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二話
喫茶・里奈
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「お待たせ致しました。ホットコーヒーになります。ご注文は以上でよろしいでしょうか?」
「ありがとう」
ここは喫茶・里奈。僕のお母さんが経営している喫茶店で、夜はスナックになる。
僕は仕事の合間にお母さんのお店を手伝っている。
1人バイトの人を雇っているようだけど、お母さんはほぼ1人でこの店を切り盛りしていた。
人件費って馬鹿にならないらしい。千尋もそんなことを言っていたっけ。
「加那、ありがとうね」
カウンターで事務仕事をしていたお母さんにそっとお礼を言われる。
「ううん、全然。コーヒーくらいなら僕も淹れられるし」
平日の昼間だからか、あまりお客さんもいなかった。
これもいつものことだ。
僕は店先を掃除しようと箒を手に取った。
「加那、もう少ししたら昼ご飯にするからね」
「はーい」
こうして温かいご飯が食べられるのは有り難い。
僕は店を出て掃除を始めた。
だんだん風が冷たくなってきたなぁ。
秋から冬に変わろうとしている。
風が強く吹いて僕は震えた。
(早く掃除済ませて戻ろう)
「あれ?加那太くん?」
僕はそちらを見た。この人は。
「小林さん?」
「久しぶりだね!」
この人は千尋の専門学校時代のお友達だ。
IT関係の専門学校に通っていたのに、なぜか飲食の方に進んだという変わった人だ。
ゲームが好きで時々メールする仲になっていた。
「加那くん、学校の先生じゃなかった?」
「小林さん、寒いので中で話しませんか?詳しいことはそれから」
「ああ、そうだね」
僕たちは店内に入った。
「コーヒー奢りますよ」
「悪いねえ」
小林さんにはカウンター席に座ってもらった。
「で、ここでバイトしてるんじゃないよね?」
公務員でそれはまずい。
「母の店なんです。人がいないから手伝いで」
「へえ、なるほどなあ」
コーヒーを出すと彼は美味しそうに飲み始めた。
「うん、コーヒー美味いね。上手に淹れられるんだ」
小林さんは本当に感心しているようだ。
ちょっとホッとする。彼は一応飲食店を経営しているわけだし。
「加那くん、時間あるときでいいんだけど、少し相談したいんだ」
「え?僕に、ですか?」
「うん、本のことなんだけどね」
「はあ」
また本関係のことか。なんだろう。僕で役に立てるのかな。
その後、お母さんがまかないでナポリタンスパゲッティを作ってくれて小林さんと食べた。
彼はまた店に来ると言って帰っていった。
「加那、お友達だったのね?」
「うん、小林さんっていうの」
「それなら今度はもっといいもの用意しておかないとね」
「ありがとう」
相談内容がなんなのか、僕は気になっていた。
小林さんはなんだか言いたくなさそうな雰囲気だったからだ。
うーん、まあ話だけなら聞いてもいいかもしれない。
「加那、お疲れ様。これ、千尋くんに」
夕方の帰り際、お母さんに持たされたのはミートソースだった。
お母さんの自慢の一品だ。
千尋はこのミートソースが子供の頃からずっと好きだ。
「ありがとう。じゃあまた来るね」
「気を付けて帰りなさい」
「はーい」
「ありがとう」
ここは喫茶・里奈。僕のお母さんが経営している喫茶店で、夜はスナックになる。
僕は仕事の合間にお母さんのお店を手伝っている。
1人バイトの人を雇っているようだけど、お母さんはほぼ1人でこの店を切り盛りしていた。
人件費って馬鹿にならないらしい。千尋もそんなことを言っていたっけ。
「加那、ありがとうね」
カウンターで事務仕事をしていたお母さんにそっとお礼を言われる。
「ううん、全然。コーヒーくらいなら僕も淹れられるし」
平日の昼間だからか、あまりお客さんもいなかった。
これもいつものことだ。
僕は店先を掃除しようと箒を手に取った。
「加那、もう少ししたら昼ご飯にするからね」
「はーい」
こうして温かいご飯が食べられるのは有り難い。
僕は店を出て掃除を始めた。
だんだん風が冷たくなってきたなぁ。
秋から冬に変わろうとしている。
風が強く吹いて僕は震えた。
(早く掃除済ませて戻ろう)
「あれ?加那太くん?」
僕はそちらを見た。この人は。
「小林さん?」
「久しぶりだね!」
この人は千尋の専門学校時代のお友達だ。
IT関係の専門学校に通っていたのに、なぜか飲食の方に進んだという変わった人だ。
ゲームが好きで時々メールする仲になっていた。
「加那くん、学校の先生じゃなかった?」
「小林さん、寒いので中で話しませんか?詳しいことはそれから」
「ああ、そうだね」
僕たちは店内に入った。
「コーヒー奢りますよ」
「悪いねえ」
小林さんにはカウンター席に座ってもらった。
「で、ここでバイトしてるんじゃないよね?」
公務員でそれはまずい。
「母の店なんです。人がいないから手伝いで」
「へえ、なるほどなあ」
コーヒーを出すと彼は美味しそうに飲み始めた。
「うん、コーヒー美味いね。上手に淹れられるんだ」
小林さんは本当に感心しているようだ。
ちょっとホッとする。彼は一応飲食店を経営しているわけだし。
「加那くん、時間あるときでいいんだけど、少し相談したいんだ」
「え?僕に、ですか?」
「うん、本のことなんだけどね」
「はあ」
また本関係のことか。なんだろう。僕で役に立てるのかな。
その後、お母さんがまかないでナポリタンスパゲッティを作ってくれて小林さんと食べた。
彼はまた店に来ると言って帰っていった。
「加那、お友達だったのね?」
「うん、小林さんっていうの」
「それなら今度はもっといいもの用意しておかないとね」
「ありがとう」
相談内容がなんなのか、僕は気になっていた。
小林さんはなんだか言いたくなさそうな雰囲気だったからだ。
うーん、まあ話だけなら聞いてもいいかもしれない。
「加那、お疲れ様。これ、千尋くんに」
夕方の帰り際、お母さんに持たされたのはミートソースだった。
お母さんの自慢の一品だ。
千尋はこのミートソースが子供の頃からずっと好きだ。
「ありがとう。じゃあまた来るね」
「気を付けて帰りなさい」
「はーい」
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