできた時に目を覚まし、そのまま取調べ室に連行されたそうです」
副騎士団長の定年祝いか……。
たしか、出産してすぐあとに開かれてたわ。私は動けないから、イモージェンに祝いの品を手配するようにお願いしたっけ。
副騎士団長……。接点はなかったが、部下思いの方と聞いたことがあったな。
「有志での飲み会ですか?」
「はじめはそのように計画していたそうですが、伯爵から労いを兼ねてお金を出すと話が来たそうです。ただ、日程は奥様の出産後にするよう言われ、伯爵から開催日を指定されたらしいです」
エドワードが?
しかも私の出産後に。
「ははっ……」
本当、いつから私を陥れる計画をしていたのやら……。
何食わぬ顔で私と笑い合い、子供の名前やどんな子に育って欲しいなど、どんな気持ちで話していたのかしら。
「奥様……」
「ごめんなさい。なんでもないの。あっ、奥様はやめてもらえますか?リリーシアって呼んで欲しいです。それから敬語もやめましょう。今は貴族籍を剥奪されていますし、年下ですから。それに離婚しますし」
そう。私は離婚する。
エドワードのことなんて、どうでも良いじゃない。ちゃんと離婚して、しっかりお金をもらって、それから娘と幸せに暮らす。
あの人のことで、気持ちを下げる必要はない。
こんな事態、笑って乗り越えてやるわ。
「わかりまし……いえ、わかったわ。じゃ、私もソフィアでいいわ。敬語もなし」
「え?」
「腹を割って話しましょ。その方が私もやりやすいわ」
ソフィアが手を差し出した。
先程の形式的な挨拶ではなく、仲間に対する握手のように感じた。
「離婚の話が出たから、聞きたかったことを率直に聞くわ。本当に離婚するの?」
「えぇ」
「離婚って簡単に言うけど、貴族の奥様が一人で子供を抱えて生きていくのは相当大変よ。出戻り――」
「出戻り娘は世間体が悪くて、実家や実家の領地で暮らす女性は少ないってことでしょ?もちろん知ってるわ。でも、その点は問題ないと思う。炊事洗濯掃除、男爵領では家族が分担して行っていたから、一通りできるの。まぁ、平民の主婦の方に比べたら要領やスピードは無いけど、それも慣れれば問題ないと思う。ただ、畑仕事や馬の扱い方は見てただけで、やったことがないから、田舎で暮らすことに不安がないわけじゃない。でも、やってやるわ」
アリアと生活するのに必要なら、何だってやるし、努力は惜しまないわ。
それに、万が一の場合はお金さえあれば、お手伝いさんを雇って、生活の基盤を整えられる。
アリアのお母さんになったとき、覚悟は決まったわ。
「お花畑のお嬢さんかと思ってたけど、良いじゃない。悪くない顔ね。じゃ、離婚して、慰謝料と養育費をガッツリいただいちゃいましょ!」
「はい!」
「そうと決まれば、サクッと濡れ衣を晴らしちゃおう!まず、ネックレスの出所を調査しようと思うわ。オーウェンもリリーシアも知らないなら、犯人が用意したものでしょ」
「それなら、オーウェンさんにも話したけど、ハーバイン商会を訪ねてみて。兄さんの奥さんの実家で、きっと力になってくれると思うの」
「えぇ、そのつもり。オーウェンから預かったあの手紙も有効活用させてもらうね。あと、オーウェンとお嬢ちゃんの親子鑑定を取りたいんだけどいいかな?」
「もちろん構わないわ。どうすればいいの?」
「え?」
「え?」
ソフィアに何故か驚かれた。
「え?伯爵と親子鑑定したんでしょ?」
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「……同意書にサインした?」
「同意書?」
ソフィアが不敵に笑った。
「親子鑑定書は偽造ね」
「え?うん、娘は絶対エドワードの子供――」
「違う違う。親子鑑定書そのものが偽造されてるわ。親子鑑定書を作るには、王立サンブラノ研究所に行って、検査員がその場で本人確認と血を採取する決まりがあるの。じゃないと本当にその人の血かわからないじゃない。ただ、諸事情で研究所に訪れることができない場合は、検査員が訪問して血液を採取し、被験者が同意書を書くの。赤子の場合は母親が代わりに書くのよ」
「それじゃあ……」
「伯爵の持ってる親子鑑定書は偽造書類ってこと。公的書類偽造罪が適用され、貴族でも禁固刑が課せられるわ」
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