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二話
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「加那、これで全部よ」
裏から家に入ると、お母さんが待っていてくれた。
店に置いてある雑誌を部屋に運んでおいてくれたらしい。
その雑誌たちは照明で焼けて、少し黄ばんでいる。
もうだいぶ古いはずだ。
でも未だに読まれることも多いようで、僕が手伝っている時に読んでいる人を見かけることもある。
「こんなにあるのか…」
千尋がげんなりとした声を出す。
一冊が薄い冊子だから仕方ない。
「大丈夫だよ、千尋。この雑誌は3ヶ月毎の発行なんだ。
レシピが載っているのは夏号と冬号だけ」
「それならまだ絞れるな」
千尋が雑誌を手に持つ。
そして淡々と仕分けを始めた。
右側に夏号、左側に冬号といった具合だ。それ以外ははねる。
僕もそれに倣う。
さっき小林さんに汚れてしまったという冊子を、僕は借りてきていた。
せめて号数が分かればと思って持ってきたのだ。
「これ、多分夏号かな」
「よし、だいぶ絞り込んだな」
そこからはページを捲って中を確認した。
そして。
「あった!!」
それは表紙に来栖アリス大特集号と印字されている。
小林さんのおばあさんは『来栖アリス』という名前で活動しているらしい。
写真も載っていた。(まだ若い頃の写真のようだ)
中身を読むと簡単で美味しい玉子焼きの焼き方から始まって、サンドイッチの基本なんかも書いてあった。
小林さんが参考にするのも頷ける。
「小林に連絡しといてやるか、仕方ねえ」
そう言いながらも千尋は嬉しそうだ。
よかった、僕の記憶違いじゃなくて。
ホッとしながら僕は冊子を持とうと冊子に触った。
瞬間的に映像が流れ込んでくる。
それは小林さんとおばあさんのやりとりだった。
小さな頃の小林さんがおばあさんと一緒に料理を作っている。作っているのは玉子焼きだろうか。
僕はその様子を遠くから見ていた。
(楽しそうだな)
「加那!大丈夫か?」
体を揺すられて僕は気が付いた。
千尋に抱きかかえられている。
「千尋、僕…」
「体、変なとこないか?」
「平気」
僕は千尋に抱きついた。
裏から家に入ると、お母さんが待っていてくれた。
店に置いてある雑誌を部屋に運んでおいてくれたらしい。
その雑誌たちは照明で焼けて、少し黄ばんでいる。
もうだいぶ古いはずだ。
でも未だに読まれることも多いようで、僕が手伝っている時に読んでいる人を見かけることもある。
「こんなにあるのか…」
千尋がげんなりとした声を出す。
一冊が薄い冊子だから仕方ない。
「大丈夫だよ、千尋。この雑誌は3ヶ月毎の発行なんだ。
レシピが載っているのは夏号と冬号だけ」
「それならまだ絞れるな」
千尋が雑誌を手に持つ。
そして淡々と仕分けを始めた。
右側に夏号、左側に冬号といった具合だ。それ以外ははねる。
僕もそれに倣う。
さっき小林さんに汚れてしまったという冊子を、僕は借りてきていた。
せめて号数が分かればと思って持ってきたのだ。
「これ、多分夏号かな」
「よし、だいぶ絞り込んだな」
そこからはページを捲って中を確認した。
そして。
「あった!!」
それは表紙に来栖アリス大特集号と印字されている。
小林さんのおばあさんは『来栖アリス』という名前で活動しているらしい。
写真も載っていた。(まだ若い頃の写真のようだ)
中身を読むと簡単で美味しい玉子焼きの焼き方から始まって、サンドイッチの基本なんかも書いてあった。
小林さんが参考にするのも頷ける。
「小林に連絡しといてやるか、仕方ねえ」
そう言いながらも千尋は嬉しそうだ。
よかった、僕の記憶違いじゃなくて。
ホッとしながら僕は冊子を持とうと冊子に触った。
瞬間的に映像が流れ込んでくる。
それは小林さんとおばあさんのやりとりだった。
小さな頃の小林さんがおばあさんと一緒に料理を作っている。作っているのは玉子焼きだろうか。
僕はその様子を遠くから見ていた。
(楽しそうだな)
「加那!大丈夫か?」
体を揺すられて僕は気が付いた。
千尋に抱きかかえられている。
「千尋、僕…」
「体、変なとこないか?」
「平気」
僕は千尋に抱きついた。
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