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第四章 世界は戦乱へ

第21話 ダンジョンのお宝

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 猪のおかげで騒ぎになって、自由時間となった。

 山の中。
 町までほんの四十キロ。

 一番近い店は、山を下り。現れた橋で川を渡り、もっと上流側に確か五キロほど歩けばあった気がする。
 そのため、自由時間と言っても寝るしかない。

 おれは、周辺を探査する。
 宿泊所は、廃校となった小学校。
 そこから、魔素濃度を頼りに周囲を散策。
 だが反応は薄い。そう、未だにじいちゃんがダンジョンを見つけているの判らない。
 聞いても、匂うとしか教えてくれない。

 仕方が無いので、猪の移動した痕跡を追いかける。
 意外とうろうろと歩き回り、谷やら畑やら。
 体がでかくなった影響だろうか? 鹿が殺されて食われていた。

 そうしてうろうろして、結局学校の裏側。その少し上に、少し大きな防空壕なのか何かの穴があった。
 未だに、どういう基準で、魔素が溜まるのかも判らない。

 中へ入ると、何かを抜けた感じがする。

 一気に走り始める。
 洞穴型。
 罠だらけの、遺跡型の方が階層が少なくて楽なんだが……
 そう、罠など、最初にぶっ壊す。

 踏んだらトラップが動作?
 動作する前に、破壊すりゃ良いんだよ。
 動かなければそれで良い。

 だが洞窟型は、地道に走らなければいけない。

 モンスターは、シールドを張って走れば勝手に死んでいく。

 走るだけの簡単なお仕事です。

「馬鹿野郎。走るのがしんどいんだよぉ」
 自分でぼけ、自分で突っ込む。
 これが出来ないと、ダンジョン攻略は退屈で死んでしまう。

 このダンジョン若いらしく、一層のゴブリン達から、二層のオーガさんへ行ってしまった。
 オークさんは今回居ない。
 昼下がりのオークさんは忙しいらしい。

 オーガさんはすぐに消え、ワンちゃん達へ。二階が終わる頃には、ヘルハウンドへ。
 流石に、シールドが押し返されるが、気合いで押し返す。

 三階も、ワンちゃんだらけ。頭が一個だったり、二個だったり、三個だったり。
 ケルベロスって、一部の人の間で人気が無いよね。
 スロットマシンで外れだったらしい。

 そして四階。
 ヒュドラが三連チャンでやって来て、毒を吐く。
「お前この辺じゃ、見ん顔やなって?」
 うねうねとして、各頭が毒性違いで、さらに魔法の属性も違う。

 とりあえず面倒。適当にあたりをつけて、空間事切る。
 魔石を破壊。
 前は頭を落として、苦労していたが、もうそんなミスはしない。
 一気に切る。

「四階でヒュドラだったら、五階はウロボロスとか大きさだけならベヒーモス?」
 だが、ヒュドラの三連アタックで、首の数が判らなくなったあと、何処にも下に下る階段がなかった。

 うろうろしてると、木の根っこ? 
「ミイラ化した何かのしっぽだ」
 消えずに残っているから、とりあえず持って帰る
 ダンジョンを閉じるため、クリスタルは奪う。

 その後も農業実習を行う。

 その後、二十歳は越えているから良いやとなって、宴会になった。
 地元の酒蔵が、最近地ビールも作っているらしい。

 猪の、串焼きとか、とんかつとか。
 冷しゃぶとか。急遽始まった宴会で、メニューは少ないが、味が濃厚で脂が甘い良い肉だった。
 結構盛り上がる。

 そしてよく見ると、付き合っているっぽい奴らが幾人か居るな。
 素っ気なくしていても、ふとした動きが夫婦のそれだ。

「結構、付き合っているような感じだな」
「えっうん。どうこう言っても、基本皆仕事もしているし」
 そう、結構普通の会社員も兼業で農家を始めた。

 食糧増産。地産地消。
 そう言って、旗を振ったのが基本俺達だから、うまく行っているようで良かった。

 そして、気が付けば人が減っていく。

 一応周りの山の中にいるようだが、でかい猪を見たばかりなのに皆すごいな。
 危ないから、気を使って見ておこう。
 定期的に探査を撃っておく。

 その事に気が付いたのか、杏が聞いてくる。
「皆いる?」
「ああ、面白い感じで、距離を置いてやってるな」
「まだ明るいのに」
「今の世界、暗くなると何が出てくるのか判らん。それにお互い、見ながらだと燃えるんじゃないか?」
「そうなのかしら? でもなんだかヤダ。集中できない」
 そう言って、変な顔をする。

「まあ、人それぞれだ」
 そう言いながら、俺達はゆっくりと飲みながら、バラ肉を塩胡椒で炙りレタスで巻いて食べる。たまにレモン汁。

 そうしていると、また人が集まってくる。

 結局その後、本来の夜食が始まるようで、バーベキューが始まるという悲しさ。
 牛肉は、黒毛和牛だそうで、腹一杯なのに、皆必死で食っていた。
 先生の、飯を食えという声は完全無視だ。
 配達用トラックには、ご飯の保温容器が五つほど並んでいたようだ。

 研修から帰り、シーヴにダンジョンで拾ったものを見て貰う。
 船には、鑑定システムがあるらしい。
「結果が出ました。ヒュドラの尾だそうです。こちらで言うかんぽう薬ですね。治療用で、後、化粧人にも使えるようです」

「必要ないな」
 そう思って、放っておいたら、じいちゃんが見つけて、喜んで持っていったようだ。

 その数ヶ月後、俺達はとんでもないものを、目撃することになる……
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