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四 イチャイチャ回
「フリージア。…リィちゃーん?」
つんつん、と頬を突かれて半目で隣を見る。
「いいね。その目。怒ってるフリージアも可愛いよ」
「べっつに、怒ってませんけど?」
怒ってる怒ってる、とその目が面白がっている。
気のおけぬ相手だから、フリージアの感情など筒抜けなのだ。
含み笑いをして揶揄う、フリージアの婚約者となった大公子息ルーパスの頬を抓んで、ぐっと引っ張る。
「いひゃいよ。ふひーひあ」
「あら、男振りが上がりましたわよ」
つん、とそっぽを向くフリージアのその身体毎、幼馴染の腕の中に閉じ込められた。
「…私一人の力だと思っていたのに、とんだ道化だわ」
拗ねるフリージアをルーパスは愛しげに見つめた。
伯爵令嬢カリーナから以前受けた言葉を返して彼女の心を痛めつけた。
フリージアは、大人しい令嬢などではない。
社交界で生き残るために、無礼な者にはきちんと制裁を下し、上下関係ははっきり見せつけてやらねばならぬ。
やられたらやり返さねば、家名も友人も傷がつく。
けれど、自慢の口弁で国王陛下から勝ち取ったと思っていた婚約の白紙撤回は、裏でルーパスとその婚約者だった侯爵令嬢トリフォリウムが暗躍していたと知った。
「僕はどうしても、フリージアを取り戻したかったからね」
元々、ルーパスとフリージアはその爵位の高さからも見合った者同士。
将来、縁を繋ぐつもりで幼い頃から付き合いがあった。
本来、英雄伯爵家に嫁ぐはずだったのは、ルーパスの姉だった。
他国の王族に見初められてしまって、彼女は伯爵家と婚約を結ぶことはなくなった。
そこで白羽の矢が立ったのは、フリージアだった。
見目の麗しかった大公令嬢ではなく、婚約相手がフリージアに変更になったと聞かされたロマンセは盛大にヘソを曲げ、それ以来まともに顔を合わせたことはない。
ルーパスは、結婚相手はフリージアだと幼い頃からだと思っていたし、そうあるべきだと思ってもいた。
だから、彼女を取り返すための作戦を練るための時間の確保と、周囲からの執拗な婚約の打診を躱す為に、侯爵令嬢トリフォリウムと結託した。
トリフォリウム嬢にも、好いた令息がいた。
しかし、彼が功績を上げて、トリフォリウムを結婚相手に望むには少しばかり猶予がない。
彼が迎えにくる、その時間を稼ぐために、トリフォリウムはルーパスからの一時的な婚約を受けた。
ルーパスはトリフォリウムと、他国に嫁いだ姉を仲間に引き込み、ロマンセとフリージアの婚約を解消させる為の協力をさせた。
フリージアはルーパスの身体に身を寄せて、ため息を吐く。
「まさか…ロマンセ様の…伯爵家が裏で犯罪まがいの事に手を貸していたなんて」
嫁いでくる妻に寄生する程堕ちても、英雄の家系。
まさか、犯罪に手を染めているとは思いもしなかった。
「他国に嫁いだ姉上が知らせてくれたんだ。自国ではなく、他国で罪を犯していたから、今まで見つからなかった。
僕らがやったのは、調べ上げた伯爵家の罪を陛下に報告して、穏便にフリージアとの婚約を解消できるように取り計らってもらっただけだよ」
見逃せば、莫大な資産を持つフリージアの実家からの援助で、悪行が大事に、そして国家間の問題に発展しかねない。
この国を救った英雄が、大罪人として名を轟かせるわけにはいかなかった。
だから、このまま静かに伯爵家には退場してもらう必要があった。
「リィの奏上があったから、婚約の撤回の理由付けにもなったし、伯爵家に加担する貴族を見つけだす手助けにもなったから、そんなに拗ねないで。ね?」
「…拗ねてないから」
「リィはホント可愛いよねぇ。…アイツに知られることなくてよかったよ」
「…ロマンセ様のことですか?あの方はルーパスの姉様のような、美人で淑やかな女性が好みのようでしたから。
ベルガモ嬢もそのような雰囲気でしたし」
「なら、女性の趣味が違ってよかった」
「…私もロマンセ様は好みではありませんでしたし」
「そうなんだ?じゃあフリージアの好きなタイプってどういうの?」
「…私の知らないところで暗躍しない人。やるなら仲間に引き込んでくれる人、かしら」
「そうなんだ。僕もそういうタイプだよ。よかった」
どの口が言っているんだと、フリージアの胡乱な目が語る。
そんなフリージアに、キスを落とし、ルーパスは手元に戻ってきた掌中の玉を、満足そうに抱き込んだ。
つんつん、と頬を突かれて半目で隣を見る。
「いいね。その目。怒ってるフリージアも可愛いよ」
「べっつに、怒ってませんけど?」
怒ってる怒ってる、とその目が面白がっている。
気のおけぬ相手だから、フリージアの感情など筒抜けなのだ。
含み笑いをして揶揄う、フリージアの婚約者となった大公子息ルーパスの頬を抓んで、ぐっと引っ張る。
「いひゃいよ。ふひーひあ」
「あら、男振りが上がりましたわよ」
つん、とそっぽを向くフリージアのその身体毎、幼馴染の腕の中に閉じ込められた。
「…私一人の力だと思っていたのに、とんだ道化だわ」
拗ねるフリージアをルーパスは愛しげに見つめた。
伯爵令嬢カリーナから以前受けた言葉を返して彼女の心を痛めつけた。
フリージアは、大人しい令嬢などではない。
社交界で生き残るために、無礼な者にはきちんと制裁を下し、上下関係ははっきり見せつけてやらねばならぬ。
やられたらやり返さねば、家名も友人も傷がつく。
けれど、自慢の口弁で国王陛下から勝ち取ったと思っていた婚約の白紙撤回は、裏でルーパスとその婚約者だった侯爵令嬢トリフォリウムが暗躍していたと知った。
「僕はどうしても、フリージアを取り戻したかったからね」
元々、ルーパスとフリージアはその爵位の高さからも見合った者同士。
将来、縁を繋ぐつもりで幼い頃から付き合いがあった。
本来、英雄伯爵家に嫁ぐはずだったのは、ルーパスの姉だった。
他国の王族に見初められてしまって、彼女は伯爵家と婚約を結ぶことはなくなった。
そこで白羽の矢が立ったのは、フリージアだった。
見目の麗しかった大公令嬢ではなく、婚約相手がフリージアに変更になったと聞かされたロマンセは盛大にヘソを曲げ、それ以来まともに顔を合わせたことはない。
ルーパスは、結婚相手はフリージアだと幼い頃からだと思っていたし、そうあるべきだと思ってもいた。
だから、彼女を取り返すための作戦を練るための時間の確保と、周囲からの執拗な婚約の打診を躱す為に、侯爵令嬢トリフォリウムと結託した。
トリフォリウム嬢にも、好いた令息がいた。
しかし、彼が功績を上げて、トリフォリウムを結婚相手に望むには少しばかり猶予がない。
彼が迎えにくる、その時間を稼ぐために、トリフォリウムはルーパスからの一時的な婚約を受けた。
ルーパスはトリフォリウムと、他国に嫁いだ姉を仲間に引き込み、ロマンセとフリージアの婚約を解消させる為の協力をさせた。
フリージアはルーパスの身体に身を寄せて、ため息を吐く。
「まさか…ロマンセ様の…伯爵家が裏で犯罪まがいの事に手を貸していたなんて」
嫁いでくる妻に寄生する程堕ちても、英雄の家系。
まさか、犯罪に手を染めているとは思いもしなかった。
「他国に嫁いだ姉上が知らせてくれたんだ。自国ではなく、他国で罪を犯していたから、今まで見つからなかった。
僕らがやったのは、調べ上げた伯爵家の罪を陛下に報告して、穏便にフリージアとの婚約を解消できるように取り計らってもらっただけだよ」
見逃せば、莫大な資産を持つフリージアの実家からの援助で、悪行が大事に、そして国家間の問題に発展しかねない。
この国を救った英雄が、大罪人として名を轟かせるわけにはいかなかった。
だから、このまま静かに伯爵家には退場してもらう必要があった。
「リィの奏上があったから、婚約の撤回の理由付けにもなったし、伯爵家に加担する貴族を見つけだす手助けにもなったから、そんなに拗ねないで。ね?」
「…拗ねてないから」
「リィはホント可愛いよねぇ。…アイツに知られることなくてよかったよ」
「…ロマンセ様のことですか?あの方はルーパスの姉様のような、美人で淑やかな女性が好みのようでしたから。
ベルガモ嬢もそのような雰囲気でしたし」
「なら、女性の趣味が違ってよかった」
「…私もロマンセ様は好みではありませんでしたし」
「そうなんだ?じゃあフリージアの好きなタイプってどういうの?」
「…私の知らないところで暗躍しない人。やるなら仲間に引き込んでくれる人、かしら」
「そうなんだ。僕もそういうタイプだよ。よかった」
どの口が言っているんだと、フリージアの胡乱な目が語る。
そんなフリージアに、キスを落とし、ルーパスは手元に戻ってきた掌中の玉を、満足そうに抱き込んだ。
感想
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