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第2章 広がる世界

第53話 新天地の衝撃

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 試しに作った音響ソナー。
 水中へ落として、慎重に陸に近づいて行く。

 当然14KHz なんぞ聞こえないので、可聴周波数に上げる。
 まるで、お寺の鐘の音だ。
 
 しばらく、聞いていたが、よく分からない。
 試しに、内村さんや、皆にも順に聞いてもらったが、よく違いが聞き取れない。
 結論として、潜水艦のソナー員はすごいね。と、言うことで、妖精にお願いした。

 ずるい? 使えるものは何でも使う。

 岩礁を避けて、浜に近づいて行く。
 だが当然だが、ある程度で底を打ちそうなので、潮が引いても大丈夫な深さのところで、錨を落とす。かなり遠浅だ。

 本来は、救命艇だが、それを下ろし。
 降りたいと言う、数人を下ろす。

 香織を筆頭に長瀬親子、佳奈美と海の村の住人。
 成瀬さんと瀬戸さん。
 隆君以外、女の子。

 安全の為。周辺の気配を探ったが、やばそうな気配はなかった。

 見ていると、浜に到着すると、成瀬さんと瀬戸さんは、いきなり波打ち際を掘り返す。
 何かを掘っている? それに比べ、うちの家族は、上陸してすぐに蹲(うずくま)った。
 ああ。陸酔いか。

 成瀬さんと瀬戸さんは、アサリを掘っているようだ。
 いや、でかいな。ハマグリか? ハマグリなら、川が近くにあるはず。だが見えないな。

 そうしていると、成瀬さんは岩場へ移動して、何かを覗き込んでいる。
 何か、貝でも見つけて、採っているのだろう。


 妖精に頼み、前に人を見た場所を、精霊に訪ねてもらった。

 少しすると情報が来た。ここより、もう少し北へ上がって行くと、川がある。
 その内陸、10数キロで活動をしているようだ。

 お土産があった方が良いかな?
 山で住んでいるなら、塩と干物で良いか。烏賊の燻製も持って行こう。

 浜に行った皆は、2時間もすれば帰って来た。
 リフトで引き上げ、皆を迎える。

 ハマグリかと思ったが、バカガイだな。潮の加減で、ここは内湾に環境が近いのだろう。他にもカメノテやサザエ、アワビを捕まえてきていた。それにタコまで。
 それに比べ。うちの家族は、「どこにいても揺れるぅ酔う」そんなことを言って、グロッキーだ。

 久しぶりに、あさりの味噌汁や、バカガイなどを、網で焼いて楽しんだ。
 停泊中なので、ビールなども。みんなで飲んだ。

 内村さんが、なにか仕掛けを作って。投げ入れていた。

 すると、そんなにしないうちに、伊勢海老っぽい。大きなエビを釣っていた。
 船の周りには、磯がないはずだが、結構出てきているようだ。
 餌は、ああ。あさりか。貝殻が砕かれている。
 そのまま、焼き網に乗せると、周りの目が変わった。
 あれは取り合いになるな。ということで、釣りに参加をすることにした。
 

 だが釣っていると、自身が食べれらないので、各自。自分で確保とした。

 ふう。楽しいな。みんなも楽しそうだ。


 翌朝。名残は惜しいが抜錨(ばつびょう)して、船を出す。
 北に向けて出港。川を探そう。

 陸から少し離れて、海に隠れている瀬を回避しながら、北へと向かう。

 1日も進むと、川があった。

 妖精に確認して、間違いがなさそうなので、錨を入れ停泊。
 俺が先にボートで降りて、港を造る。
 そこに、船を停め。小舟を下ろす。
 お土産を積み込み。3艘(そう)の船で、内陸へ向かう。

 奥へ進んでいくと、いくつかの支流が流れ込む川で、かなり奥までボートできたが。もう10km以上来たよな? 

「ちょっと止まってくれ。確認する」
 慌てて、妖精に聞くと、行き過ぎた。手前にあった、支流の奥だそうだ。
「やっぱり来すぎていた。少し戻るよ」
 そう言って、Uターンする。

 さっき聞いた妖精の情報に、この川。怖い魚がいるから、気をつけてねというものがあった。
「この川。やばい魚がいるらしいから、落ちないように」
 と、皆に注意をする。

 突然みんなが、
 キョロキョロと周りを見だす。
「運転手は、キョロキョロしない」
 注意をする。

 あっ、居た。目玉が2つ。電撃を撃ち込む。

 魚とワニが浮かんできた。
「ワニがいるんだ。でも、今まで気が付かなかったよね」
「今まで、いると思っていなかったからな」

 程なく、支流は見つかった。思ったより狭いな。
 そんなに進めずに、川岸へじきに引き上げることになった。

 さあここからは、徒歩だな。
 体を魔力に最適化している、俺と内村さん。そして隆君で荷物を担ぐ。
 かなり大きな木が生えており、地面は踏み固められている。

 やがて、大木の中でも、更に大きい木の元に、大きい切り株があるのが見える。

 遠くで、人の声が聞こえる。
 探ると、モンスターと戦っているようだ。
「近くで、モンスターと戦っているようだ。行ってみよう」

 あれは、オークか? 問題は戦っている人が、裸族だ。男も女も、いろんなものが……。

 まあいい。
「力を貸すぞ」
 俺がそう叫ぶと、部族の人たちがこちらを向く。
 悠長に挨拶?そんな暇はない。気を失った女の子が、攫われているぞ。

 雷魔法を弱くして、オークの足を狙う。ばっちり効いたようで、ひっくり返り子供が離れた。
 向こう側はクリア。
 空気の斬撃を飛ばして、オークの首をはねる。

 子供を確保。
 裸族の方に、連れて来る。

 その間に、目につくオークは、首をはねた。

 慌てたように、オークたちは逃げ出す。
 追撃で、さらに首をはねる。

 内村さんは、雷撃をガンガン放っている。
 隆君は、火を撃ちだしているが、森では危ないな。延焼部は消火しておこう。

 オークが姿を消した後。
 裸族の人たちが集まっている所へ、俺たちは集まり。挨拶をしようとした。

 すると。なぜか裸族たちが、こちらに向かい跪く。

 俺たちの方が、あっけにとられる。

「族長のねねだ。力添え感謝する。その恰好。神の部族か?」
「はい? 神の部族? いや。俺たちは違うが、神と言うのは女神か?」
 そう聞くと、怪訝そうな顔を返される。

「違う。私たちの神は神地行人(かみちいくと)様。日本と言う神の国から時々やってこられる。精霊を従えるもの」

「日本?」
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