虚言癖のある妹に婚約者を取られたけど一向に構いません。

水垣するめ

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4話

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 私、ルナはレオが教室から出ていった後、真っ直ぐに家へと帰った。
 婚約破棄をされた訳だが、特別何かする必要はない。

 家に帰り自室に入ると、使用人のメイドの一人が出迎えてくれた。
 名前はミラ。少し冷たい印象があるが、上辺だけで物事を判断しない優秀な人物だ。
 家の殆どの人物がエミリーの味方をしている中、エミリーの本質を見抜いて私を味方してくれる数少ない人物だった。

「お帰りなさいませ、ルナ様」

「ただいま、ミラ」

 ミラに鞄を渡し、私は制服から着替える。
 ミラに着替えを手伝ってもらっている最中、私は今日のことを伝えた。

「ああ、そういえば、レオに婚約破棄されたわ」

「そうですか」

 ミラの驚きは少ない。
 というのも、婚約破棄されそうなことは前々から分かっていたことだったからだ。
 ミラが手伝ってくれたおかげ時間もかからずに、着替えが終わった。

「それじゃあ勉強するわ。夕食が出来たら教えてもらえるかしら」

「了解しました。後でハーブティーをお持ちします」

 ミラが部屋から出ていくと私は勉強机に座った。

 この貴族の娘とは思えないほど小さな部屋には、物が殆ど無かった。
 ベットやクローゼットを除くと、あるのは本と勉強机だけだ。
 これは私が長年エミリーから嫌がらせを受けてきた結果だった。
 私の持ち物のほとんどは取られ、エミリーの嘘によって貶められた結果、両親にこんな部屋に押し込まれている。

 コンコン、と扉が叩かれた。

「どうぞ」

 入ってきたのはミラだった。
 いつもの無表情なのに、今はどこか不安そうな表情になっている。

「そのルナ様、旦那様がお呼びです」

「……そう、分かったわ。今行くわね」

「お気をつけて」

 両親と会う時に言う台詞じゃないな、と内心で少し笑いながらお父様の部屋へと向かう。
 お父様の部屋に到着すると、コンコンとノックをした。

「入れ」

 部屋の中に入ると、お父様とお母様が私を睨んでいた。

「御用は何でしょうか?」

「自分でもわかっているでしょう?」

「婚約破棄のことですか?」

 私は単刀直入に言った。
 するとお母様がいきなり怒鳴った。

「そうよ! エミリーを虐めて、挙げ句の果てには皇太子から婚約破棄までされるなんてどういうつもり! この出来損ない!」

 お父様は呆れたように首を振っている。

「お前が改心すると思い、厳しくしてきた甲斐は無かったようだな。お前はもう手に終えん。──お前をこの家から追放する」
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