10 / 15
二話
相談
しおりを挟む
「わ、ホントに来てくれたんだ!!」
「よう、小林」
あれから既に一週間が経過していた。
千尋が僕の休みに合わせるように休みを取ってくれて、僕達はその日の昼間、小林さんのお店に来ていた。
今日は平日だ。それでもお店はそれなりに混んでいるようで、店員さんが忙しそうに働いている。
小林さんもまたカウンターで接客をしていたようだ。
僕達に気が付いて声を掛けてくれた。
「助かるよ、倉沢」
「まだ忙しそうだし、俺達、昼飯まだなんだ。ミックスサンドイッチ2つ頼む。あとコーヒー、ホットで。あと」
「お、了解」
千尋がサクサク注文してくれて、僕達は席についた。
テイクアウトもしているようで、どんどんお客さんがやってくる。
昼時とはいえ、すごいなぁ。
「千尋、小林さん忙しそうだけど大丈夫?」
サンドイッチを食べながら、そう小声で尋ねたら千尋が腕時計を見た。
「あいつ、もうすぐ休憩だから」
「倉沢ー!」
小林さんがサンドイッチを手に駆け寄ってくる。
どうやら本当に休憩時間らしい。
千尋、ここに相当通ってるな。
「お前、なかなか店、繁盛してるじゃないか」
「いやー、おかげさまで」
小林さんが笑う。
こりゃあ、本当に儲かってるんだろうなぁ。
「で、加那に相談したいことって、なんなんだ?」
千尋がこう尋ねると、小林さんが目線を泳がせた。
やっぱり言いにくいことらしい。
「レシピのこと…なんだけど」
そう彼は呟いた。
レシピかぁ、確かに本ではある。
「実は俺の作るサンドイッチのレシピは元になっているレシピのアレンジから生まれているんだ。まぁそのレシピは師匠のなんだけど」
「そのレシピがどうしたんだ?」
小林さんが身を縮ませる。
「この前、レシピを見ながらコーヒー飲んでたらこぼしちゃって」
それってつまり。
千尋もため息をついている。
「お前なぁ…」
「加那くん、なんとか復元できないかな?」
それは完全に僕の専門外だ。
本の修復というのは技術も要るし、時間も
それなりにかかる。
「そのレシピ、僕が見ても大丈夫ですか?」
でも一応、と思って僕はこう尋ねた。
なにか力になれるかもしれない、そう何故だか感じた。
「じゃあ事務所に行こうか」
僕達は店の奥にある事務所に通された。
「よう、小林」
あれから既に一週間が経過していた。
千尋が僕の休みに合わせるように休みを取ってくれて、僕達はその日の昼間、小林さんのお店に来ていた。
今日は平日だ。それでもお店はそれなりに混んでいるようで、店員さんが忙しそうに働いている。
小林さんもまたカウンターで接客をしていたようだ。
僕達に気が付いて声を掛けてくれた。
「助かるよ、倉沢」
「まだ忙しそうだし、俺達、昼飯まだなんだ。ミックスサンドイッチ2つ頼む。あとコーヒー、ホットで。あと」
「お、了解」
千尋がサクサク注文してくれて、僕達は席についた。
テイクアウトもしているようで、どんどんお客さんがやってくる。
昼時とはいえ、すごいなぁ。
「千尋、小林さん忙しそうだけど大丈夫?」
サンドイッチを食べながら、そう小声で尋ねたら千尋が腕時計を見た。
「あいつ、もうすぐ休憩だから」
「倉沢ー!」
小林さんがサンドイッチを手に駆け寄ってくる。
どうやら本当に休憩時間らしい。
千尋、ここに相当通ってるな。
「お前、なかなか店、繁盛してるじゃないか」
「いやー、おかげさまで」
小林さんが笑う。
こりゃあ、本当に儲かってるんだろうなぁ。
「で、加那に相談したいことって、なんなんだ?」
千尋がこう尋ねると、小林さんが目線を泳がせた。
やっぱり言いにくいことらしい。
「レシピのこと…なんだけど」
そう彼は呟いた。
レシピかぁ、確かに本ではある。
「実は俺の作るサンドイッチのレシピは元になっているレシピのアレンジから生まれているんだ。まぁそのレシピは師匠のなんだけど」
「そのレシピがどうしたんだ?」
小林さんが身を縮ませる。
「この前、レシピを見ながらコーヒー飲んでたらこぼしちゃって」
それってつまり。
千尋もため息をついている。
「お前なぁ…」
「加那くん、なんとか復元できないかな?」
それは完全に僕の専門外だ。
本の修復というのは技術も要るし、時間も
それなりにかかる。
「そのレシピ、僕が見ても大丈夫ですか?」
でも一応、と思って僕はこう尋ねた。
なにか力になれるかもしれない、そう何故だか感じた。
「じゃあ事務所に行こうか」
僕達は店の奥にある事務所に通された。
0
あなたにおすすめの小説
【完結・BL】春樹の隣は、この先もずっと俺が良い【幼馴染】
彩華
BL
俺の名前は綾瀬葵。
高校デビューをすることもなく入学したと思えば、あっという間に高校最後の年になった。周囲にはカップル成立していく中、俺は変わらず彼女はいない。いわく、DTのまま。それにも理由がある。俺は、幼馴染の春樹が好きだから。だが同性相手に「好きだ」なんて言えるはずもなく、かといって気持ちを諦めることも出来ずにダラダラと片思いを続けること早数年なわけで……。
(これが最後のチャンスかもしれない)
流石に高校最後の年。進路によっては、もう春樹と一緒にいられる時間が少ないと思うと焦りが出る。だが、かといって長年幼馴染という一番近い距離でいた関係を壊したいかと問われれば、それは……と踏み込めない俺もいるわけで。
(できれば、春樹に彼女が出来ませんように)
そんなことを、ずっと思ってしまう俺だが……────。
*********
久しぶりに始めてみました
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
天使から美形へと成長した幼馴染から、放課後の美術室に呼ばれたら
たけむら
BL
美形で天才肌の幼馴染✕ちょっと鈍感な高校生
海野想は、保育園の頃からの幼馴染である、朝川唯斗と同じ高校に進学した。かつて天使のような可愛さを持っていた唯斗は、立派な美形へと変貌し、今は絵の勉強を進めている。
そんなある日、数学の補習を終えた想が唯斗を美術室へと迎えに行くと、唯斗はひどく驚いた顔をしていて…?
※1話から4話までは別タイトルでpixivに掲載しております。続きも書きたくなったので、ゆっくりではありますが更新していきますね。
※第4話の冒頭が消えておりましたので直しました。
王様の恋
うりぼう
BL
「惚れ薬は手に入るか?」
突然王に言われた一言。
王は惚れ薬を使ってでも手に入れたい人間がいるらしい。
ずっと王を見つめてきた幼馴染の側近と王の話。
※エセ王国
※エセファンタジー
※惚れ薬
※異世界トリップ表現が少しあります
溺愛系とまではいかないけど…過保護系カレシと言った方が 良いじゃねぇ? って親友に言われる僕のカレシさん
315 サイコ
BL
潔癖症で対人恐怖症の汐織は、一目惚れした1つ上の三波 道也に告白する。
が、案の定…
対人恐怖症と潔癖症が、災いして号泣した汐織を心配して手を貸そうとした三波の手を叩いてしまう。
そんな事が、あったのにも関わらず仮の恋人から本当の恋人までなるのだが…
三波もまた、汐織の対応をどうしたらいいのか、戸惑っていた。
そこに汐織の幼馴染みで、隣に住んでいる汐織の姉と付き合っていると言う戸室 久貴が、汐織の頭をポンポンしている場面に遭遇してしまう…
表紙のイラストは、Days AIさんで作らせていただきました。
【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる