ローザリアの報復

いちのにか

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後編

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「這いつくばって、舐めなさい。
歯は立てないように、わかりますね」


 ローザリアは四つん這いになり、男を見上げていた。
目の前には緩く勃ち上がった男の陰茎があった。

 お仕置きであるということも忘れ、ローザリアはうっとりと顔を近づける。小さな舌を柔らかく突き出し、そっと先端を舐める。刺激にぴく、と振れたソレに、愛おしさが芽生えた。

ちゅ♡ちゅ♡ちゅ♡ぺろ、れろり♡ぴちゃぴちゃ♡

 子犬がミルクを舐めるように、拙い舌遣いを見せるローゼリアに男の欲望が高まっていく。

「まるで、ご褒美ですね」

 これではお仕置きにならない、と男は軽く指を鳴らす。その瞬間ローザリアの恥部に影が落ちた。

ぴちゅり♡ くぽ♡ ぬぽぽ…♡ にゅにゅにゅ♡

「‼︎ッ ぁふ♡ ひ、ひぁあぁああぁあ♡ 」

 急に強い刺激に襲われ、身体が弓なりに反りかえる。

「な、なに♡ これ、♡」

魔王の邪気で作られた触手が、ローザリアの恥部を覆っていた。


「ひゃ、あ♡ ん、ちゅ♡ んンン♡」
 触手に膣を犯されクリトリスを弄ばれながら、ローザリアは魔王の機嫌を損ねぬよう必死で口を動かしていた。

ぺろり、と舐めたあとに、小さな口で咥え宝物のように大事に愛撫する。魔王の気に入った動きをすると、優しく頭を撫でてもらえるため、ローザリアは熱心に続けようとする。
 が、時折、暴力的な快楽が主人への奉仕を妨害する。

「ンふ、…ッ!♡く、んンン、ふぅッ…ン♡」

 膣の浅いところをちゅくちゅくと這いずるそれは、時ににゅるり♡ と深いところを撫で上げる。恥部から漏れ出た先端の孔は、はむり♡ とローザリアの秘芯をその中に向かい入れる。

「ひゅっ♡ きゃあああ♡」
男性器を愛撫するかのように、先端をちゅぽちゅぽ♡と吸い上げたのちクリトリスの奥の方まで一気に啜り上げた。

「やらぁあぁ♡ そんなの♡♡ らめになる♡♡」

泣き声を上げるローザリアは、なすすべなく、触手たちに蹂躙された。

にゅろろ♡ ぬぷ♡ ちゅくちゅく♡
ちゅぅう♡ ずろろ♡ きゅぅうぅ♡ きゅ♡ ぎぅぅう♡♡

「♡…ッッ!!!♡♡ ひぁあぁあー!!♡♡♡」

その度にローザリアは切ない甘イキを繰り返し、意識を逸らしてしまう。余韻に浸る時間はすぐに終わりを告げ、主から冷たい目線が落とされる。
乱暴に顎を掴まれ、「集中なさい」と無情に告げられた。

ローザリアは理不尽に翻弄され続けた。






ぷしゅ、しゃぁ、しょぁぁあ♡

幾度目かの潮吹きは勢いをなくし、たらたらと臀部を流れ落ちていく。

「まるで、お漏らしですね」
「ひゅ、ふ♡ は、♡ は♡ ごめな さぁ♡」

 甘イキばかりで、物足りない様子のローザリアは切なげな表情を浮かべる。いつの間にか触手の動きに合わせるように腰をへこへこと揺らしていた。構われていないはずの胸の頂も痛いほどに立ち上がっている。

「まお、う♡ これ、やぁ♡ 足りな…♡」
 一番奥までは届かないのであろう。涙や涎でぐしゃぐしゃになった顔は非難するように魔王を睨む。魔王は意に介さず、手を差し伸べることすらしなかった。

「きちんと主人を満足させられずに、ご褒美を求めるなど。
これが自分の眷属とは情けなくなりますね」
 ふぅ、とため息をつき、魔王はぼやいた。

 折れる様子のない魔王にローザリアは焦れた。
焦れに焦れに焦れた。体を震わせながらも、だんだんと眉間の皺が深まる。


 ふわり、と生暖かい風が吹いた気がした。
風にしては甘やかな匂いを伴ったそれ。

「…?」

「まおう、…きらい!」

女に関しては常に初動が出遅れる男は今回もしっかり出遅れた。
ローザリアが泣き声で怒鳴った一瞬後に、凄まじい風圧が男を襲った。




 男の邪気とは違い無色の気は、甘ったるい匂いをあたりに撒き散らしていた。ぬろりとした濃厚なそれは催淫を高める効果があるようだ。男はそれを正面から浴びる形になった。

 効果は抜群で、ほんの一瞬であるが意識を奪われ、景色が変わる。忌々しいことに男は寝台の上で女に引き倒されていた。意識を奪われただけではなく、男のものは今やビキビキと張り詰め、反り返っている。
当の犯人は触手から解放されたのもあるのだろう、頰を紅潮させながらも得意げな顔をして乗り上げている。

 魔物化したとは言え、元人間、それも眷属にしてやられた形の魔王は恥辱に耐えていた。血が滲むほど噛み締めた唇はワナワナと震える。

ドス黒い邪気が漏れ始める。

ーーーなんと小賢しい眷属か!
自我など微塵も残さず、後悔しても済まないほど啼かせてやる、

衝動に支配された魔王は怒りのままに口を開く。

「こんなことをしてただで済むと、

んちゅ♡ ちゅ♡ ちゅる♡ れろれろ♡

 柔らかいそれは、魔王の毒気を残さず奪い取っていく。唇同志の表面を触れ合わせだけのそれは、舌を絡めたものから、だんだん深いものに変わっていく。滲んだ血もねっとりと舐め上げられた。

 男の口腔内を優しくぺろぺろと小さい舌が這い回る。最後にじゅぽじゅぽ♡と男の舌をまるで男性器を愛するように愛撫し、名残惜しげにローザリアは顔を離した。

「ぷはぁ♡ 」

 唖然とする男にローザリアはによによと笑った。

「まおうへたくそ! 仲良く気持ち良くするのはこうやるの!」

 色気もへったくれもない振る舞い。しかし、その目の奥には隠しきれない情欲の焔がゆらめいている。先ほど魔王を蹂躙した小さな舌で見せつけるように、ローザリアはぺろり、と唇を濡らした。

「お口のちゅー♡ も、きもちいい、けど、こうやって♡
下の口をちゅ♡ ちゅ♡てやるのも、きもちいい♡なの♡♡」

 そう呟きながら男の陰茎に自らのとろとろの恥部を近づける。

にゅち♡

「あ、は♡」

 音を立てて、亀頭と女の肉芽が触れ合う。僅かに男の体が振れるだけでも刺激になるようでローザリアの腰がびくびくと揺れる。

にゅる♡ ぬ♡ ぬこっ♡ ぬこっ♡ ぬこっ♡
にゅぶぶ♡ ぐにゅ♡ にゅにゅ♡ にゅ♡ にゅ♡

「ふ、にぁ、あ、あ♡」
声を蕩かせながらローザリアはだらしなく喘いだ。

 ぬろりと濡れた竿が女の花芯に吸い付くように押し付けられる。器用に腰を動かして、自分の気持ちいいところに押し当てているのだろう。浅ましく快楽を求めるその姿はどこか必死で、拙さを感じさせる。何度かのけぞるように体を震わせながら、女の喉がこく、と音を鳴らす。

 男の意を一切考慮せずに行われる行為は、いっそ自慰と言っても過言ではない。
しかしそれでも、女のふかふかでぬるぬるとしたそこは、暖かく男の先端を翻弄していた。

 不意に女が腰の角度を変える。男が視線を上げると、女はくふ、と笑みを漏らす。

「ね、まおう♡」

 そっと顔が近づいてくる。
 ちぅ、と軽いキスをした女はそのまま唇を擦り合わせた。呼吸を共有するかのような距離を保ったまま、女はくすくすと笑う。慈母のような穏やかな微笑みを携えるその瞳は、まるで鮮血のように紅・く・光っていた。

「貴女、」
「ちょうだい♡」


どちゅん♡

 唖然とする魔王に構わず、女は自らの秘奥に男を受け入れた。
たったのひと突きでローザリアはイッた。全身がガクガクと震え、股の間からは勢いよく潮が漏れ出る。 

ぷしっ♡ぷしゃぁあぁあ♡

「これぇえ♡しゅきぃい♡♡♡」

 脳の芯までゾクゾクとした快楽に支配される。

もっと♡ もっと…♡ もーーっと♡♡たくさん♡♡♡

「ちょおらい♡ もっときもちいいの♡ これぇ♡ぜぇんぶ♡♡」

 熱に浮かされた女は、拙く体を上下させる。張り詰めた肉棒に、よしよし♡ と愛情を込め、すきすき♡と抱擁するかのように締め上げる。

にゅる♡ とちゅんっ♡にゅるる♡ とちゅっ♡

 女の痴態を見上げながら、魔王は言葉をなくしていた。
きゅんきゅん♡ と締め上げるローザリアの中を、蹂躙したい気持ちはあった。

…しかし。

 紅瞳となった彼女は、もはや。
 ローザリアの核に僅かに残されていた人間の部分は、たった今跡形もなく消え去っていた。

それはローザリア自身が、完全な眷属化を受け入れたということに他ならない。

 主から邪気を与えられなくなったら容易く消失する存在。
 主の寵愛を受けることでしかその生の意味をなさない存在。

 無意識下で残していたであろう、唯一の人間のかけらを、今この瞬間、ローザリアは明け渡したのだ。
只、男の劣情を受け入れたいがために。

 ーー なんと、愚かで、浅ましい小娘なのだろう!


 衝撃に震える男に、小娘は追い討ちをかける。

「まおうだけ♡ まおうしかいらない♡♡ ろーざのなか、たぁあくさん♡どちゅどちゅ♡ ってして、ぐちゃぐちゃして♡♡ たくさんあいして♡ 」


そしていつか。


魔王が死ぬ時に、

「いっしょに ころして」


心の中の声がぽつり、と落ちた。



ずぐり。
 不意に中の逸物が大きくなったような気がして、ローザリアは、ひぐ、と息を飲んだ。
甘やかな気は消え去り、代わりにどろぉり、とむせかえるほどの邪気が場を支配する。

「誰が」

どちゅん♡
「ヵひゅっ♡」

「誰を」

ぐりぃ♡ …にゅぐぐぐ♡
「ひゅぁ♡ ぁあ あぁ♡♡」

「殺すだと…ッ」

ずちゅん♡ ぱんぱんぱんっ♡ にゅる♡
ぬろろろろ♡ ぐりぐりぐりぃ♡

「らめぇ♡ それ♡ つょ♡ いぃっ♡」


「眷属如きに侮られるなど、この、私も、落ちたものだ」

 乱暴な律動すら鮮烈な快楽に受け止める小さな胎。
どちぅう♡と劣情を奥までぶち込まれたローザリアは、あまりの衝撃に一瞬呼吸が止まりそうになる。
 いつのまにか体勢が逆転したことにも気づかず、ローザリアは魔王に抱き込まれる形になっていた。

「以前、乱暴にいじめられるのが好きと仰っていましたね」


魔王が呟いた言葉は、乱雑な律動にかき消された。

どちゅどちゅどちゅ♡ ぬろろろ…♡ どちゅんっ♡

「こんなに涎を垂らしながら私を受け入れている癖に、偉そうに」
「きゃぁあぁあ♡ ふか、ふかい♡ しょれ、らめぇええ♡」

「私が死ぬ時に、ですって」
「やめ♡ ごめな♡ さぁ♡♡」

「私が、貴女を、殺す、ですって」
「やらやらやらぁ♡ イッちゃぁ♡ イッちゃうからぁ♡♡♡」

ごりゅごりゅごりゅっっ♡
「ひぁあぁあ あ ぁあ♡♡♡イッー♡♡ーーゃぁあぁ♡♡♡!!!!」

 ローザリアは絶頂した。
ほぼ同時に男が一番奥に激流を叩き込む。





 そのまま、気を遣りそうになったローザリア。
果たしてそれは許されなかった。びくり、と身体が弓形にしなり、全身が痙攣する。目を見開き、はくはくと喘いだ。
 男から逃れようと、腰を引くが押さえつけられた身体はピクリとも動かない。

「ッツ!?…な、なに?♡こんなの、♡♡ らめ♡らめ♡♡♡ らめぇええぇ♡♡♡♡」

 逃げるのも無理はない。なりふり構わず暴れようとするローザリアを簡単に抑え込みながら、男は愉悦に浸っていた。

眷属のくせに。

「私のそばにいると決めたくせに、終わりなど見越すからそうなる」
 黒い笑みを浮かべ、言葉を紡ぐことすらできず戦慄く女の体をなぞった。その僅かな刺激すら凶悪な快楽に変換され、女の手が空をかいた。無意識だろうが、男に縋り付かないのが小憎たらしい。


 男の劣情、もとい凄まじい瘴気を伴った邪気は、毒のようにローザリアの身体を蝕んだ。女を眷属化させる原因となった邪気。それを女の中に放つその瞬間に、男は意図して呪いを細工したのだ。

 男以外の誰にも触れないよう、つまらぬ存在に害されぬよう、最大限の加護を叩き込んだ。

 命あるもの全てから恐れられる魔物の長が、入念に込めた力は、女の身体の中で無尽蔵に暴れ回っていた。馴染むまで暴力的な快楽が彼女を襲うだろう。

「ひ ぁ♡♡ ヵひゅ♡ たす♡ け♡」

 漸く自分に伸ばされた震えた手を自らの手で掬い取り、慈愛を込めてそっと口付けた。


「安心なさい。いつまでも、ぐちゃぐちゃに愛して差し上げます」


 ガクガクと全身を揺らしながら、もう彼の言葉など聞こえていないだろう女は、それでも。

 最後に落とされた呟きに、僅かな笑みを浮かべたように見えた。


「この私に愛されることを覚悟なさい」


 意識を飛ばしながらも、その身をしならせ、ビクビクと痙攣している哀れな女に魔王は冷たく微笑みかけた。


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