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第二章
魔力補給
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「ひょっとして…ベル?」
「おうよ」
「ど、どうしたんだこんなに!?まさか、魔法で作ったのか?」
「いくら魔法でも、無から有は生み出せん。自分の所有物なら出せるが、そもそも俺は人間の食事に興味はねえ」
聞けば低級の魔物などは血肉などを好んで食べるらしいが、精霊系は基本、大気に含まれる魔力などを食事がわりにしているのだそうだ。
「……その割りにはお前、魂だの血だのよこせって言ってる気がするんだけど?」
「俺らにとって、契約者や守護者から貰う対価は、普通に生きているだけでは絶対に得られない極上の糧だ。だから魔物などは、対価足りえる力を持つ者の従魔には喜んでなるし、棲む次元の違う者達は、それによって異世界に干渉する資格も得られる」
そういえばあの時レリエルが『この世界における干渉にも制限が発生する』って言っていたけど、そういう事なのか。
「ちなみにベルは?一応この世界には居られているみたいだけど」
「……居るだけなら問題は無い。魔力を自主的に摂取しなければ消耗はしてくるがな。今の状態の俺だと……そうだな。せいぜい一国を滅ぼす程度しか力を出せん」
「十分じゃねーか!!ってかそもそも一国滅ぼすな!!」
そういえばこいつ、悪魔公だったっけ。
って事は、ちゃんとした契約もしくは従属であるのなら、世界征服も夢ではないって事だ。
もしそんな思惑を持った奴が、ベル並みの従魔を従えてたら……と考えると、真面目に背筋が凍る。
今自分が知ってる範囲でベルを呼べるような人は……あのいけ好かないランスロット王子だ。
悔しいけど、あの人は俺より強いけど、国を統べる頂点になるのを嫌がって無能のフリをしてるし。守護しているのが天使だし、そういった点では安心な人だよな。
「ちなみにさ、前に世界征服系の願望持った奴と契約した事ってある?」
「さあ?俺達は基本、興味のある事でしか動かんし、他の奴のやる事に関心も滅多に持たん。……まあ、流石に仲間内が動けば関心は持つが、俺はそんな話聞いた事ねぇな」
「そっか……」
ベハティ母さんがずっと昔に戦ったラスボスは、魔族の召喚士だったって聞いていたから、ひょっとして……って一瞬思ったんだよね。
けど、ベルが知らないって事は、呼び出した相手は少なくとも、ベルやベルの仲間達ではなかったという事だ。
「じゃあベル。お前、こっちの世界に来てからの魔力供給はどうしてたんだよ?」
「お前から貰っていたが?」
「へ?」
ベルいわく、この世界の大気に含まれる魔力は非常に薄いらしく、食事にはならないそうだ。
しかも俺からの魔力供給も無し。ならばと、仮契約している俺の体液摂取や性交渉で魔力チャージをしようとしても、俺が許可なく性的に触れるのを禁止にしたので無理。
ならばと、蛇の姿でキスをしてちまちま魔力補充をしていたとの事。
成る程、つまりあれはセクハラとかではなく、食事みたいなもんだったのか。
そういや禁止事項に蛇の姿でのキス禁止とは書かなかったっけな。
……待てよ。って事はベルの奴、「気が向いたら」と言って、極限まで俺の事助けなかったのって、実は『助けない』ではなく『助けられなかった』のではないだろうか。
ベルに魔力供給も無く、この世界への干渉にも制限がある。……という事は当然、普通の従魔が当たり前のように行う「主を守る行為」も、ベルにとっては魔力を削るに等しい行為となる訳だ。それを続けていたら、この世界に存在出来なくなってしまう可能性もある。
そう考えれば、あの下位悪魔と対峙する為、わざわざ俺に血を対価に自分を『召喚』させた事も納得できる。
『俺が召喚士として相手に対価を示す』事が、ベルが自由にこの世界で力をふるう絶対条件なのだろう。
「……だったら普通に俺の従魔になれば「下僕なんぞに誰がなるか!」」
「……じゃあ、守護者に「あれは天使共の専売特許だ!」」
「……そもそも契約内容を変更「絶対変更はしない!」」
「「………」」
だめだこりゃ。
腐っても悪魔公。無駄にプライドが高い分、自分の提示した条件を覆したりするのは死んでも嫌だと。
「おうよ」
「ど、どうしたんだこんなに!?まさか、魔法で作ったのか?」
「いくら魔法でも、無から有は生み出せん。自分の所有物なら出せるが、そもそも俺は人間の食事に興味はねえ」
聞けば低級の魔物などは血肉などを好んで食べるらしいが、精霊系は基本、大気に含まれる魔力などを食事がわりにしているのだそうだ。
「……その割りにはお前、魂だの血だのよこせって言ってる気がするんだけど?」
「俺らにとって、契約者や守護者から貰う対価は、普通に生きているだけでは絶対に得られない極上の糧だ。だから魔物などは、対価足りえる力を持つ者の従魔には喜んでなるし、棲む次元の違う者達は、それによって異世界に干渉する資格も得られる」
そういえばあの時レリエルが『この世界における干渉にも制限が発生する』って言っていたけど、そういう事なのか。
「ちなみにベルは?一応この世界には居られているみたいだけど」
「……居るだけなら問題は無い。魔力を自主的に摂取しなければ消耗はしてくるがな。今の状態の俺だと……そうだな。せいぜい一国を滅ぼす程度しか力を出せん」
「十分じゃねーか!!ってかそもそも一国滅ぼすな!!」
そういえばこいつ、悪魔公だったっけ。
って事は、ちゃんとした契約もしくは従属であるのなら、世界征服も夢ではないって事だ。
もしそんな思惑を持った奴が、ベル並みの従魔を従えてたら……と考えると、真面目に背筋が凍る。
今自分が知ってる範囲でベルを呼べるような人は……あのいけ好かないランスロット王子だ。
悔しいけど、あの人は俺より強いけど、国を統べる頂点になるのを嫌がって無能のフリをしてるし。守護しているのが天使だし、そういった点では安心な人だよな。
「ちなみにさ、前に世界征服系の願望持った奴と契約した事ってある?」
「さあ?俺達は基本、興味のある事でしか動かんし、他の奴のやる事に関心も滅多に持たん。……まあ、流石に仲間内が動けば関心は持つが、俺はそんな話聞いた事ねぇな」
「そっか……」
ベハティ母さんがずっと昔に戦ったラスボスは、魔族の召喚士だったって聞いていたから、ひょっとして……って一瞬思ったんだよね。
けど、ベルが知らないって事は、呼び出した相手は少なくとも、ベルやベルの仲間達ではなかったという事だ。
「じゃあベル。お前、こっちの世界に来てからの魔力供給はどうしてたんだよ?」
「お前から貰っていたが?」
「へ?」
ベルいわく、この世界の大気に含まれる魔力は非常に薄いらしく、食事にはならないそうだ。
しかも俺からの魔力供給も無し。ならばと、仮契約している俺の体液摂取や性交渉で魔力チャージをしようとしても、俺が許可なく性的に触れるのを禁止にしたので無理。
ならばと、蛇の姿でキスをしてちまちま魔力補充をしていたとの事。
成る程、つまりあれはセクハラとかではなく、食事みたいなもんだったのか。
そういや禁止事項に蛇の姿でのキス禁止とは書かなかったっけな。
……待てよ。って事はベルの奴、「気が向いたら」と言って、極限まで俺の事助けなかったのって、実は『助けない』ではなく『助けられなかった』のではないだろうか。
ベルに魔力供給も無く、この世界への干渉にも制限がある。……という事は当然、普通の従魔が当たり前のように行う「主を守る行為」も、ベルにとっては魔力を削るに等しい行為となる訳だ。それを続けていたら、この世界に存在出来なくなってしまう可能性もある。
そう考えれば、あの下位悪魔と対峙する為、わざわざ俺に血を対価に自分を『召喚』させた事も納得できる。
『俺が召喚士として相手に対価を示す』事が、ベルが自由にこの世界で力をふるう絶対条件なのだろう。
「……だったら普通に俺の従魔になれば「下僕なんぞに誰がなるか!」」
「……じゃあ、守護者に「あれは天使共の専売特許だ!」」
「……そもそも契約内容を変更「絶対変更はしない!」」
「「………」」
だめだこりゃ。
腐っても悪魔公。無駄にプライドが高い分、自分の提示した条件を覆したりするのは死んでも嫌だと。
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