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6話
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翌日、私は“何事も無かったように”学園へと通っていた。
自分の席に座っている私を、生徒たちは遠巻きに見てひそひそと話している。
少し話が聞こえたが、どうやら昨日私が婚約破棄され家も追放されたことは学園中に知れ渡っているようだった。
授業の用意をしようと思ったその時、レオとエミリーが教室に入ってきた。
どうやら家を追放された私が学園に通っているのを聞きつけて来たらしい。
「おい貴様、なぜここにいる!」
「お姉さま! なんでここにいるのよ! あんたは追放されたはずでしょ!」
レオとエミリーは私の机の前に来るやいなや、いきなり怒鳴りつけた。
「え、だって学費は私が払ってますし」
「はぁ?! ウソつかないで! どうせ家のお金をくすねたんでしょう! お父様もご立腹よ! 今すぐ返しなさい!」
「エミリーを虐めていたことに加えて、金まで盗んで……! ルナ、お前の罪は重いぞ!」
「それにあんた、家にあった本と服、それにメイドまで持っていったでしょう! 家の物を盗んだわね! 言い逃れは出来ないわよ!」
私はため息をつく。
「だから、本も服も私のお金で買った物だけしか持っていってないし、ルナも私が雇っているわ。文句を言われる筋合いは無いわね」
「だからそれはお前が奪った──」
レオがまだ何か続けようとしたところで、私は言葉を遮った。
「もうよろしいですか。そろそろ授業が始まるんだけど」
「っ! お前! 皇太子である俺に向かって!」
レオが激高し、拳を振り上げた。
それが私に振り下ろされようとしたとき、横から入ってきた人物がそれを受け止めた。
「やめとけよ。流石にそれは見過ごせないぜ」
「お前は──!」
異国情緒のある黒髪に青い目。
留学生として学園に通っている、隣国の王子であるルーカス・ロングだった。
レオがルーカスから手を振りほどくと大声で怒鳴りつけた。
「こんなことをしてタダで済むと思っているのか!」
「おいおい勘違いしないでくれ。オレはあんたを助けたんだ」
睨みつけるレオに、ルーカスは余裕のある笑みを返す。
「何?!」
「考えてもみろよ。証拠もないのに犯罪者扱いして、挙げ句の果てには暴力まで振るう。色々とヤバイだろ?」
「っ! 証拠! また証拠か!」
ルーカスの言葉を聞いたレオは、「証拠」という言葉を忌々しげに吐き捨てた。
「いいだろう! そこまで言うなら一週間後、きっちり証拠を揃えてから、全校生徒を集めてそこで裁いてやる! その時はルーカス、お前もどうなるか覚悟しておけよ!」
「は? 何でだよ?」
理不尽な言いがかりにルーカスが疑問の声をあげるが、レオは聞き入れずに教室から出ていってしまった。
エミリーはそれに走ってついていく。
二人が教室から出ていった後、教室は沈黙に包まれた。
ルーカスが私の方を見て、ニヤリと意地悪に笑う。
「これで貸し一つ、だな。この日を待ち望んだぜ」
「勘違いしないで下さい。別にあなたの助けがなくても何とかできましたよ」
「はいはい。じゃ、授業も始まるしそろそろオレは戻るわ」
ルーカスはひらひらと手を振って、教室から出ていった。
一人ぽつりと残された私は、小さく呟いた。
「本当なんですけど……」
自分の席に座っている私を、生徒たちは遠巻きに見てひそひそと話している。
少し話が聞こえたが、どうやら昨日私が婚約破棄され家も追放されたことは学園中に知れ渡っているようだった。
授業の用意をしようと思ったその時、レオとエミリーが教室に入ってきた。
どうやら家を追放された私が学園に通っているのを聞きつけて来たらしい。
「おい貴様、なぜここにいる!」
「お姉さま! なんでここにいるのよ! あんたは追放されたはずでしょ!」
レオとエミリーは私の机の前に来るやいなや、いきなり怒鳴りつけた。
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「はぁ?! ウソつかないで! どうせ家のお金をくすねたんでしょう! お父様もご立腹よ! 今すぐ返しなさい!」
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「だから、本も服も私のお金で買った物だけしか持っていってないし、ルナも私が雇っているわ。文句を言われる筋合いは無いわね」
「だからそれはお前が奪った──」
レオがまだ何か続けようとしたところで、私は言葉を遮った。
「もうよろしいですか。そろそろ授業が始まるんだけど」
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「やめとけよ。流石にそれは見過ごせないぜ」
「お前は──!」
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レオがルーカスから手を振りほどくと大声で怒鳴りつけた。
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睨みつけるレオに、ルーカスは余裕のある笑みを返す。
「何?!」
「考えてもみろよ。証拠もないのに犯罪者扱いして、挙げ句の果てには暴力まで振るう。色々とヤバイだろ?」
「っ! 証拠! また証拠か!」
ルーカスの言葉を聞いたレオは、「証拠」という言葉を忌々しげに吐き捨てた。
「いいだろう! そこまで言うなら一週間後、きっちり証拠を揃えてから、全校生徒を集めてそこで裁いてやる! その時はルーカス、お前もどうなるか覚悟しておけよ!」
「は? 何でだよ?」
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エミリーはそれに走ってついていく。
二人が教室から出ていった後、教室は沈黙に包まれた。
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「これで貸し一つ、だな。この日を待ち望んだぜ」
「勘違いしないで下さい。別にあなたの助けがなくても何とかできましたよ」
「はいはい。じゃ、授業も始まるしそろそろオレは戻るわ」
ルーカスはひらひらと手を振って、教室から出ていった。
一人ぽつりと残された私は、小さく呟いた。
「本当なんですけど……」
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