虚言癖のある妹に婚約者を取られたけど一向に構いません。

水垣するめ

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3話

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 俺、レオはルナとの婚約を破棄したことを早速父上に報告しに行った。
 国王である父上は玉座に座ったまま、話を聞いている。

「ルナ・プライスとの婚約を解消?」

 俺が説明し終えると、父上は眉を上げて困惑気味の声を出した。

「何故だ? 何故婚約解消など……」

 父上は相当に困惑しているようだった。
 あのルナは、自分の罪を消すのが恐ろしく上手かったのだろう。

「あのルナは、本性を隠していたのです」

「本性……?」

「はい、アイツは妹のエミリーを長年虐めていたのです。今までの成績も全て不正の結果でした」

「何!? それは本当か!」

 驚愕の表情になった父上が椅子から乗り出した。

「はい、本当です」

「なんだと、そんな馬鹿な……」

 俺は内心笑っていた。
 これで後はあいつを裁判にかけるだけだ。
 あいつがどれだけ悪あがきしようがもう無駄だ。

 大人しく裁かれろ、悪女め。

「して、証拠はあるのか?」

 その時、父上が質問をしてきた。

「証拠、ですか?」

「ああ、にわかには信じられん話だからな。ルナが本性を隠していたという証拠がなければ納得せんぞ。それとも無いのか?」

「いえ! もちろんあります!」

 俺は勢い良く返答する。
 もちろんルナを裁くための証拠は集めていた。
 それがこんな形で役立つとは。
 自分の有能さが恨めしい。

 俺は自信満々にルナがエミリーを虐めていた証拠を提示した。

「ルナがエミリーを虐めていたという証言を本人やエミリーの友人から複数聞いています!」

「……は?」

 父上が沈黙した。
 何かおかしなことを言ったのだろうか?
 父上が恐る恐る俺に質問する。

「それだけか……?」

「そうですが、しかしこれだけ証言が出ているのです。ルナはエミリーを虐めていたに違いありません!」

 俺がきっぱりとそう言うと、父上はドスンと玉座に座り直し、額を手で抑えながらため息をついた。

「レオ、それは証拠とは言わん……」

「え?」

「え? じゃない! このバカ息子が! そんな本人と友人の証言だけで証拠になるわけがないだろうが!」

「いえ父上、ですが……!」

「言い訳するな! もう一度出直せ! 次にちゃんと証拠がないなら容赦せんぞ!」

 急に怒りだした父上は俺を玉座の間から放りだした。
 俺は予想外に無碍に扱われたことに悪態をつく。

「クソッ! 証拠にならないだと……!」

 どうやら想像以上にルナは父上からの信用を得ていたようだ。
 こうなれば、徹底的に証拠を揃えてやる。

 俺はルナが罪を犯したという証拠を集めに向かった。
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