続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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ダグスク 〜入り江の端〜

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 子供の頃に集落を人族に襲われ、両親と別れれしまったトッツ。

 残されたトッツと赤ん坊・・・妹は奴隷商人に売られたという。

 自分の過去を淡々と口にするトッツの様子は何処か他人事を話すようだった。
 そうする事が彼にとって自分を守る術なのかもしれない。

 奴隷商人に売られた小さな犬の獣人の少年は様々な人間の元で労働を強制させられていたそうだ。

「まぁ、決して幸せだったわけじゃない。
 辛い事も悔しい事も、なんで俺がって思わなかった訳でもない。
 でも最悪じゃない。」

 ・・・でも最悪じゃない。

 彼は幼いながらも、その最悪とうのも目にしてきたのだろう。

「酷い雇い主もいたけど、まぁマシなのもいてさ。
 飯にはありつけたりもしてたから、生きてはいけた。
 理不尽な事はいつもの事だから慣れちゃって、此処にきて初めて自由ってのを実感した時は不思議な気分だった。
 心配だったのは、妹の事だった。
 何処にいるんだろう。何をしているんだろう。
 いつも考える事は同じだった。」

 トッツが奴隷の身から解放されたのは雇い主が商いの失敗の末に、奴隷達を違法に購入していた事が発覚したからだった。

「役人が来たのは突然だった。
 奴隷紋が消され、金銭を渡されて今日から自由だって言われたんだ。
 俺が奴隷として最後にいたのはデザリア国だったんだけど、沢山の奴隷達が解放された。
 でも何処に行っても良いとか、何をしても良いって言われても分からない・・・。」

 それまで選択の自由のなかったトッツは選ぶという事が分からなかったのだろう。
 その時、デザリアの役人に希望を聞かれても答えられなかったそうだ。
 そんな人は沢山いたとトッツは言う。
 
「そんな時だった。
 海の風と匂いを感じたんだ。
 海を見たいと思った。
 役人が連れて行ってくれた海が広くて綺麗で驚いたんだ。
 あぁ、俺は海で生きたい。
 そう思ったんだ。」

 思い出す様に海を見つめるトッツにエナやテンが頷いた。

「グラトニー商会を通じてラバン商会から問い合わせがあったんだよ。
 1人雇ってくれないかって。
 こっちは人手なんて幾らでも必要だしね。
 話を聞けば苦労してきたんだろう事は分かるし、あっちの大陸に居たくない気持ちも理解できたから母さん達と話して受け入れようって決めたんだ。」

 トッツの肩をポンポンと叩くとテンはニカっと笑った。

「そうしたら、とっても真面目に働いてくれるもんだから有り難くって。」

 妻のグレータもトッツを気遣っていた1人だろう。

「戸惑う事も多かったけど、会長達のお陰で今は楽しく暮らせていけてるよ。」

 嬉しそうなトッツが恥ずかしそうに顔を赤く染めている。
 ディスがその肩を組むとニコニコしながらイオリ達に教えてくれた。

「ウチに出入りしている漁師の娘でカプアって人がいるんだけど、今はその人と一緒に住んでいるんだ。
 やっとアースガイル国民の資格も取れたから正式に籍も入れる予定なんだよ。
 なっ?」

 苦労話をしていた頃は違い、トッツな嬉しそうに頷くのだった。

※※※※※ ※※※※※

書籍化第4巻宜しくお願いします!
コミカライズも是非ご覧下さい。







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