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番外編
初夜 17
しおりを挟む次の日もその次の日も、ジークフリートに軟禁されクラウディアは私室から出て来れなかった。
さすがに三日目辺りに側近のブライアンや執事長のスティーブが扉の外から再三説得し、ようやく部屋から開放された。
食事や湯浴み以外は、ずっとジークフリートと私室で過ごしていたクラウディアの体力はかなり擦り減っていた。
「クラウディア様……大丈夫ですか…?」
湯に使っているクラウディアの湯浴みを手伝いをしていたメリーが心配そうに聞いている。
酷く気怠そうなクラウディアの身体には、ジークフリートの残した痕が色濃く至る箇所に刻まれている。
「……とても…怠い…わ……」
喋る事すら億劫そうなクラウディアに、メリーはそれ以上話しかけなかった。
そうしている間に湯浴みも終わり、歩けないクラウディアをメリーは甲斐甲斐しくお世話していた。
クラウディアを支えながら姿見の前の大きな椅子に座らせたが、髪を乾かしている途中でクラウディアは力尽き、その場で寝てしまっている。
メリーは急いで支度を整え、ジークフリートを呼んだ。
「お館様…、今夜はくらいはお控えになって下さいませんか?お館様の体力に付き合っていては、クラウディア様が死んでしまいます…」
ジークフリートが抱き上げ移動させても、クラウディアはピクリとも動かず眠ってしまっている。
「メリー。貴様…、言葉が過ぎるぞっ」
クラウディアを軽々抱えながら、ジークフリートはメリーの悪態に苦言を呈している。
「ようやくクラウディア様の痩せた御身体も健康的になってこられていたのに、この数日でまた痩せ細ってしまわれました」
低く放たれた言葉を物ともせず、メリーはジークフリートに食ってかかる。
ジークフリートも思う所があるのか、その言葉には反論せず無言を通した。
確かに食べるようになったとはいえクラウディアの食は今だに細く、特にこの3日の間はベッドにいた時間が長いせいかどこか窶れて見えた。
「…黙れっ」
分かってはいたがこうして他人に言われるのは癪に障る。
「差し出がましいのは百も承知ですが、主の御身体の安否を心配するのは従として当然の事でして……あっ、お館様っ!」
クラウディアを抱え早足で移動していたジークフリートは、すぐに私室へと辿り着きメリーの小言の途中で部屋の中へと入って行った。
メリーの訴えもあり、その日の夜はそのまま寝かせてもらえた。
初夜の後からジークフリートがアサラト公爵邸へと戻る事が多くなる。
それからのクラウディアは穏やかな日々を送っていた。お屋敷や使用人の管理など、覚える事も多く多忙だったが充実した日々を過ごしていた。
そんなある日。
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