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9話 アンリーナの真実《愚かな人々》
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~ アンリーナ視点 ~
学園に入ってからは、ローズの執拗な攻撃に辟易していたが、テスト期間中だけと自分に言い聞かせて耐えた。
避暑地に戻れば、精霊の国に行ったり、ラインハルトと一緒に冒険者として活動できる。
自由になったときの活動基盤を整えることができると。
それを支えに頑張った。
学園内でローズはフレデリックと親しくしているようで、『ご親切に』教えに来てくれる嫌みな令嬢御一行がいたりと、何ともストレスフルな環境だ。
「殿下が妹君と仲睦まじくいらっしゃいましたよ」
「婚約者の手綱を握るのも、淑女の嗜みですわ」
「精霊姫様には伴侶など不要なのでしょう。男性も『お高く止まって扱い辛い』と言っていましたわよ」
「自分よい崇高な存在が婚約者なんて、男性の立場がありませんわよね。殿下が可哀想でなりませんわ」
一人を囲み、よってたかって攻撃する。
貴族っていい趣味してるわよね。
噂や嫌みが大好きな、お喋り雀の相手など疲れるだけ。
基本無視。
私は知らなかったが、ラインハルトはそんな令嬢達に、ちょこちょこイタズラしていたようだ。
水をかけたり、落とし穴に落としたり。過激だったのは光の熱で髪や服を燃やすだったかしら。
さすがにやり過ぎだと注意した。
本心は、もっとやれって!って気持ちだけどね。
×××
学園生活?もあと半年。
『卒業パーティーで断罪する』イベント準備は出来ているのかしら?
さすがに細かな嫌がらせは多いが、私を断罪するだけの『大義名分』がないと、私も『国外追放』されにくい。
バカ二人だから心配だ。
そんなある日、ローズが私の部屋からブローチを盗んで行った。
そして、ローズとフレデリックが教会に行き、上機嫌で出てきたとラインハルトから聞いたとき、作戦がうまく行ったと二人で笑いあった。
ローズが盗んだブローチは『初代女王が精霊女王からもらった物。それを王様が精霊姫に贈った』と偽の情報をお喋り雀どもに話したら、簡単に情報が拡散し、ローズの耳に入ったのだ。
露天で売ってるただの安物なのにね。
それに神聖力をほんの少し注げば、神聖力を微量に放出するブローチに早変わり!
ローズが『精霊姫』であると教会が認定すれば、傷物令嬢の私はお払い箱になるだろう。
私を毛嫌いしているフレデリックは、必ず私を排除しようとするはずだ。
「お前が『精霊姫』だから付き合ってやっているんだ。そうでないなら、誰が傷物令嬢と一緒にいるものか」
「その不気味な仮面でうろつくな!まぁ、醜い傷跡を拝まされるよりましか」
「今夜の建国記念式典にはローズを伴う。お前は具合が悪いと父上に言っておくから、顔を見せるな」
思い返しても、何も良いところがないな、あのバカ男。
婚約者なら、少しは相手を気遣えよ。
政略的な婚約だが、あまりにも礼に欠けたフレデリックの態度に気持ちは冷めている。いや、何も無い。無。
出会いは三歳の時。
「はじめましゅて、フレデリックでしゅ。おとぎばなしゅに、出てくる『しぇいれいひめ』しゃまに、会えてうれしいでしゅ」
天使の笑顔がそこにあった。
あの当時、精神年齢26歳のお姉さんの心臓を鷲掴みにしたのにね。
あの五歳の事件までは
「この子と結婚して、王国を守るために力を尽くそう」
と、幸せな未来を思い描いていたよ。
懐かしい…。
でも、その夢を壊したのもローズやフレデリック、その他諸諸の人々だ。
自分達が何の上で、のうのうと生きていたのか、後で思い知るだろう。
×××
卒業試験も終わり、後は採点を待つばかりの頃、私は図書室に通っていた。
ほとんど読んだことがあり、知りたかった魔法書は全て読破していたが、断罪イベントの後に来ることは二度と無いから、やり残したことはないか確認していたのだ。
そんなとき、フレデリックの腰巾着アレックスが呼びに来た。
「職員室で魔法学科の先生が呼んでいる。早急に来るように言っていた。ついに不正がバレたんだろう。いい気味だ」
無視。
「おい、聞いてるのか!」
無視。
「お高くとまりやがって…」
無視してたら、腕を捕まれた。
「おい!」
「大声を出さなくても聞こえています。ここは図書室、場所をわきまえなさい」
「なんだと!」
「静かに」
声で凄むと、アレックスは黙った。
「私、魔法学科の先生から資料を持ってくるように言われていますが、本当に魔法学科の先生が呼んでるのですか?」
嘘だが、アレックスがたじろぐ。
「いや、数学の先生だったかもしれない…。とにかく、職員室に行け!」
声を張り上げて図書室から出ていった。
迷惑なやつだ。
「皆様、失礼致しました」
図書室にいる数名の生徒に頭を下げる。
皆一様に視線を反らした。
まぁ、関わらないのが一番賢い。
人の居ない奥に行き、精霊に変身。
『どうするんだ?』
『あの男を追うわ』
職員室に向かうと、階段にローズとフレデリック、アレックス、ローランド、レイとお喋り雀達がいた。
「アンリーナを呼び出したか?」
フレデリックはイライラした様子でアレックスに声をかけた。
「職員室に行くように伝えたが、傲慢な女だ、なかなか動こうとしない」
先程の事を思い出しているのだろう、苦虫を噛み締めた顔をするアレックス。
「私のために、みんなありがとう。お姉様と話し合うために協力してくれて」
ローズが話し出すと、一様に嬉しそうにする彼ら彼女ら。
「ローズ様のためなら、何でも致しますわ」
「傲慢な女を『精霊姫でない』と公表する前に、自ら皆に謝罪するように諭してあげるなんて、なんて慈悲深いのでしょう」
「傲慢だなんておっしゃらないで。お姉様はずっと一人で居たから、人の気持ちがわからないだけですわ。それに、私達も精霊姫としてもてはやしてしまった為に、嘘だと言いづらくしてしまったのです。責任は私達にもありますわ」
「「「素晴らしいですわ、ローズ様」」」
なんだ、この茶番。
それに、何で階段?
あぁ、そうか。
断罪前のイベントだ。
おそらく、私が来たらみんな階段下で待機するはず。
二人で話し合っていると、私がローズを階段から突き落とし、攻略対象者が助ける。
攻略対象は国王に報告して、婚約破棄の書類を手にいれるというストーリーだ。
あぁ、あったな~。
しかし、どうしよう…。
めんどくさい…。
でも、断罪イベント出来なかったら困るしな…。
うん、誰か身代わりにしよう。
×××
人気の無い廊下で変身を解除し、職員室に向かった。
「失礼致します。数学のアンドリュー先生はいらっしゃいますか?」
「…なんだ」
不機嫌面の数学教師が出てきた。
この教師、弱者を虐めるのが趣味らしく、一度授業に出たとき、難しい問題を何回もあててきた。
「お前に解けるはずがない」と、笑い者にするためにだ。
ニヤニヤ不愉快な顔をしていたわね。
まぁ、小学生の算数など、おそるるに足らず!
完璧な回答を答えたやったよ。
悔しそうな顔してたもんな~。
「先ほど、階段の所でフレデリック殿下が『あの件』で大層怒っていましたよ」
「なっ、なに!」
数学教師は慌てて走り去った。
『あの件』ってなにかしらね~。
あの手の輩は、何かしら『あの件』をもっているのですね。
さっ、帰りましょ。
その後『ローズが階段から落ちた。アンリーナの策略だ』と噂が学園に広がった。
学園に入ってからは、ローズの執拗な攻撃に辟易していたが、テスト期間中だけと自分に言い聞かせて耐えた。
避暑地に戻れば、精霊の国に行ったり、ラインハルトと一緒に冒険者として活動できる。
自由になったときの活動基盤を整えることができると。
それを支えに頑張った。
学園内でローズはフレデリックと親しくしているようで、『ご親切に』教えに来てくれる嫌みな令嬢御一行がいたりと、何ともストレスフルな環境だ。
「殿下が妹君と仲睦まじくいらっしゃいましたよ」
「婚約者の手綱を握るのも、淑女の嗜みですわ」
「精霊姫様には伴侶など不要なのでしょう。男性も『お高く止まって扱い辛い』と言っていましたわよ」
「自分よい崇高な存在が婚約者なんて、男性の立場がありませんわよね。殿下が可哀想でなりませんわ」
一人を囲み、よってたかって攻撃する。
貴族っていい趣味してるわよね。
噂や嫌みが大好きな、お喋り雀の相手など疲れるだけ。
基本無視。
私は知らなかったが、ラインハルトはそんな令嬢達に、ちょこちょこイタズラしていたようだ。
水をかけたり、落とし穴に落としたり。過激だったのは光の熱で髪や服を燃やすだったかしら。
さすがにやり過ぎだと注意した。
本心は、もっとやれって!って気持ちだけどね。
×××
学園生活?もあと半年。
『卒業パーティーで断罪する』イベント準備は出来ているのかしら?
さすがに細かな嫌がらせは多いが、私を断罪するだけの『大義名分』がないと、私も『国外追放』されにくい。
バカ二人だから心配だ。
そんなある日、ローズが私の部屋からブローチを盗んで行った。
そして、ローズとフレデリックが教会に行き、上機嫌で出てきたとラインハルトから聞いたとき、作戦がうまく行ったと二人で笑いあった。
ローズが盗んだブローチは『初代女王が精霊女王からもらった物。それを王様が精霊姫に贈った』と偽の情報をお喋り雀どもに話したら、簡単に情報が拡散し、ローズの耳に入ったのだ。
露天で売ってるただの安物なのにね。
それに神聖力をほんの少し注げば、神聖力を微量に放出するブローチに早変わり!
ローズが『精霊姫』であると教会が認定すれば、傷物令嬢の私はお払い箱になるだろう。
私を毛嫌いしているフレデリックは、必ず私を排除しようとするはずだ。
「お前が『精霊姫』だから付き合ってやっているんだ。そうでないなら、誰が傷物令嬢と一緒にいるものか」
「その不気味な仮面でうろつくな!まぁ、醜い傷跡を拝まされるよりましか」
「今夜の建国記念式典にはローズを伴う。お前は具合が悪いと父上に言っておくから、顔を見せるな」
思い返しても、何も良いところがないな、あのバカ男。
婚約者なら、少しは相手を気遣えよ。
政略的な婚約だが、あまりにも礼に欠けたフレデリックの態度に気持ちは冷めている。いや、何も無い。無。
出会いは三歳の時。
「はじめましゅて、フレデリックでしゅ。おとぎばなしゅに、出てくる『しぇいれいひめ』しゃまに、会えてうれしいでしゅ」
天使の笑顔がそこにあった。
あの当時、精神年齢26歳のお姉さんの心臓を鷲掴みにしたのにね。
あの五歳の事件までは
「この子と結婚して、王国を守るために力を尽くそう」
と、幸せな未来を思い描いていたよ。
懐かしい…。
でも、その夢を壊したのもローズやフレデリック、その他諸諸の人々だ。
自分達が何の上で、のうのうと生きていたのか、後で思い知るだろう。
×××
卒業試験も終わり、後は採点を待つばかりの頃、私は図書室に通っていた。
ほとんど読んだことがあり、知りたかった魔法書は全て読破していたが、断罪イベントの後に来ることは二度と無いから、やり残したことはないか確認していたのだ。
そんなとき、フレデリックの腰巾着アレックスが呼びに来た。
「職員室で魔法学科の先生が呼んでいる。早急に来るように言っていた。ついに不正がバレたんだろう。いい気味だ」
無視。
「おい、聞いてるのか!」
無視。
「お高くとまりやがって…」
無視してたら、腕を捕まれた。
「おい!」
「大声を出さなくても聞こえています。ここは図書室、場所をわきまえなさい」
「なんだと!」
「静かに」
声で凄むと、アレックスは黙った。
「私、魔法学科の先生から資料を持ってくるように言われていますが、本当に魔法学科の先生が呼んでるのですか?」
嘘だが、アレックスがたじろぐ。
「いや、数学の先生だったかもしれない…。とにかく、職員室に行け!」
声を張り上げて図書室から出ていった。
迷惑なやつだ。
「皆様、失礼致しました」
図書室にいる数名の生徒に頭を下げる。
皆一様に視線を反らした。
まぁ、関わらないのが一番賢い。
人の居ない奥に行き、精霊に変身。
『どうするんだ?』
『あの男を追うわ』
職員室に向かうと、階段にローズとフレデリック、アレックス、ローランド、レイとお喋り雀達がいた。
「アンリーナを呼び出したか?」
フレデリックはイライラした様子でアレックスに声をかけた。
「職員室に行くように伝えたが、傲慢な女だ、なかなか動こうとしない」
先程の事を思い出しているのだろう、苦虫を噛み締めた顔をするアレックス。
「私のために、みんなありがとう。お姉様と話し合うために協力してくれて」
ローズが話し出すと、一様に嬉しそうにする彼ら彼女ら。
「ローズ様のためなら、何でも致しますわ」
「傲慢な女を『精霊姫でない』と公表する前に、自ら皆に謝罪するように諭してあげるなんて、なんて慈悲深いのでしょう」
「傲慢だなんておっしゃらないで。お姉様はずっと一人で居たから、人の気持ちがわからないだけですわ。それに、私達も精霊姫としてもてはやしてしまった為に、嘘だと言いづらくしてしまったのです。責任は私達にもありますわ」
「「「素晴らしいですわ、ローズ様」」」
なんだ、この茶番。
それに、何で階段?
あぁ、そうか。
断罪前のイベントだ。
おそらく、私が来たらみんな階段下で待機するはず。
二人で話し合っていると、私がローズを階段から突き落とし、攻略対象者が助ける。
攻略対象は国王に報告して、婚約破棄の書類を手にいれるというストーリーだ。
あぁ、あったな~。
しかし、どうしよう…。
めんどくさい…。
でも、断罪イベント出来なかったら困るしな…。
うん、誰か身代わりにしよう。
×××
人気の無い廊下で変身を解除し、職員室に向かった。
「失礼致します。数学のアンドリュー先生はいらっしゃいますか?」
「…なんだ」
不機嫌面の数学教師が出てきた。
この教師、弱者を虐めるのが趣味らしく、一度授業に出たとき、難しい問題を何回もあててきた。
「お前に解けるはずがない」と、笑い者にするためにだ。
ニヤニヤ不愉快な顔をしていたわね。
まぁ、小学生の算数など、おそるるに足らず!
完璧な回答を答えたやったよ。
悔しそうな顔してたもんな~。
「先ほど、階段の所でフレデリック殿下が『あの件』で大層怒っていましたよ」
「なっ、なに!」
数学教師は慌てて走り去った。
『あの件』ってなにかしらね~。
あの手の輩は、何かしら『あの件』をもっているのですね。
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