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第二章 宇宙人来襲

第18話 少し変わった日常

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「ねえ。起きて」
 ここは、そうか。家のリビング。

 栄田をぶん殴って、適当に食い物をつまみながら警戒をしていた。
 彩達は危険だから二階へと上がらせて、俺のベッドと、お客さん用の布団その二つに三人で寝て貰った。

 俺は一階のリビング側で、玄関を見張っていた。

 そして目の前には、伶菜。
「おはよう」
 そう言って、軽いキスをする。
 ミントの香り。

「俺も顔を洗おう」
「私はご飯を作るわ」
「電気はまだ復活していないな。ご飯は蒸し布で包んで、蒸せば良いから」
「分かった」
 俺は洗面台へと向かう。

 歯磨きをして、ひげはどうするか悩み、風呂へ入ってからでいいかと放置する。
 顔を洗って、ふと鏡を見ると、凄くつかれた感じでまどかが立っていた。

「おう。おはよう。洗面台はすぐ空くから」
 タオルで顔を拭くと、まどかが倒れ込んでくる。
「おはよ」
 そしてキス。

「えらく疲れているけれど、どうした」
「どうしたもこうしたも、彩ちゃんと寝たけれど、色んな所を触られてもうね」
 そう言って、動きが止まる。少し何か考えているようだが。

「何でも無い。先にトイレに行く」
 そう言って、トイレへ行ってしまった。

 よく分からんな。そう思いながら、俺はキッチンへ移動する。
「今日は、学校あるのかねぇ」
 俺の姿を見て、伶菜がにへっと笑う。

「基本的に、何かあったら困るから休みじゃない?」
「そうかねぇ。電話が止まって電気が止まれば、何も情報が得られないのは辛いな」
「あー。竜ちゃん」
 何かを思いついて、聞いてくる。

「うん?」
「ラジオって無いの?」
「あっそういえば、防災用のライトについていた気がする。少し探すよ」
 俺はあわてて、倉庫を見に行く。

「防災ライト。おっこれだ」
 持つといやな感じ。
 重量感がある。

「いやな予感がする」

「スイッチは動くが、点かない」
 気になることは一つ。電池が入りっぱなしじゃ、ありませんように。

「だけど、入っているよな」
 アルカリ電池が液漏れして、電極が腐食。
「だああっ」

 アルカリ電池の液は、その名の通り水酸化カリウムを主成分とする強アルカリ性の水溶液。電池を、ビニール袋へ入れて密栓。

 ドライバーを取り出して、防災ライトを分解する。

 構造は簡単だから、小学生でも分かる。

 電池ボックスの流れで、六ボルトだと判断をする。
 厚紙で箱を作り、アルミホイルを銅線代わりにして新しい電池を直列に四つ繋いで、電池ボックスに来ていた赤と黒をそれぞれ、プラスとマイナスにアルミホイルを使いながら挟み込む。

 スイッチを入れると、ライトが点いた。ラジオへ切り替え、ダイヤルを回して受信周波数のチューニングをする。

「日本各地で大変な状況になっております。警察では対応できず。自衛隊が出動中となっています。大変危険ですので、外出は控えてください。ですが、以下の場所では避難勧告が出ています。ピィキュイィー。キュ。…… 本日の天気は晴れ。絶好の行楽日和となるでしょう。さて、避難と警戒と警報が出ております。外出は控えて、避難をしてください。外は大変危険です。外に出ないでください。ですが、避難はしてください」
 あーうん。情報と責任。それと通達。もうバラバラだな。


「なんかラジオも、パニクってるぞ」
「そうみたいね。外出せずに避難て何だろね」
「その前に、行楽日和って言っていたぞ。まあいい。さすがに、学校は休みだろう」
 俺がそう言うと、けだるい返事が聞こえる。

「そう。よかった。それならゆっくりと寝られる。あたしもう、絶対彩ちゃんと寝ない」
「どうしたの?」
 伶菜が聞くと、まどかがぼそぼそと答える。

「あらまあ。きっとそれは、色々と溜まっているのよ。私だって」
 そう言って、此方をちらっと見る伶菜。
 
 そんな事を言いながら、ラジオを流して食事をする。

「あいつは起きてこないな」
 俺がそう言うと、まどかが嫌そうに言う。
「きっと疲れているのよ」
 そう答えて、それを聞いた伶菜がニヤニヤ笑う。

 そうしていると、やっとローカルのニュースで、学校の休校が発表された。


 そして、昼過ぎに。やっと停電から復旧をする。

 その途端に、「国民全員。能力試験を受けてください」というアナウンスが流れる。

「試験? ああ。来週の期末。全員参加なの?」
 そんなぼけたことを、まどかが言う。

「ほら。まどかは、食べるのか寝るのか、どっちかにしろ」
「うーん食べる。食べさせて」
 そう言って口を、開けてくる。

 ほうれん草のおひたしを押しこむ。
 口が開く。
 鰹節を放り込む。
 口が開く。
 醤油を……

「さすがに待って。醤油ダイレクトは、色んな方面的にやばいから。おひたし好きだからお皿の上で作って。まどかからのお願い。ねっ」
「じゃあ、ご飯と卵で」
「ちょっと待って、口元からどろっとしたのは18禁よ。だめだわ」
 そのコントを見て、伶菜がツボに入ったようだ。

 口と鼻から、ご飯粒が吹き出し、大惨事になる。
 ちなみに食べていたのはTKGだ。
 年頃の娘が、見せてはいけない絵になった。

「ひどい。鼻が痛い。気持ち悪い」
「タオルを濡らしてくるより、顔を洗え」
「うん゛。ぞうずる」

 その間に、テーブルを拭く。
 拭き終わり、台所で顔を洗っている伶菜のお尻を眺める。
 気まずくなり。
「あー」
 お茶を一応ちらっと覗き込み、一口すする。

「竜司くん。あんまり気にしないタイプなんだ」
「何が?」
「人が出した、体液を飲む事」
 ええ。見事に吹き出しました。確かに、数粒ご飯は入っていた。

「おまっ。言い方」
 すると復活した、伶菜から牽制が入る。

「キスした仲だもの。平気よねぇ」
「ありがとう。でも、その茶漬けのTKGはやめてくれ。俺の心が痛い」
「あーうん」
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