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じゅうさん

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「まったく、この魔物の森でよく暴れたものじゃ。主とかいう厄介な物に見つかるぞ」

「すみません、お酒が入り楽しくなってしまいました」

 ユバ様は頭を下げた。 

 しかし、竜人様は何かに気が付き声を上げる。

「おぉ、そうか! 今日は嫁取りの日かぁー! 羨ましい、私も番が欲しいぞぉー!」

 ドラーゴ様が叫び辺りの森が揺れて、冷たいドラゴン液が私たちに降り注いだ。

「ドラーゴ様、落ち着いてください。あなた様も一緒にお肉食べましょう、梅酒もありますよ」

「お肉! 酒! 馳走になる!」

 ドラゴンがぴかっと光り、シュルシュルと小さくなっていく。

 そして、身長は2メートル以上? 
 長い赤い髪を三つ編みにして肩から流し、筋肉質、薄いフリル付きのピンクのシャツと分厚いネックレス、ピンクのブレーと白のタイツ⁉︎


 紫のアイシャドウ、ピンクの口紅のムッキムッキな人物が現れた。
 その彼は顔に片手を当てて、くねくね腰を揺らした。


「あたし、ドラーゴよ、よろしくね。ドラちゃんと呼んでもいいわよ」

 ドラちゃん? ? ?? さっきまでの威厳は? 私はメダパニを食らったかの様な感覚に陥った。

 頭を混乱させながらも、隣にいるユバ様の袖を引っ張った。

「ユバ様、あのドラーゴ様はさっきのドラゴンと同一人物なのでしょうか?」

 彼は黙ったまま深く頷いた。


「もう何よ、いやぁーそこ私の場所!」


 焼肉の番人をしていた騎士達の間に、大きなお尻を突っ込んで無理矢理に座った。


「ははっ、はぁー……サローナ嬢、あの方はずっといや何百年と番を探していらしいのだが。未だに番は見つからず、その間に……あーなったんだと俺は父から聞いている。ドラゴンの時の言葉遣いは彼なりの営業らしい」

 営業?

「いーじゃない! 勇者の前はちゃんと威厳のあるドラゴンをやってるんだから! そこは許してよ! ほら、そこのお肉あたしの口に入れなさい! んんっ、おいちぃー!」 

 勇者の前?

「……サローナ嬢、見た目はあーだがいい人なんだ」

「えぇ、わかってるわ」


 私はインパクトの強いオネェの竜人様よりも、勇者の方が気になるのだけど。

 ほんとうに勇者いるの! 
 一度は会ってみたい。
 この世界の何処かに勇者がいるのだから、魔王もいるということよね。

 目の前でリアルな魔法対戦が見れるかも!


 ーーいやぁー! 最高ですわ。


「あー酔いが覚めちまったな、飲み直すか?」

「えぇ、飲みましょう。ラトナあなたも行くわよ」

「はい、お嬢様」

 竜人様を加えて、私たちの焼肉パーティーは終わらなかった。

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