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卒業舞踏会の夜、王太子セドリックから一方的な婚約破棄を告げられた公爵令嬢エイダ。
だが彼女は涙のひとつもこぼさず、優雅に微笑んでこう告げた。
「お言葉、確かに承りましたわ。こちらにサインを」
差し出されたのは、隣国ヴェルナハト帝国・若き冷徹皇帝クラウスからの求婚状。
十二歳で前世(地味な経理OL)の記憶を取り戻したエイダは、ゲームの破滅ルートを回避すべく六年もの歳月をかけて準備を重ねてい
た。香水・染料・冬向け織物――領地で築き上げた三大産業の供給は、婚約破棄と同時に即日停止。わずか一夜にして王国の経済支援
は消え、王宮は青ざめる。
行きつく先は、隣国の皇帝の隣。冷酷無比と恐れられる若き皇帝クラウスは、五年前のあの日からずっと、たった一人の少女を見つ
めていた――。
「準備された強さ」を武器に華麗に祖国を去る悪役令嬢と、彼女の全てを五年間見抜き続けてきた皇帝の、すれ違いと執着のロマン
ス。
文字数 82,223
最終更新日 2026.05.18
登録日 2026.05.18
「お前のスキルはゴミだ。今日限りで勇者パーティから追放する」
スキル【餌付け】を授かった料理人シオンは、勇者アーロンから冷酷に告げられた。半年前から育てた子魔狼コハクが鴨肉の煮込み
で死んだ――その責任を一身に背負わされて。
辺境の森で野垂れ死ぬ覚悟だったシオンを救ったのは、塩むすび一個。
食を捧げられたのは伝説の白狼神フェンリル――数百年ぶりに神性を保ったまま食事を口にした彼女は、涙を流して「主」と呼んだ。
実は【餌付け】は「廃棄級」の偽装。創世神シェフィロンが遺した「神獣を統べる試金石」だった。力を求めず、ただ誰かの腹を満
たそうとする者にだけ、神獣は頭を垂れる。
雷鳥姫、影狼、海龍、炎狐、大地熊、天空鯨、時の梟――。
八体の神獣が、シオンの食卓に集う。辺境ヴァルガード自治領で食産業を興し、飢饉から人々を救いながら、シオンは少しずつ自分
を取り戻していく。
戦わずに勝つ料理人と、もふもふ神獣たちの食卓物語。
文字数 74,787
最終更新日 2026.05.18
登録日 2026.05.18
玲国の水郷で生まれ育った楽器職人の娘・白凜音(はく りんね)、十七歳。
彼女には特殊な耳がある――声の半音下がりに嘘を聴き、隠された旋律から人の本心を読み、楽器に込められた持ち主の感情を聴く。
だが、その感受性は祝福であると同時に呪い。彼女は他者の音と決して共鳴できない、永遠の独奏者だった。
朝廷からの推挙状を受け、凜音は閉鎖されていた後宮楽工房の首席楽士として召し上げられる。過敏な耳が音の洪水に倒れたその夜
、辿り着いた「無音の間」で、彼女は楽神「韻」の分け御霊・響(きょう)と出会う。
凜音には果たすべき使命があった――百年も誰一人として奏でられなかった、失われた古曲「鎮魂曲」の復元。それは、毒殺された前
皇后と、凜音の母が果たせなかった夢でもあった。
水鏡の儀で凜音の独奏を聴いた冷徹な皇帝・玲煌帝蒼龍は、囁いた。
「お前の音は、母の音に似ている」
妃にはならない。けれど、いつか――誰かと音を合わせる日まで。
しっとりした和の情緒と古曲復元の高揚、そして「共演できない」二人の静かな恋。
文字数 78,205
最終更新日 2026.05.18
登録日 2026.05.18
結道師ギルドの末子・結ライ、十七歳。
彼が授かったのは「廃棄級」と判じられたスキル【結解】――結び目を解くだけの、戦闘で何の役にも立たないと侮蔑された力。
ある夜、結里村の北の山の遺跡で、ライは見えない結び目に出会う。
それは千年前に封印された「世界の脅威」――夜の賢者ノクトゥル。
飢餓と孤独に苦しみ続けた彼女は、ライが第一の結び目を解いた瞬間、震える声で囁いた。
「わたしを、解いてくれて、ありがとう」
縹影、疾翳、巌腕、閃刃、闇瀾、鋼盾、夜華――。
七重に封じられた本体結び目を一つずつ解くごとに、ノクトゥルは姿を変える。
だが、結び目の保存則は厳しい。解いた数だけ、別の場所で絡みが生まれる。
結縛派の追跡、神殿首座の謀略、結家の血脈に秘められた予言――。
祖父・結老が予知した「世界を救う孫」として、ライはノクトゥルと共に大陸を駆ける。
縛ることと解くこと、同じ術の二面。
役立たずと呼ばれた少年が、世界でただ一人「彼女の縛りを解ける者」だった物語。
文字数 69,922
最終更新日 2026.05.18
登録日 2026.05.18
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