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十五話 本当に怖いこと
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「離婚するか、しないか。それは置いといて、伯爵とやり直す余地はあるかどうか考えてみて」
やり……直す?
エドワードと?
それはないでしょう。
そもそも、彼はやり直す気がないだろう。
イモージェンは妊娠しているのだから、妻に迎えたいに決まってる。
王族であれば側室として愛人を側に置けるが、一般貴族は一夫一妻が原則。私が離婚しなければ、イモージェンは愛人のままで、産まれてくる子供は婚外子として蔑まれるだろう。
二人を苦しめる目的なら、離婚しないで二人を世間の笑い者にするって手はあるが、そんな惨めなことはしたくない。
やり直すという考えが、そもそも間違っているのではないかしら?
「宮内国政機関の前で伯爵に会ったけど、彼、貴女が異議申立てをするのか聞いてきたわ。別れを望んでいるのに、まるで、別れたくないと貴女に言って欲しいようだった」
「え……」
「伯爵は貴女に未練があるわ。確証はないけど、今回の浮気騒動は誰かに仕組まれていて、伯爵も騙されて貴女を責め――」
「そんなことないわ!!」
エドワードはイモージェンに心変わりして、彼女を正妻にするために私を捨てたのよ。私を悪者にして、彼を慰めた心優しい女性とでも言いふらして、私を踏みつけて二人は幸せになろうとしているのよ。
──そんなの許せない!
「落ち着いて。可能性ってだけで、真実はどうかわからないわ」
「……ふぅ……。ごめんなさい。取り乱したわ」
「そう言った可能性も考えて、伯爵とやり直せる余地はある?リリーシアが浮気してないってわかって、彼が謝って、やり直したいって言われて、受け入れられる?」
エドワードも騙されていた?
そんなことってあるの?
やり直す……。
やり直す余地があるなら……。
私はアリアを見た。
「娘のことは抜きに考えて」
「っ……」
アリアのためにやり直そうかと考えた。
でも、そんな私の思考にソフィアは『自分と向き合え』と言っているように思えた。
アリアのことを考えないで、私とエドワードのことを考える。
もしも、貴族学院で私が浮気していると噂が出たとする。そんなとき、彼から『浮気してるのか』と聞かれることなく、私の話は一切聞かないで責め、周りの友だちにあることないことを吹き込んできたら……いくら謝られても、元の関係に戻れるとは思えない。
だって『そういう人』ってことでしょ。
何かトラブルが起きたとき、話し合いもしないで切り捨てる身勝手な人で、周りを巻き込んで私を攻撃する卑怯者と、この先ずっと一緒に生きていくなんて、正気の沙汰じゃないわ。
……なんだ。
答えは簡単じゃない。
「受け入れられないわ。騙されていたとしても、彼のやり方は最低よ」
ソフィアにまっすぐ伝えた。
「私の人生に、エドワードは必要ない。だけどアリアにとってはわからないわ。いつか……父親を恋しがるかも。父親がいないことで悲しい思いをするかもしれない」
あんな人でも、アリアにとっては父親だ。
「それに、離婚となれば、家に迷惑をかけないためにも『ブロリーン男爵令嬢』に戻ることは出来ない。私は貴族籍なんてどうでも良いと思っているわ。むしろ重荷にさえ思ってたから、平民になってのんびり暮らしたい。だけど、アリアはどうかしら……。『貴族』として煌びやかな生活に憧れるのではないか」
アリアが手にすることが出来た『伯爵令嬢として不自由ない生活』を私が……奪ってしまう。
「……怖いの」
卑怯な自分が情けない……。
アリアが可哀想とか、アリアが苦労するからとか、『良い母親』を演じようとしている。
本心は――
「娘に恨まれることが……怖い」
情けない声が自分からこぼれた。
娘のためじゃない、自分が……可愛いだけの臆病者の恐怖心が『娘のため』と言いわけして、選択を先伸ばしにしたいだけだ。むしろ、大きくなったアリアに、こんな重く苦しい決断をさせようと逃げる……。
情けない。
「怖いと思って当然よ」
ソフィアに抱き締められた。
「自分のことなら、自分の心と向き合って決断出来るわ。たとえ、その決断が最善ではなかったとしても、少なくとも納得はできる。でも子供は貴女とは別人で、貴女の選択に大きく人生が左右されてしまう。貴女を恨むかもしれない。怒るかも。この選択で良いのか、悩むだろうし、怖いと思うのは当然じゃない」
優しく背中を撫でられた。
「実際問題、何が正しいかなんて、子供が大きくなったときに、それこそ子供が年老いて死ぬまでわからないわよ」
年老いて死ぬまでわからない?
「私の師匠が担当した案件だけど、旦那の浮気が原因で離婚した夫婦がいたの。子供は男の子が一人ね。その子は、お母さんが旦那の浮気に心を痛めて泣いてる姿が嫌で、早く離婚して、元気なお母さんになってほしいって思ったそうよ。それで、離婚が成立してお母さんは元気になって、お仕事も頑張ってたらしいわ。でも、お仕事をしているから子供との時間が少なくなって、その子はとても寂しい思いをしたそうよ。こんなことなら、離婚しない方が良かったかもしれないって、お母さんを責めてしまったこともあったらしいわ。でも、その後、お母さんが必死に貯めたお金と旦那から徴収した養育費で医者になって、今では平民街で医者として働いているわ。患者に寄り添ってくれる素敵なお医者様って評判よ。『親の離婚で嫌な思いもしたけど、その分人の痛みが理解出来る。お母さんを恨んだこともあるが、元気に笑ってるお母さんが見れて、あの時離婚して良かったとも思ってる』って話してたわ。結局、良かったのか悪かったのか、その時々で意見が変わっていくものなのよ」
意見が変わる……。
そういう……ものなのかな?
「子供がどんな大人になるかは、今はわからない。子供にとって何が正解かなんて、子供にすらわからない。親が出来ることは、子供と真摯に向き合うことだけだよ」
真摯に向き合う……。
「今は赤ちゃんだから、離婚について話すことは出来ないけど、成長する過程で、いつか父親のことを聞いてくるでしょ。その時に、嘘や誤魔化しはしないで、分かりやすく説明することが大事」
「……死んだって説明しちゃダメかな……」
「それはオススメしないわ。その嘘が発覚したとき、子供との絆が崩れてしまって、親のことを信じられなくなる事案もあったわ」
ダメね。
また逃げようとしてしまった。
「リリーシア。そんなに焦らなくていいのよ。突然身に覚えのない浮気で責められて、離婚問題に直面しているのだから、貴女の気持ちだってグチャグチャのはずよ。怖かったり、逃げ出したいって思って当然。なのに、貴女は立ち向かおうと頑張ってるわ。大丈夫。貴女は大丈夫だから、落ち着いて」
「ソフィア……」
頭を撫でられると、とても落ち着く。
「頭がグチャグチャな時は、具体的に考えることをオススメするわ。いろいろな事をすっ飛ばすけど、離婚が成立したら、どんなところに住みたい?」
「え?」
「憧れの領地とか、行ってみたかった場所とか、何かない?」
突然そんなことを言われても……。
「引っ越した先で、どんな仕事につきたいか、希望はある?」
「……ごめんなさい。何も……思いつかない」
「なら、考えなきゃ。まず、子育てしやすい町が良いでしょ?領地を治める奴によって、子育て支援とか、環境が変わってくるから、リリーシアが子育てしやすい場所を探しましょ。それから、どんな仕事につきたいか。もちろん、子供との時間がきちんと取れるぐらい、慰謝料と養育費をガッツリもぎ取る予定だけど、ずっと家にいるわけにもいかないでしょ?」
「そっ……そうね」
離婚のことばかり考えていたけど、離婚のその先も考えなきゃいけなかったわ……。
「グチャグチャな時は、一つずつ解決していけば良いのよ。それも具体的に考えて行動する。そうすれば、自ずと方向性が見えてくる。ただ、焦りは禁物だからね!」
ソフィアにウインクされた。
儚げな美人さんなのに、悪戯っ子みたいな顔だ。
「フフッ……」
「フフッ……」
私が笑うとソフィアも笑った。
何だか……心が軽くなっていくようだ。
ひとしきり笑い合って、ソフィアは異議申立て書の書類を持って部屋を出ていった。
次に会いに来るときは、子育て支援が充実している町を、スター兄様にリストアップさせるって話していた。
スター兄様は警戒心が強くて、少々気難しい人なのだが、ソフィアとは良い関係になったように思えた。
ソフィアってすごいな~。
直接聞いたわけじゃないが、彼女も両親の離婚を経験した子供なのだとわかった。
きっと、彼女のためにお母さんは離婚に踏み切れなくて、辛い思いをし、それを彼女も見て辛かったのだと思う。
ソフィアの言葉は、未来の娘の声のように思えた。
子供と真摯に向き合う……。
ソフィアのお母さんは、彼女と真摯に向き合ったのね。あんなに素敵な女性に育っているのだもの。きっと……素敵なお母さんなんだろうな。
ベッドでぐっすり眠っているアリアを見た。
寝顔が天使のようだ。
「お母さん、頑張るからね」
やり……直す?
エドワードと?
それはないでしょう。
そもそも、彼はやり直す気がないだろう。
イモージェンは妊娠しているのだから、妻に迎えたいに決まってる。
王族であれば側室として愛人を側に置けるが、一般貴族は一夫一妻が原則。私が離婚しなければ、イモージェンは愛人のままで、産まれてくる子供は婚外子として蔑まれるだろう。
二人を苦しめる目的なら、離婚しないで二人を世間の笑い者にするって手はあるが、そんな惨めなことはしたくない。
やり直すという考えが、そもそも間違っているのではないかしら?
「宮内国政機関の前で伯爵に会ったけど、彼、貴女が異議申立てをするのか聞いてきたわ。別れを望んでいるのに、まるで、別れたくないと貴女に言って欲しいようだった」
「え……」
「伯爵は貴女に未練があるわ。確証はないけど、今回の浮気騒動は誰かに仕組まれていて、伯爵も騙されて貴女を責め――」
「そんなことないわ!!」
エドワードはイモージェンに心変わりして、彼女を正妻にするために私を捨てたのよ。私を悪者にして、彼を慰めた心優しい女性とでも言いふらして、私を踏みつけて二人は幸せになろうとしているのよ。
──そんなの許せない!
「落ち着いて。可能性ってだけで、真実はどうかわからないわ」
「……ふぅ……。ごめんなさい。取り乱したわ」
「そう言った可能性も考えて、伯爵とやり直せる余地はある?リリーシアが浮気してないってわかって、彼が謝って、やり直したいって言われて、受け入れられる?」
エドワードも騙されていた?
そんなことってあるの?
やり直す……。
やり直す余地があるなら……。
私はアリアを見た。
「娘のことは抜きに考えて」
「っ……」
アリアのためにやり直そうかと考えた。
でも、そんな私の思考にソフィアは『自分と向き合え』と言っているように思えた。
アリアのことを考えないで、私とエドワードのことを考える。
もしも、貴族学院で私が浮気していると噂が出たとする。そんなとき、彼から『浮気してるのか』と聞かれることなく、私の話は一切聞かないで責め、周りの友だちにあることないことを吹き込んできたら……いくら謝られても、元の関係に戻れるとは思えない。
だって『そういう人』ってことでしょ。
何かトラブルが起きたとき、話し合いもしないで切り捨てる身勝手な人で、周りを巻き込んで私を攻撃する卑怯者と、この先ずっと一緒に生きていくなんて、正気の沙汰じゃないわ。
……なんだ。
答えは簡単じゃない。
「受け入れられないわ。騙されていたとしても、彼のやり方は最低よ」
ソフィアにまっすぐ伝えた。
「私の人生に、エドワードは必要ない。だけどアリアにとってはわからないわ。いつか……父親を恋しがるかも。父親がいないことで悲しい思いをするかもしれない」
あんな人でも、アリアにとっては父親だ。
「それに、離婚となれば、家に迷惑をかけないためにも『ブロリーン男爵令嬢』に戻ることは出来ない。私は貴族籍なんてどうでも良いと思っているわ。むしろ重荷にさえ思ってたから、平民になってのんびり暮らしたい。だけど、アリアはどうかしら……。『貴族』として煌びやかな生活に憧れるのではないか」
アリアが手にすることが出来た『伯爵令嬢として不自由ない生活』を私が……奪ってしまう。
「……怖いの」
卑怯な自分が情けない……。
アリアが可哀想とか、アリアが苦労するからとか、『良い母親』を演じようとしている。
本心は――
「娘に恨まれることが……怖い」
情けない声が自分からこぼれた。
娘のためじゃない、自分が……可愛いだけの臆病者の恐怖心が『娘のため』と言いわけして、選択を先伸ばしにしたいだけだ。むしろ、大きくなったアリアに、こんな重く苦しい決断をさせようと逃げる……。
情けない。
「怖いと思って当然よ」
ソフィアに抱き締められた。
「自分のことなら、自分の心と向き合って決断出来るわ。たとえ、その決断が最善ではなかったとしても、少なくとも納得はできる。でも子供は貴女とは別人で、貴女の選択に大きく人生が左右されてしまう。貴女を恨むかもしれない。怒るかも。この選択で良いのか、悩むだろうし、怖いと思うのは当然じゃない」
優しく背中を撫でられた。
「実際問題、何が正しいかなんて、子供が大きくなったときに、それこそ子供が年老いて死ぬまでわからないわよ」
年老いて死ぬまでわからない?
「私の師匠が担当した案件だけど、旦那の浮気が原因で離婚した夫婦がいたの。子供は男の子が一人ね。その子は、お母さんが旦那の浮気に心を痛めて泣いてる姿が嫌で、早く離婚して、元気なお母さんになってほしいって思ったそうよ。それで、離婚が成立してお母さんは元気になって、お仕事も頑張ってたらしいわ。でも、お仕事をしているから子供との時間が少なくなって、その子はとても寂しい思いをしたそうよ。こんなことなら、離婚しない方が良かったかもしれないって、お母さんを責めてしまったこともあったらしいわ。でも、その後、お母さんが必死に貯めたお金と旦那から徴収した養育費で医者になって、今では平民街で医者として働いているわ。患者に寄り添ってくれる素敵なお医者様って評判よ。『親の離婚で嫌な思いもしたけど、その分人の痛みが理解出来る。お母さんを恨んだこともあるが、元気に笑ってるお母さんが見れて、あの時離婚して良かったとも思ってる』って話してたわ。結局、良かったのか悪かったのか、その時々で意見が変わっていくものなのよ」
意見が変わる……。
そういう……ものなのかな?
「子供がどんな大人になるかは、今はわからない。子供にとって何が正解かなんて、子供にすらわからない。親が出来ることは、子供と真摯に向き合うことだけだよ」
真摯に向き合う……。
「今は赤ちゃんだから、離婚について話すことは出来ないけど、成長する過程で、いつか父親のことを聞いてくるでしょ。その時に、嘘や誤魔化しはしないで、分かりやすく説明することが大事」
「……死んだって説明しちゃダメかな……」
「それはオススメしないわ。その嘘が発覚したとき、子供との絆が崩れてしまって、親のことを信じられなくなる事案もあったわ」
ダメね。
また逃げようとしてしまった。
「リリーシア。そんなに焦らなくていいのよ。突然身に覚えのない浮気で責められて、離婚問題に直面しているのだから、貴女の気持ちだってグチャグチャのはずよ。怖かったり、逃げ出したいって思って当然。なのに、貴女は立ち向かおうと頑張ってるわ。大丈夫。貴女は大丈夫だから、落ち着いて」
「ソフィア……」
頭を撫でられると、とても落ち着く。
「頭がグチャグチャな時は、具体的に考えることをオススメするわ。いろいろな事をすっ飛ばすけど、離婚が成立したら、どんなところに住みたい?」
「え?」
「憧れの領地とか、行ってみたかった場所とか、何かない?」
突然そんなことを言われても……。
「引っ越した先で、どんな仕事につきたいか、希望はある?」
「……ごめんなさい。何も……思いつかない」
「なら、考えなきゃ。まず、子育てしやすい町が良いでしょ?領地を治める奴によって、子育て支援とか、環境が変わってくるから、リリーシアが子育てしやすい場所を探しましょ。それから、どんな仕事につきたいか。もちろん、子供との時間がきちんと取れるぐらい、慰謝料と養育費をガッツリもぎ取る予定だけど、ずっと家にいるわけにもいかないでしょ?」
「そっ……そうね」
離婚のことばかり考えていたけど、離婚のその先も考えなきゃいけなかったわ……。
「グチャグチャな時は、一つずつ解決していけば良いのよ。それも具体的に考えて行動する。そうすれば、自ずと方向性が見えてくる。ただ、焦りは禁物だからね!」
ソフィアにウインクされた。
儚げな美人さんなのに、悪戯っ子みたいな顔だ。
「フフッ……」
「フフッ……」
私が笑うとソフィアも笑った。
何だか……心が軽くなっていくようだ。
ひとしきり笑い合って、ソフィアは異議申立て書の書類を持って部屋を出ていった。
次に会いに来るときは、子育て支援が充実している町を、スター兄様にリストアップさせるって話していた。
スター兄様は警戒心が強くて、少々気難しい人なのだが、ソフィアとは良い関係になったように思えた。
ソフィアってすごいな~。
直接聞いたわけじゃないが、彼女も両親の離婚を経験した子供なのだとわかった。
きっと、彼女のためにお母さんは離婚に踏み切れなくて、辛い思いをし、それを彼女も見て辛かったのだと思う。
ソフィアの言葉は、未来の娘の声のように思えた。
子供と真摯に向き合う……。
ソフィアのお母さんは、彼女と真摯に向き合ったのね。あんなに素敵な女性に育っているのだもの。きっと……素敵なお母さんなんだろうな。
ベッドでぐっすり眠っているアリアを見た。
寝顔が天使のようだ。
「お母さん、頑張るからね」
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