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4話
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家に返って私は父の部屋へと向かった。
サイモンに婚約破棄されたことを伝えるためだ。
部屋に入ると、父は椅子の上で仕事をしていた。
「どうしたエレナ。今は仕事中だぞ」
「お父様、サイモン様に婚約破棄されました」
私は怒られるのを承知でお父様に報告した。
父は厳しい人だから、きっと怒鳴られるのだろうと思っていた。
「そうか」
しかし、返事は意外とアッサリしていた。
「え?」
驚いている私に父は不思議そうな顔を向ける。
「どうした?」
「いえ、もっとお怒りになるのかと……」
「いや、怒るわけないだろう。そもそも私はこの婚約には乗り気ではないのだ」
「そうなんですか?」
「ああ。サイモン殿はエレナと釣り合ってないからな。陛下からの紹介だったから断るわけにはいかんかったがな」
思いもよらない話を聞いて、私は驚いていた。
父がサイモン殿のことをよく知らないのだと思っていた。
「陛下はしっかりもののエレナならサイモン殿の手綱を握ってくれると思っていたようだが、私は無理だろうと思っていたよ。だから気にする必要はない。逆に今までよく頑張ったと言ってやりたいくらいだ」
「……はい、ありがとうございます」
「今日は早く寝なさい。疲れただろう」
私は少し涙が出た。
いつも厳しかった父がちゃんと私のことを見ていてくれたとは思っていなかった。
私は感動しながら父の部屋を後にした。
サイモンから「愛人になれ」と迫られていることは一応秘密にした。
★★★
「なぁ、昨日は悪かったよ」
「え?」
次の日、教室につくといきなりサイモンが声をかけてきた。
私は驚いた。
サイモンが申し訳なさそうな態度だったからだ。
私はサイモンが少しは反省することを覚えたのかと期待した。
「婚約破棄されたあとに愛人だって言われたから怒ってんだろ? ランクダウンされたんだから怒るのも無理ねーよな」
「……」
やっぱり違った。
期待した自分がバカだった。
やっぱり、一晩で変わる訳がなかった。
「出来るだけ好待遇にするからさ、戻ってこいよ。な?」
サイモンが私に向かって手を差し出した。
私は自分がここまで低く見られているのだということがとても頭にきていた。
サイモンに婚約破棄されたことを伝えるためだ。
部屋に入ると、父は椅子の上で仕事をしていた。
「どうしたエレナ。今は仕事中だぞ」
「お父様、サイモン様に婚約破棄されました」
私は怒られるのを承知でお父様に報告した。
父は厳しい人だから、きっと怒鳴られるのだろうと思っていた。
「そうか」
しかし、返事は意外とアッサリしていた。
「え?」
驚いている私に父は不思議そうな顔を向ける。
「どうした?」
「いえ、もっとお怒りになるのかと……」
「いや、怒るわけないだろう。そもそも私はこの婚約には乗り気ではないのだ」
「そうなんですか?」
「ああ。サイモン殿はエレナと釣り合ってないからな。陛下からの紹介だったから断るわけにはいかんかったがな」
思いもよらない話を聞いて、私は驚いていた。
父がサイモン殿のことをよく知らないのだと思っていた。
「陛下はしっかりもののエレナならサイモン殿の手綱を握ってくれると思っていたようだが、私は無理だろうと思っていたよ。だから気にする必要はない。逆に今までよく頑張ったと言ってやりたいくらいだ」
「……はい、ありがとうございます」
「今日は早く寝なさい。疲れただろう」
私は少し涙が出た。
いつも厳しかった父がちゃんと私のことを見ていてくれたとは思っていなかった。
私は感動しながら父の部屋を後にした。
サイモンから「愛人になれ」と迫られていることは一応秘密にした。
★★★
「なぁ、昨日は悪かったよ」
「え?」
次の日、教室につくといきなりサイモンが声をかけてきた。
私は驚いた。
サイモンが申し訳なさそうな態度だったからだ。
私はサイモンが少しは反省することを覚えたのかと期待した。
「婚約破棄されたあとに愛人だって言われたから怒ってんだろ? ランクダウンされたんだから怒るのも無理ねーよな」
「……」
やっぱり違った。
期待した自分がバカだった。
やっぱり、一晩で変わる訳がなかった。
「出来るだけ好待遇にするからさ、戻ってこいよ。な?」
サイモンが私に向かって手を差し出した。
私は自分がここまで低く見られているのだということがとても頭にきていた。
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