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「婚約破棄?なんのことでしょうか」

国王陛下を前にしたリオレオは堂々と答えた。

「私の側近と不貞ですって?シュナンゼの予定は分刻みなのですよ?そんな時間どこにあるというのですか?」

苦笑いを浮かべるリオレオに周りは騒然とした。


「リオレオよ。しかし、目撃者は多いのだぞ?」

国王も動揺を隠しきれなかった。
事件の詳細は影や宰相、現場にいたの貴族から裏取りしてある。
知らされていなければ、リオレオの発言を鵜呑みにしそうな程、悪びれない態度だった。

リオレオの発言は筋が通っている。
男爵令嬢の虐めも側近との不貞も事実無根である。

サロンで彼が発言した内容を、今自分で論破している。

「目撃者?なんの事ですか?」

あの事などなかったかのように振る舞うリオレオ。

「リオレオ」
「誰が何を見たのか知りませんが。…全員黙らせてしまえば問題ないでしょう」

リオレオの発言に、部屋にいる者達は息を呑んだ。

「私の妃はシュナンゼしかおりません」

「リオレオ。それは不可能だ」

「何故。他に誰が見合うというのですか」

「…シュナンゼ嬢しかいないだろうな」

「ならば」

「彼女はもう純潔ではな」
「ああああああっ!!」

急に叫び声を上げたリオレオに、思わず国王の後ろに控えていた護衛が前に出た。

「あー失敗した。失敗した。アイツがあそこまでするなんてなぁ…シュナンゼは笑ってたんだ。目を合わせたときに…初めて、上面でない笑顔を」


シュナンゼは私の妃なのだ。
彼女しかありえないんだ。


ぶつぶつと同じ言葉を繰り返すリオレオに国王は首を振った。

「リオレオ。疲れているようだな。少し、ゆっくり休め…」

国王は宰相に目配をする。

「…陛下」

国王はゆっくり首を振った。



リオレオは離宮に軟禁されることになった。
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