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第三章 呪われし異界の鉄道駅編
105話
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「どうしたの? 優斗」
「――いや、早く置いた荷物を取りに行かないといけないなって思っただけだ」
咄嗟に誤魔化して俺は名刺をズボンのポケットに入れる。
その後は、店の関係者に、店入り口に荷物を置いたことを謝罪し、購入した食料品などを担ぎあげたあと、家に戻る。
都が鍵を開けて、ドアを開ける。
そして――、家の中に入ると玄関には仁王立ちしている妹の姿が!
「むーっ! お兄ちゃん!」
「胡桃が怒っている気がする」
「怒っているの!」
「そ、そうか……。と、とりあえず、ただいま」
「お帰りなさいなの」
「胡桃ちゃん、ただいま」
「お兄ちゃんとデートした人は知らないの!」
まったく、どいつもこいつもデート、デートと……。
ただ一緒に買い物に行っただけに過ぎないと言うのに。
「もしかして胡桃ちゃん、焼いてるの?」
「別に嫉妬しているだけなの!」
「二人とも、荷物を降ろしたいから玄関先で言い争うのは止めてくれ」
俺の言葉にハッ! と、した二人は廊下の端に退く。
ようやく廊下を通れるようになり、購入してきた生鮮食品を冷蔵庫に入れていく。
「それにしても、二人とも仲がいいよな」
「優斗の目って節穴なの!?」
「そうだよ! お兄ちゃんっ! 犬猿の仲って言うの!」
「息がぴったりなのに、何を言っているのか……」
一応、俺は伊達に長生きしている訳ではない。
暗殺者を相手にしてきたこともあるから、人間関係については人一倍詳しい。
そんな俺から見て喧嘩するほど仲が良いと言うのは、時々――、稀に――、ごく限られた条件下では――、時たま存在する。
「優斗って、自分の事になると周りが見えてないよね」
「そうだね。お兄ちゃんは、ダメダメなの!」
「何故に、俺は駄目出しをされているのか……。むしろ、俺は何も悪い事をしていないと思うんだが……」
まったく理不尽にも程がある。
俺は何一つ、悪い事をしていないのだが……、ハッキリ言って論理性に欠けると言ってもいい。
まったく――、魔王が使う魔法を解析して無効化してた時の方が100万倍楽だったな。
「そういえば、お兄ちゃん」
「どうした?」
「さっきね、すっごい! 綺麗な女の人が、お兄ちゃんに会いたいって――」
ソファーに座りながら、ポテチを口にしコーラを飲んでいた妹が思い出したかのように言葉を口にし――、途中まで妹が言いかけたところで、都が胡桃の方を両手で掴むと前後に揺らしながら口を開く。
「胡桃ちゃん! どういうことかしら?」
「――えっ? ちょっ!」
「胡桃ちゃん。新しい女が、また来たのかしら?」
「前後に揺らさないで、お腹の中でコーラがシェイクされるから」
「そ、そうね」
「えっと……、始めてあった人なんだけど……東雲柚木って人。すっごい美人だったの!」
「優斗……」
「待て! 俺は何も知らないぞ! 無実だ! 本当だ!」
どうして犯罪者を見るような疑いの眼差しを向けられないといけないのか。
「本当に?」
「本当だ。それと、もう一つ言わせて頂ければ都も彼女じゃな――、くはないかな……」
「お兄ちゃん!」
「……そんなこともなくはないかな……」
「優斗!」
「……なくはないかなみたいな?」
どうして、俺はこんなに自分が一切悪くないというのに弁明しているのか……。
これなら、あのクソ女神を崇拝していた信者たちを殲滅していた時の方が遥かに楽だ。
とりあえず! 良い感じの打開策を見つけるしかない!
「…………夕食を作ります」
俺は撤退戦を選ぶことにした。
仕方ない。
仕方ないのだ。
戦略的、撤退というのは良くあることなのだから。
「優斗、逃げた」
「お兄ちゃんが、逃げた……」
逃げたなぞ心外な。
俺は一時的な撤退を選んだだけに過ぎないというのに。
「――いや、早く置いた荷物を取りに行かないといけないなって思っただけだ」
咄嗟に誤魔化して俺は名刺をズボンのポケットに入れる。
その後は、店の関係者に、店入り口に荷物を置いたことを謝罪し、購入した食料品などを担ぎあげたあと、家に戻る。
都が鍵を開けて、ドアを開ける。
そして――、家の中に入ると玄関には仁王立ちしている妹の姿が!
「むーっ! お兄ちゃん!」
「胡桃が怒っている気がする」
「怒っているの!」
「そ、そうか……。と、とりあえず、ただいま」
「お帰りなさいなの」
「胡桃ちゃん、ただいま」
「お兄ちゃんとデートした人は知らないの!」
まったく、どいつもこいつもデート、デートと……。
ただ一緒に買い物に行っただけに過ぎないと言うのに。
「もしかして胡桃ちゃん、焼いてるの?」
「別に嫉妬しているだけなの!」
「二人とも、荷物を降ろしたいから玄関先で言い争うのは止めてくれ」
俺の言葉にハッ! と、した二人は廊下の端に退く。
ようやく廊下を通れるようになり、購入してきた生鮮食品を冷蔵庫に入れていく。
「それにしても、二人とも仲がいいよな」
「優斗の目って節穴なの!?」
「そうだよ! お兄ちゃんっ! 犬猿の仲って言うの!」
「息がぴったりなのに、何を言っているのか……」
一応、俺は伊達に長生きしている訳ではない。
暗殺者を相手にしてきたこともあるから、人間関係については人一倍詳しい。
そんな俺から見て喧嘩するほど仲が良いと言うのは、時々――、稀に――、ごく限られた条件下では――、時たま存在する。
「優斗って、自分の事になると周りが見えてないよね」
「そうだね。お兄ちゃんは、ダメダメなの!」
「何故に、俺は駄目出しをされているのか……。むしろ、俺は何も悪い事をしていないと思うんだが……」
まったく理不尽にも程がある。
俺は何一つ、悪い事をしていないのだが……、ハッキリ言って論理性に欠けると言ってもいい。
まったく――、魔王が使う魔法を解析して無効化してた時の方が100万倍楽だったな。
「そういえば、お兄ちゃん」
「どうした?」
「さっきね、すっごい! 綺麗な女の人が、お兄ちゃんに会いたいって――」
ソファーに座りながら、ポテチを口にしコーラを飲んでいた妹が思い出したかのように言葉を口にし――、途中まで妹が言いかけたところで、都が胡桃の方を両手で掴むと前後に揺らしながら口を開く。
「胡桃ちゃん! どういうことかしら?」
「――えっ? ちょっ!」
「胡桃ちゃん。新しい女が、また来たのかしら?」
「前後に揺らさないで、お腹の中でコーラがシェイクされるから」
「そ、そうね」
「えっと……、始めてあった人なんだけど……東雲柚木って人。すっごい美人だったの!」
「優斗……」
「待て! 俺は何も知らないぞ! 無実だ! 本当だ!」
どうして犯罪者を見るような疑いの眼差しを向けられないといけないのか。
「本当に?」
「本当だ。それと、もう一つ言わせて頂ければ都も彼女じゃな――、くはないかな……」
「お兄ちゃん!」
「……そんなこともなくはないかな……」
「優斗!」
「……なくはないかなみたいな?」
どうして、俺はこんなに自分が一切悪くないというのに弁明しているのか……。
これなら、あのクソ女神を崇拝していた信者たちを殲滅していた時の方が遥かに楽だ。
とりあえず! 良い感じの打開策を見つけるしかない!
「…………夕食を作ります」
俺は撤退戦を選ぶことにした。
仕方ない。
仕方ないのだ。
戦略的、撤退というのは良くあることなのだから。
「優斗、逃げた」
「お兄ちゃんが、逃げた……」
逃げたなぞ心外な。
俺は一時的な撤退を選んだだけに過ぎないというのに。
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