デブだから婚約破棄?!上等だ、お前なんかこっちから願い下げだ!!

ともどーも

文字の大きさ
6 / 37

6話 王城パーティーは

しおりを挟む
~ クローヴィア視点 ~

 大魔法成功から半年が経った。
 遠隔水晶との接続や、各領地の効率のよい設置場所の査定などでとにかく忙しかった。
 国王陛下から『大魔法成功の祝賀会』を開きたいと再三催促があったが、王弟殿下に止められていたため、本日まで延びてしまった。

「はぁ~」
 思わずため息が出る。

 今はパーティーの為、王城に設けられた大聖女専用の一室に居る。とても豪華な部屋だ。
 ドレスも白と金を基調とし、真珠やダイヤモンドなどがちりばめられ、とてもキラキラしている。
 正直、こんなキラキラした服は好みではないが、これからの作戦に『威厳』は必要な要素の為、おとなしく化粧台の前に座っている。

「ついにこの日が来たのですね」
 私の髪をセッティングしながら声を弾ませるのは、昔から私に仕えてくれるアンナだ。
 燃えるような赤毛。翡翠の瞳は少しつり目気味でキツそうな性格に見えるが、本当は涙もろくて、心優しい姉のような存在だ。

 神聖力を体内に備蓄するためとは言え、ブクブク太っていく私に変わらず仕えてくれた。
 使用人の中には、私の変化を『聖女になったから傲慢になり、食欲の化け物になった』なんて陰口を言う者もいたわ。
 けれどアンナは『お嬢様は何か考えがあって、このように変化されたはずです。それに、太るにしても食べた量と比例しません。きっと魔法の研究の何かなのでしょう。ただ、体調に異変がありましたらすぐにお止めしますので、くれぐれも無理をなさらないで下さい』と私を肯定してくれた。

「これからが大変よ…」
「お嬢様はただ笑っていてくださればいいのです。あとは王弟殿下が腐った貴族に鉄槌と、調教を施してくださるわ。フフフ」

 アンナのほの暗い笑いに思わず苦笑いしてしまう。
 デブスだったとき、相当悪口を言われたわ。でも私としてはそんなに重たく受け止めていない。当然の反応だと思うわ。むしろ、悪く思われるためにあえてデブスだったのだから。
 ただ、元婚約者のやり方は気に入らなかったし、男を誑かすバカ女に吠え面をかかせてやりたいって思っただけだ。

 まぁ、バカ女は案の定神聖力がなくなり聖女認定取り下げになった。『聖女』だったから太鼓持ちしていた輩は早々に手の平を返し、彼女の周りからいなくなったらしい。
 学園で一人佇む姿や、高位の令嬢から厳しい制裁を受けたりする姿を、弟が目撃したらしい。さらに、彼女と親睦があった男性達からは見向きもされなくなったようだ。

 なんとも哀れな女だ。
 でも、身から出た錆。
 可哀想とは思うが、助けたいとは思わない。

 そういえば、恥知らずの元婚約者は懲りずにアプローチをかけてきていた。
 実家の伯爵家に突然乗り込んできたり、手紙やプレゼントを大量に送りつけてくる。
 
 本当にうざい。

 実家に乗り込んできたときは、お父様にこっぴどく追い返され、プレゼントや手紙はレイザー侯爵様に送り返したと連絡が来ている。
 侯爵様は『愚息が申し訳ない!』とお父様に頭を下げたらしい。
 ボンクラ息子に『二度とフォーリー伯爵家に手紙やプレゼントを贈るな!』と厳しく言いつけたと聞いている。しかし、家がダメなら魔法省に。魔法省がダメなら教会を通して、手紙やら花束、プレゼントを贈りつけてくる。

 本当に迷惑!

 まぁ、各部署もお父様と同じように侯爵様に送り返しており、可哀想に侯爵様は方々に謝りに行っているそうだ。

 御愁傷様。
 近々廃嫡されるともっぱらの噂だ。

 もともと私達に恋愛感情はなかった。
 薄っぺらい口説き文句。
 趣味の合わない帽子や手袋のプレゼント。
 彼は『クローヴィア』を見ておらず、『聖女』『大魔法聖域結界の研究者』として私を見ていた。私にかかる付加価値に利益を見いだしていた人物だ。

 ただ、話はちゃんと聞いてくれる真面目な人ではあった。

 研究に行き詰まり、専門用語を連発して、きっと何を言っているのかわからなかっただろうに、彼は黙って聞いていた。
 まぁ、わからなすぎて口を挟めなかっただけだと思うが…。
 私が話し終わるまで、ただじっと聞いてくれていたのが、今でも印象に残っている。

『専門的過ぎるから、その話はしないでくれ』
『そんな話より――』 
 太る前、強制的に招待されたお茶会や、晩餐会で男性達に散々言われたセリフを、そう言えば一度も彼は口にしなかったわ。

 三年間の婚約は、私としては悪くなかったと、振り返ると思う。

 ただ、別れは最悪だったけど!!
 何で婚約破棄する話を、あの男の昇進祝いで、私が予約したレストランで、されなくちゃいけなかったのよ!!
 浮気相手連れてくるって、頭がイカれてる!
 知り合いからの情報では『ミアにそそのかされて、あんな酷い別れ方をさせられたんだ!あの女の口車に乗らなければ、今でもクローヴィアと仲を深めていられたんだ!』と酒場でぼやいていたらしい。

 本当にクズよね。

 大方クズ女は、衆人観衆の元、アランドロの姉である私が惨めにフラれる姿が見たかったのだろう。
 自分に冷たくしたアランドロに報復したかったのだと推測している。
 湾曲した攻撃……。
 
 まぁ、どうでもいいわ。
 私が何かしなくても、自分達で墓穴を掘って、水を張って、泥舟に乗り込んで溺れてるんだから世話ないわ。

 コンコン。
 ドアをノックする音がした。
「ヴィア、私だ。入っていいか?」
「どうぞ」
 ネルだ。
 今日はネイビーのスーツに身を包み、紳士の装いなのだが、前髪を下ろしたままなので目が見えない。
「こんな日でも通常通りなのね」
「下準備は全て終わってる。私達は高みの見物をするだけだ。それに、素顔を出すと女どもがうるさいから、これで良いんだよ」

 ネルが手をさしのべてくる。

「準備はいいかい?婚約者殿」
「ええ。行きましょう」

 さぁ、フィナーレを飾りましょう。
しおりを挟む
感想 172

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄、その後の話を誰も知らない

あめとおと
恋愛
奇跡によって病を癒す存在――聖女。 王国は長年、その力にすべてを委ねてきた。 だがある日、 誰の目にも明らかな「失敗」が起きる。 奇跡は、止まった。 城は動揺し、事実を隠し、 責任を聖女ひとりに押しつけようとする。 民は疑い、祈りは静かに現実へと向かっていった。 一方、かつて「悪役」として追放された令嬢は、 奇跡が失われる“その日”に備え、 治癒に頼らない世界を着々と整えていた。 聖女は象徴となり、城は主導権を失う。 奇跡に縋った者たちは、 何も奪われず、ただ立場を失った。 選ばれなかった者が、世界を救っただけの話。 ――これは、 聖女でも、英雄でもない 「悪役令嬢」が勝ち残る物語。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです

秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。 そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。 いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが── 他サイト様でも掲載しております。

護国の聖女、婚約破棄の上、国外追放される。〜もう護らなくていいんですね〜

ココちゃん
恋愛
平民出身と蔑まれつつも、聖女として10年間一人で護国の大結界を維持してきたジルヴァラは、学園の卒業式で、冤罪を理由に第一王子に婚約を破棄され、国外追放されてしまう。 護国の大結界は、聖女が結界の外に出た瞬間、消滅してしまうけれど、王子の新しい婚約者さんが次の聖女だっていうし大丈夫だよね。 がんばれ。 …テンプレ聖女モノです。

最優秀な双子の妹に婚約者を奪われました。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 第2章、後日談と悪女の陰謀反撃を書くことにしました。

公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

捨てられた私が聖女だったようですね 今さら婚約を申し込まれても、お断りです

木嶋隆太
恋愛
聖女の力を持つ人間は、その凄まじい魔法の力で国の繁栄の手助けを行う。その聖女には、聖女候補の中から一人だけが選ばれる。私もそんな聖女候補だったが、唯一のスラム出身だったため、婚約関係にあった王子にもたいそう嫌われていた。他の聖女候補にいじめられながらも、必死に生き抜いた。そして、聖女の儀式の日。王子がもっとも愛していた女、王子目線で最有力候補だったジャネットは聖女じゃなかった。そして、聖女になったのは私だった。聖女の力を手に入れた私はこれまでの聖女同様国のために……働くわけがないでしょう! 今さら、優しくしたって無駄。私はこの聖女の力で、自由に生きるんだから!

処理中です...