虚言癖のある妹に婚約者を取られたけど一向に構いません。

水垣するめ

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7話

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 昼休み、私は食堂へとやって来た。
 私はいつも食堂で決まった席を利用している。
 しかし、今日は先客が座っていた。

「よぉ、また会ったな」

 ルーカスが席にもたれかかって、私に手を振る。
 私は手に食べ物をのせたトレーを持って立ち尽くす。

「そこ、私の席なんですけど」

「心の狭いことを言うなよ。みんなの食堂だぜ?」

「そうですね。では私は別の場所で食べるので」

 私がくるりと踵を返すと、ルーカスが慌てた声をだした。

「わー! 待って……んんっ。一緒に食おうぜ? オレ達の仲だろ?」

 ルーカスは瞬時に表情を取り繕い、いつもの傲慢そうな顔になる。

「一度取り引きしただけでしょう。馴れ馴れしいと思いますよ」

「……王子のオレにそんな口をきくのはお前だけぞ」

「そういうあなたの傲慢さは変わっていませんね」

 私はため息をついて、ルーカスの前の席に座る。
 するとルーカスは一瞬嬉しそうな表情を見せたが、自分の表情に気づいて、気まずそうにすぐにいつもの傲慢な顔になった。

「それはそうと、オレとの婚約の話は考え直してくれたか?」

「嫌です」

 昼食を食べながら私は即答する。

「何故だ。アイツとの婚約は無くなったんだろう?」

「当分誰とも婚約するつもりはありませんので」

 なにせつい最近まで婚約していたのがあのバカ皇太子で、家まで追放されたのだ。
 しばらく婚約の考えたくない。
 それに、今は忙しい。

「じゃあ、どうすれば婚約してくれる?」

 ルーカスが机から乗り出してきた。
 私の目をまっすぐ見て、少し頬を染めている。

「取り敢えず、その作られた傲慢さをやめてみては?」

「こ、これは兄上からの教えだ。そう簡単にはやめれん……」

「そうですか。では頑張ってください」

 昼食を食べ終わった私は、席から立った。

「え? 早っ、いつの間に」

 ルーカスが私の皿を見ると、そこはもう全て食べ終わって空のお皿があった。
 私はもともと昼にあまり食べない主義だ。

「それではまた」

 私は挨拶をしてルーカスから離れる。
 ルーカスが悔しそうに「くそっ」とつぶやく声が後ろから聞こえた。
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