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第1章 壊された生活と異世界の村
第49話 出航
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前から造っていた。
大きめの船が、やっとできた。
お風呂や寝室。食糧庫などを、豪華にしていくと40mクラスになってしまった。
一応。自分が覚えていた限りの、装備を詰め込んで、建造した。
消波用の船首。喫水線の下側を、丸く伸ばしたバルバス・バウや、側面下部に出っ張った形で、船を安定させるためのビルジキールを搭載。
スクリューも。高速で回転すると、スクリューの移動した背面が、減圧されて発泡する。これをキャビテーションと言って、進まなくなったり。一気に、スクリューが壊食を受ける。
そう。壊れたり食われたりする。
それを抑えるために、ハイスキュー・プロペラと言って、頂点部までを曲面で作ったスクリューを採用。
これは水との摩擦を考えて、表面に溝を切り込んでみた。
そして、船体下部は、電蝕作用を防止するために、ガラスをコーティングしてある。電蝕作用というのは、2種類の異なる金属が、電解水(海水)に浸されることで、発生する。
そういえば、船を作っていて。思いついたことがあり試した。
魔道具の端を、電線の様に引き延ばした先に、魔力を流すと動作することが分かった。
これにより、スイッチらしい物ができて、魔道具のオンオフが遠隔できるようになった。
思わぬ結果が出て、大満足だ。接続は、並列でも大丈夫そうだ。
水や燃料を、積まなくてもいいので、空間的余裕がある。
魚用のいけすや、冷凍庫を作った。
ここの海って、化け物みたいな魚はいないよな? シーサーペントとか。
でも一応。水のタンクはあった方が良いか? バラストがてら、船の両端にタンクを置いて、パイプでつなぐ。中で、ちゃぷちゃぷしないように、隔壁で区切り。小さめの穴を開けて、安定させるようにした。
こんな物かな? 一応ベッドやその他には、揺れたときに危なくないよう。シートベルトを装着してある。
固定が必要な所には、すべてベルトを付けてある。
艦首に、大きな銛がいるかな?
いや、魔法を使って金属核を撃ちだす。魔導砲を付けよう。
原理は、レールガンだけどね。
よし。こんな物だろう。
浮かばないと恥ずかしいから、こそっと進水させてみる。
おおっ、浮いたな。
全体が金属の船は、初めてだったけれど、何とかなるものだ。
ゆっくりと魔力を籠めて、動力を繋ぐ。
おお進む。
かっ、舵が。意外と重い。あっ、羅針盤もない。
「逆進」
ドックには戻らないが、すぐわきの岸壁に着岸する。
舵に、魔道具をリンクささせて、アシストをさせたが? 意外と使い勝手が悪い。
うーん。蒸気のボンベを付けて、舵の角度とバルブの開度を合わせて。これなら何とか? 羅針盤はすぐ付けた。
そうなのだ。開発とは、一朝一夕にはできない。
誰も聞いていないが、言い訳をする。
「いやあ。佐藤さん。すごいのを、作りましたね」
周りに、海辺の村の人たちが、集まって来る。
「前に、精霊に聞いたところ。他の大陸があり、人が住んでいるらしいので、行ってみようかと思いまして」
「これなら。少々の波でも大丈夫でしょう? 救助艇は積まないのですか?」
「あっ」
「ありがとうございます。今から作ります」
船外機付きの、小型ボート6人乗りを6個作って両側に並べた。
想定人数は30人だから、予備が一艇。これでいいだろう。
一応、小型ボートにも、簡単な羅針盤と食糧庫装備。
その後。一月ほど、周辺で航海テストをした。
悪天候下でも、運用できるかをテストする。
そして、村のみんなに、説明とお披露目をして、一緒に行く仲間を集う。
うちの子たちは、皆行くようだ。
弟子たちは、まだ修行中と言っていたが、皆彼女ができて幸せそうなので、村で仕事をしてもらおう。
村長さんに、説明をしておく。
「方向は、ここから西へ向かえばいいと、妖精から聞いています。距離は不明ですが、あの船の走行性能なら、十分行けると思います」
そして、物資を積み込み。まだ見ぬ大陸へ向けて。出航することとなった。
こちらに来て、1年半。
秋の収穫により、食べ物もある。
十分な用意をして、出航。
「生きて帰れますように」
隣で久美が、不穏なせりふを吐く。
「前回の探査じゃ。7人も死んだんだからね。陸でそれなのに。海だよ」
「そうか。そうだよな。人の死ぬところを、みんな見ている。日本とは大違いで、危険は多い」
「まあ、船旅を楽しもう」
そう言って、周りを見回す。
うちの家族7人と、長尾さんや山中さん。それと海の村から4人。予定からすると少ないが、この人数なら、余裕がある。
クルージング。とにかく未知の場所へと、一歩目を進めた。
海の村から参加は、男一人は内村さん。
ずっと漁や、貝の採取をやって来た。
あと3人は、女の子。
浜辺に居て、浜の暮らしを、十分堪能したから、新たな旅に参加したらしい。
3人は、元々大学の同級生で、ドライブ中にトラックと衝突したとの事だ。
成瀬さんと加瀬さん。瀬戸さん。全員元大学生。来てから、5年経つようだ。
やっと、元の歳近くになったと、言っていた。
何はともあれ、そう言うことで。
順調な船旅が、今始まった。
大きめの船が、やっとできた。
お風呂や寝室。食糧庫などを、豪華にしていくと40mクラスになってしまった。
一応。自分が覚えていた限りの、装備を詰め込んで、建造した。
消波用の船首。喫水線の下側を、丸く伸ばしたバルバス・バウや、側面下部に出っ張った形で、船を安定させるためのビルジキールを搭載。
スクリューも。高速で回転すると、スクリューの移動した背面が、減圧されて発泡する。これをキャビテーションと言って、進まなくなったり。一気に、スクリューが壊食を受ける。
そう。壊れたり食われたりする。
それを抑えるために、ハイスキュー・プロペラと言って、頂点部までを曲面で作ったスクリューを採用。
これは水との摩擦を考えて、表面に溝を切り込んでみた。
そして、船体下部は、電蝕作用を防止するために、ガラスをコーティングしてある。電蝕作用というのは、2種類の異なる金属が、電解水(海水)に浸されることで、発生する。
そういえば、船を作っていて。思いついたことがあり試した。
魔道具の端を、電線の様に引き延ばした先に、魔力を流すと動作することが分かった。
これにより、スイッチらしい物ができて、魔道具のオンオフが遠隔できるようになった。
思わぬ結果が出て、大満足だ。接続は、並列でも大丈夫そうだ。
水や燃料を、積まなくてもいいので、空間的余裕がある。
魚用のいけすや、冷凍庫を作った。
ここの海って、化け物みたいな魚はいないよな? シーサーペントとか。
でも一応。水のタンクはあった方が良いか? バラストがてら、船の両端にタンクを置いて、パイプでつなぐ。中で、ちゃぷちゃぷしないように、隔壁で区切り。小さめの穴を開けて、安定させるようにした。
こんな物かな? 一応ベッドやその他には、揺れたときに危なくないよう。シートベルトを装着してある。
固定が必要な所には、すべてベルトを付けてある。
艦首に、大きな銛がいるかな?
いや、魔法を使って金属核を撃ちだす。魔導砲を付けよう。
原理は、レールガンだけどね。
よし。こんな物だろう。
浮かばないと恥ずかしいから、こそっと進水させてみる。
おおっ、浮いたな。
全体が金属の船は、初めてだったけれど、何とかなるものだ。
ゆっくりと魔力を籠めて、動力を繋ぐ。
おお進む。
かっ、舵が。意外と重い。あっ、羅針盤もない。
「逆進」
ドックには戻らないが、すぐわきの岸壁に着岸する。
舵に、魔道具をリンクささせて、アシストをさせたが? 意外と使い勝手が悪い。
うーん。蒸気のボンベを付けて、舵の角度とバルブの開度を合わせて。これなら何とか? 羅針盤はすぐ付けた。
そうなのだ。開発とは、一朝一夕にはできない。
誰も聞いていないが、言い訳をする。
「いやあ。佐藤さん。すごいのを、作りましたね」
周りに、海辺の村の人たちが、集まって来る。
「前に、精霊に聞いたところ。他の大陸があり、人が住んでいるらしいので、行ってみようかと思いまして」
「これなら。少々の波でも大丈夫でしょう? 救助艇は積まないのですか?」
「あっ」
「ありがとうございます。今から作ります」
船外機付きの、小型ボート6人乗りを6個作って両側に並べた。
想定人数は30人だから、予備が一艇。これでいいだろう。
一応、小型ボートにも、簡単な羅針盤と食糧庫装備。
その後。一月ほど、周辺で航海テストをした。
悪天候下でも、運用できるかをテストする。
そして、村のみんなに、説明とお披露目をして、一緒に行く仲間を集う。
うちの子たちは、皆行くようだ。
弟子たちは、まだ修行中と言っていたが、皆彼女ができて幸せそうなので、村で仕事をしてもらおう。
村長さんに、説明をしておく。
「方向は、ここから西へ向かえばいいと、妖精から聞いています。距離は不明ですが、あの船の走行性能なら、十分行けると思います」
そして、物資を積み込み。まだ見ぬ大陸へ向けて。出航することとなった。
こちらに来て、1年半。
秋の収穫により、食べ物もある。
十分な用意をして、出航。
「生きて帰れますように」
隣で久美が、不穏なせりふを吐く。
「前回の探査じゃ。7人も死んだんだからね。陸でそれなのに。海だよ」
「そうか。そうだよな。人の死ぬところを、みんな見ている。日本とは大違いで、危険は多い」
「まあ、船旅を楽しもう」
そう言って、周りを見回す。
うちの家族7人と、長尾さんや山中さん。それと海の村から4人。予定からすると少ないが、この人数なら、余裕がある。
クルージング。とにかく未知の場所へと、一歩目を進めた。
海の村から参加は、男一人は内村さん。
ずっと漁や、貝の採取をやって来た。
あと3人は、女の子。
浜辺に居て、浜の暮らしを、十分堪能したから、新たな旅に参加したらしい。
3人は、元々大学の同級生で、ドライブ中にトラックと衝突したとの事だ。
成瀬さんと加瀬さん。瀬戸さん。全員元大学生。来てから、5年経つようだ。
やっと、元の歳近くになったと、言っていた。
何はともあれ、そう言うことで。
順調な船旅が、今始まった。
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