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第四章 囚われし呪詛村の祟り編

175話

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 岩手県警に到着したあとは、すぐに対策会議に呼ばれる。
 対策会議内容は、遠野市の怪異における問題らしく、会議室に入ったら住良木が座って手を振っていた。
 俺は溜息をつきながら近づく。

「また、お前か……」
「酷い言い方ですね。一応、私は桂木殿の補佐役なのですから――」
「補佐役と言っても千葉から岩手までだと距離があるだろ」
「それがですね! 偶然! 近くに! 仕事の用事があったんですよ!」
「わざとらし過ぎるな」
「まぁまぁ、私が居た方が話はスムーズに進むと思いますので、座ってください」

 パイプ椅子を勧めてくる住良木。
 俺は仕方なく彼女の横に座る。

「ところで、彼女さん達は放置で良かったのですか?」
「都たちのことか」
「はい。遠野市から、岩手県警付近まで一緒に来たのに、3人はホテルへと移動して貰ったのですよね?」
「よく知っているな」
「桂木殿の補佐役ですから」
「はあ……」
「それより、神谷さんが政府閣僚と掛け合っているようですけど、何かあったんですか?」
「……ずいぶんと俺の事情を知っているな」
「一応は、その程度のことは――。――で、いくらくらい吹っ掛ける予定なのですか?」
「まぁ、借金を肩代わりしてもらっている訳というか、無理矢理押し付けられた訳だが――、立て替えて貰っているのは事実だからな。100億は出してもらおうと思っている」
「結構な額ですね」
「国が亡びるかどうかの瀬戸際なら安いものだろ」
「それは、そうですけど……。それだけの額になると政府閣僚が簡単に承認できる額ではないかと。予算会議にも通さないといけなくなりますし……」
「まぁ、そこは政治家の連中に頑張ってもらうしかないな」
「そうですね。あっ、始まるみたいですよ」

 俺達が話している間に、200人を超す人が会議室に入ってくると部屋の中が暗くなると、一人の男が会議室に入ってくる。

「内閣官房長官の時貞(ときさだ) 守(まもる)です。今回、国家非常事態ということで、私が直接指揮を執ることとなりました」

 60歳過ぎの頭の薄い小柄な男。
 ただし、その眼光は鋭い。

「内閣官房長官が出てきたという事は、日本国政府は、かなり本気みたいですね」

 俺の横に座っていた住良木が、そんな感想を述べる。
 
「ああ。そのようだな。これは報酬が期待できるな」

 それにしても内閣官房長官が直接出張ってくるとは――、思ったよりも日本政府の反応が早いな。
 それに岩手まで短時間で来たという事は、それだけ深刻だと言う事を認識しているという事。
 戦争とは程遠い頭の中がお花畑な人間には取れない行動だ。
 
「どうかしたんですか? 嬉しそうな顔をしていますけど……」
「いや、俺が思っていたよりも、かなり日本政府の閣僚は優秀だと思っただけだ。これなら1000億くらい吹っ掛けても出して貰えそうだなと」
「それは、どうなのでしょうか……」
「少なくとも借金返済は出来そうだな」

 俺の出番があればだが――。
 思考している内にスクリーンに映像が映し出される。
 映し出され映像には、岩手県の衛星写真が表示されるが一部が黒塗りの丸い円で消されている。
 しかもリアルタイムで、円は少しずつ成長していっている。

「ほー」
「どうかしたのですか?」
「――いや。ずいぶんと正確に広がっている結界を認識しているなと思っただけだ」

 
  



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