【完結】伯爵令嬢が効率主義の権化だったら。 〜面倒な侯爵子息に絡まれたので、どうにかしようと思います〜

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第二章:初めての社交お茶会に出向く。

第20話 マリオネットを操って(3)

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 セシリアは、自身の顔を余裕の笑みで満たしてみせた。
 それが彼の目にどう映るのかを、しっかりと自覚した上で。

 すると、変化は劇的かつ予想通りに巻き起こる。


 一層恨みの籠ったクラウンの視線。

 そしてそれを見た侯爵と公爵が、ほぼ同時に苦い顔になる。
 

 彼らも、やっと気付いたのだろう。
 和解の意思どころか、相手への悪感情を余さず表に出している彼がこの『劇』の主役を担うには、いささか以上に役者不足だという事に。

 普通に話している今でさえ、気持ちを取り繕えていないのだ。
 和解の演技などという、明らかに意に沿わないことをやらされようものなら。

「今の彼が侯爵のシナリオの通りの言動をした所で、周りが騙されてくれる筈がありません」

 和解を見せつけるどころか、険悪さ露呈する結果になるだろう。
 そしてそうなれば、ほぼ間違いなく関係悪化の噂が流れる。
 そんな事を、侯爵達が望む筈無い。

 そしてその結果に至った理由をこちらに擦りつけられるなど、セシリアはゴメンである。

「だからこそ、今回の件はお断りさせていただきます」

 その声は、あくまでもふわりとしたものだった。
 しかしその言葉は、キッパリと拒絶の意を述べている。


 場には、数秒間の沈黙が舞い降りた。


 彼女の言に、反論したい。
 しかし実際には、彼女の言う通りなのだ。

 確かに今のクラウンが『劇』の相手役をするのには、一抹の不安を覚えずにはいられない。

 だからあちらは、皆それぞれにそんな思考の出口を求めて歯噛みする。



 そんな中、沈黙を破ったのはクレアリンゼだった。


 沈黙からゆっくり10秒ほどの後、彼女は席からスッと立ち上がる。
 そして「何のつもりだ?」と言いたげな顔を順に見回して、完璧な笑顔を作った。


 その笑顔は、おそらく事の行く末を楽観視させる効力を発したのだろう。

 二人の当主は、その顔を安堵の表情に塗り替えた。
 
 しかし、次の瞬間突きつけられたのは裏腹な現実だ。

「では皆様、お話は終わったようですので、私達はこれで」
「えっ?! ちょ、ちょっと待――」
「また後程、お茶会会場でお会いしましょう」

 呼び止めようとした侯爵に、クレアリンゼは有無を言わせない声と微笑みをお見舞いした。

 お陰で、静止の声は途中で見事に立ち消えた。
 そしてそれを敢えて「退室の許可だ」と誤認して、セシリアと二人の使用人達を引き連れながらクレアリンゼはその部屋を後にしたのだった。

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