虐げられた第八王女は冷酷公爵に愛される

ウリ坊

文字の大きさ
34 / 36
番外編

初夜 17

 
 次の日もその次の日も、ジークフリートに軟禁されクラウディアは私室から出て来れなかった。

 さすがに三日目辺りに側近のブライアンや執事長のスティーブが扉の外から再三説得し、ようやく部屋から開放された。
 食事や湯浴み以外は、ずっとジークフリートと私室で過ごしていたクラウディアの体力はかなり擦り減っていた。

「クラウディア様……大丈夫ですか…?」

 湯に使っているクラウディアの湯浴みを手伝いをしていたメリーが心配そうに聞いている。
 酷く気怠そうなクラウディアの身体には、ジークフリートの残した痕が色濃く至る箇所に刻まれている。

「……とても…怠い…わ……」

 喋る事すら億劫そうなクラウディアに、メリーはそれ以上話しかけなかった。
 そうしている間に湯浴みも終わり、歩けないクラウディアをメリーは甲斐甲斐しくお世話していた。

 クラウディアを支えながら姿見の前の大きな椅子に座らせたが、髪を乾かしている途中でクラウディアは力尽き、その場で寝てしまっている。

 メリーは急いで支度を整え、ジークフリートを呼んだ。

「お館様…、今夜はくらいはお控えになって下さいませんか?お館様の体力に付き合っていては、クラウディア様が死んでしまいます…」

 ジークフリートが抱き上げ移動させても、クラウディアはピクリとも動かず眠ってしまっている。

「メリー。貴様…、言葉が過ぎるぞっ」

 クラウディアを軽々抱えながら、ジークフリートはメリーの悪態に苦言を呈している。

「ようやくクラウディア様の痩せた御身体も健康的になってこられていたのに、この数日でまた痩せ細ってしまわれました」

 低く放たれた言葉を物ともせず、メリーはジークフリートに食ってかかる。
 ジークフリートも思う所があるのか、その言葉には反論せず無言を通した。
 確かに食べるようになったとはいえクラウディアの食は今だに細く、特にこの3日の間はベッドにいた時間が長いせいかどこかやつれて見えた。
 
「…黙れっ」

 分かってはいたがこうして他人に言われるのは癪に障る。

「差し出がましいのは百も承知ですが、主の御身体の安否を心配するのは従として当然の事でして……あっ、お館様っ!」
 
 クラウディアを抱え早足で移動していたジークフリートは、すぐに私室へと辿り着きメリーの小言の途中で部屋の中へと入って行った。


 メリーの訴えもあり、その日の夜はそのまま寝かせてもらえた。
 初夜の後からジークフリートがアサラト公爵邸へと戻る事が多くなる。

 それからのクラウディアは穏やかな日々を送っていた。お屋敷や使用人の管理など、覚える事も多く多忙だったが充実した日々を過ごしていた。

 そんなある日。


あなたにおすすめの小説

『病弱な幼馴染を優先してください』と言った妻が消えた翌日、夫は領地の会計書類が全て白紙になっていることに気づいた

歩人
ファンタジー
侯爵家に嫁いで五年。ルチアは夫エミルの領地会計・社交・使用人管理を全て一人で担ってきた。だがエミルはいつも幼馴染のアリーチェを優先する。「アリーチェは体が弱いんだ、お前とは違う」——その言葉を百回聞いた日、ルチアは微笑んで離縁届に署名した。「ええ、私は丈夫ですから。どうぞ幼馴染様をお大事に」。翌朝、エミルが目にしたのは——税務報告の締切、領民からの陳情の山、そして紅茶の淹れ方すら知らない自分。三ヶ月後、かつて「地味な妻」と呼ばれたルチアは、辺境伯の財務顧問として辣腕を振るっていた。

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結】忘れてください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。 貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。 夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。 貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。 もういいの。 私は貴方を解放する覚悟を決めた。 貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。 私の事は忘れてください。 ※6月26日初回完結  7月12日2回目完結しました。 お読みいただきありがとうございます。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。

音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。 だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。 そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。 そこには匿われていた美少年が棲んでいて……

【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。