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落ち着くまでナターリアを包んでくれるロディ。そして目線はコーリアに。

「僕が愛する人は生涯で1人だけ。コーリア。君に悪意がないことも知ってる。でもこれ以上はナターリアを傷つける事だって気がついたんだ。もう僕を男として見ないで欲しい。後、変な噂が流れてるみたいだけど…僕は貴族にはならない。僕は普通の生活が出来ればそれでいい。」

「別に貴族になりたいから話してた訳じゃない!」

「知ってるよ。家の話が出てくる前でも僕を意識していてくれたことも。でも今日のはやりすぎだ。コーリアのことは大切な人の妹として接してきたけどコーリアはそんな風に見れなかっただけ。君がナターリアの妹じゃなければ眼中にもないよ。」

ナターリアを抱きしめてコーリアに思っていたことを伝える。それは今まで大切に扱われてきたコーリアのプライドが許せなかった。

そう。コーリアはナターリア含め親まで口で動かす。そんなナターリアに顔がいい婚約者などプライドが許せなかった。もしかしたら貴族になるかもしれない。私ではなくて…。という感情が働いてしまったのだろう。

顔を真っ赤にしてその場を離れたコーリア。
これでロディとナターリア2人になった。

久しぶりに2人で歩いた商店街は何も買わず何も見ず、それぞれが相手のことを考えていた。

そして尋ねる。この3ヶ月間で何があったのかを。

先程も言っていたように結論から言えばロディは当主にはならない。身分やお金を優先すればきっと自由に生きられない。ナターリアと結ばれる事も難しくなる。なにより叔父様のあやつり人形になんてなりたくなかった。

長男以外に2人の子供はいるものの娘のみ。当主を継がないどこかの貴族が娘と結婚してどうにかするだろう。

ロディはただ父親のように自由に生きる事を選んだだけ。当主にならないと決めたのは自分の意思。

反抗的な操り人形はいらないのかロディは3ヵ月で解放されたのだ。

ナターリアはロディと一緒に居られるだけでよかった。それはロディも同じことを考えていた。それだけでもナターリアは嬉しいのにコーリアのプライドもへし折った。誰でもない大好きな恋人が。

新しいカッコいい恋人でも連れて自慢されるかもと考えてしまっていたがコーリアはしばらく家に引きこもりおとなしかった。そして普通に仕事に復帰した。口数が減ったと共におねだりも無くなった。ロディの一言で本当に変わったのか、まだ何かプライドが邪魔しているのかわからないがナターリアはそっとしておくことを選んだ。

月日は流れナターリアは家を出る。コーリアとは未だにギクシャクしているがきっと次会う時は普通の姉妹のように話せるだろう。なぜなら、ナターリアはどれだけこき使われていたとしても大切なたった一人の妹だと思っているから。可愛い妹だ。

ロディはナターリア一人を見つめてくれる。高い身分もお金もいらない。大好きな人と一緒に居られる今が大切だから。
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