僕と君を絆ぐもの2

はやしかわともえ

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二話

勝率

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「店で小林に会った?珍しいこともあるもんだな」

仕事から帰ってきた千尋に今日のことを話したらそう驚かれた。
千尋から持っていたカバンを受け取る。
パソコンが入っているから少し重たい。
それをソファの上に置く。
これがいつもの流れだ。
千尋がコートを脱いでいる。
僕は構わず続けた。


「小林さんに本のことについて相談があるって言われてね。あの人、すごく困ってるみたいだった」

「そうか。ん?」

千尋がポケットから出したスマートフォンを見る。通知のライトが光っていた。

「俺の方にも連絡来てた、ほら」

千尋がスマートフォンの画面を僕に向けた。その中で僕の予定を聞いている。
どうやら本当に困っているようだ。

「何があったんだろう」

さすがに心配になってきた。僕に解決できるのかな?

「ま、あいつのことだ。なにかヒントみたいなものが欲しいのかもしれない」

「ヒント…」

そう呟くと千尋に頭を撫でられた。

「そんなに気負うなって。あいつは無理なことは言わないよ、勝率のない勝負はしない。お前も知ってるだろ?」

「うん…」

勝敗のあるゲームをプレイするにあたって、勝率を意識しないプレイヤーは多分、いない。
実際に僕もそうだ。

(でもこれはゲームじゃないじゃん) 

そんな弱気なことを思ったら泣きそうになって、僕はなんとか堪えた。

「加那」

千尋が僕の名前を呼んで頭を撫でてくれる。

「とりあえず休みに小林のとこ行こう、まずはそれからだろ?」

「うん…そうだね」

全く気乗りしなかったけど、僕は渋々そう答えた。
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