7 / 15
7話
しおりを挟む
昼休み、私は食堂へとやって来た。
私はいつも食堂で決まった席を利用している。
しかし、今日は先客が座っていた。
「よぉ、また会ったな」
ルーカスが席にもたれかかって、私に手を振る。
私は手に食べ物をのせたトレーを持って立ち尽くす。
「そこ、私の席なんですけど」
「心の狭いことを言うなよ。みんなの食堂だぜ?」
「そうですね。では私は別の場所で食べるので」
私がくるりと踵を返すと、ルーカスが慌てた声をだした。
「わー! 待って……んんっ。一緒に食おうぜ? オレ達の仲だろ?」
ルーカスは瞬時に表情を取り繕い、いつもの傲慢そうな顔になる。
「一度取り引きしただけでしょう。馴れ馴れしいと思いますよ」
「……王子のオレにそんな口をきくのはお前だけぞ」
「そういうあなたの傲慢さは変わっていませんね」
私はため息をついて、ルーカスの前の席に座る。
するとルーカスは一瞬嬉しそうな表情を見せたが、自分の表情に気づいて、気まずそうにすぐにいつもの傲慢な顔になった。
「それはそうと、オレとの婚約の話は考え直してくれたか?」
「嫌です」
昼食を食べながら私は即答する。
「何故だ。アイツとの婚約は無くなったんだろう?」
「当分誰とも婚約するつもりはありませんので」
なにせつい最近まで婚約していたのがあのバカ皇太子で、家まで追放されたのだ。
しばらく婚約の考えたくない。
それに、今は忙しい。
「じゃあ、どうすれば婚約してくれる?」
ルーカスが机から乗り出してきた。
私の目をまっすぐ見て、少し頬を染めている。
「取り敢えず、その作られた傲慢さをやめてみては?」
「こ、これは兄上からの教えだ。そう簡単にはやめれん……」
「そうですか。では頑張ってください」
昼食を食べ終わった私は、席から立った。
「え? 早っ、いつの間に」
ルーカスが私の皿を見ると、そこはもう全て食べ終わって空のお皿があった。
私はもともと昼にあまり食べない主義だ。
「それではまた」
私は挨拶をしてルーカスから離れる。
ルーカスが悔しそうに「くそっ」とつぶやく声が後ろから聞こえた。
私はいつも食堂で決まった席を利用している。
しかし、今日は先客が座っていた。
「よぉ、また会ったな」
ルーカスが席にもたれかかって、私に手を振る。
私は手に食べ物をのせたトレーを持って立ち尽くす。
「そこ、私の席なんですけど」
「心の狭いことを言うなよ。みんなの食堂だぜ?」
「そうですね。では私は別の場所で食べるので」
私がくるりと踵を返すと、ルーカスが慌てた声をだした。
「わー! 待って……んんっ。一緒に食おうぜ? オレ達の仲だろ?」
ルーカスは瞬時に表情を取り繕い、いつもの傲慢そうな顔になる。
「一度取り引きしただけでしょう。馴れ馴れしいと思いますよ」
「……王子のオレにそんな口をきくのはお前だけぞ」
「そういうあなたの傲慢さは変わっていませんね」
私はため息をついて、ルーカスの前の席に座る。
するとルーカスは一瞬嬉しそうな表情を見せたが、自分の表情に気づいて、気まずそうにすぐにいつもの傲慢な顔になった。
「それはそうと、オレとの婚約の話は考え直してくれたか?」
「嫌です」
昼食を食べながら私は即答する。
「何故だ。アイツとの婚約は無くなったんだろう?」
「当分誰とも婚約するつもりはありませんので」
なにせつい最近まで婚約していたのがあのバカ皇太子で、家まで追放されたのだ。
しばらく婚約の考えたくない。
それに、今は忙しい。
「じゃあ、どうすれば婚約してくれる?」
ルーカスが机から乗り出してきた。
私の目をまっすぐ見て、少し頬を染めている。
「取り敢えず、その作られた傲慢さをやめてみては?」
「こ、これは兄上からの教えだ。そう簡単にはやめれん……」
「そうですか。では頑張ってください」
昼食を食べ終わった私は、席から立った。
「え? 早っ、いつの間に」
ルーカスが私の皿を見ると、そこはもう全て食べ終わって空のお皿があった。
私はもともと昼にあまり食べない主義だ。
「それではまた」
私は挨拶をしてルーカスから離れる。
ルーカスが悔しそうに「くそっ」とつぶやく声が後ろから聞こえた。
110
あなたにおすすめの小説
義母と義妹に虐げられていましたが、陰からじっくり復讐させていただきます〜おしとやか令嬢の裏の顔〜
有賀冬馬
ファンタジー
貴族の令嬢リディアは、父の再婚によりやってきた継母と義妹から、日々いじめと侮蔑を受けていた。
「あら、またそのみすぼらしいドレス? まるで使用人ね」
本当の母は早くに亡くなり、父も病死。残されたのは、冷たい屋敷と陰湿な支配。
けれど、リディアは泣き寝入りする女じゃなかった――。
おしとやかで無力な令嬢を演じながら、彼女はじわじわと仕返しを始める。
貴族社会の裏の裏。人の噂。人間関係。
「ふふ、気づいた時には遅いのよ」
優しげな仮面の下に、冷たい微笑みを宿すリディアの復讐劇が今、始まる。
ざまぁ×恋愛×ファンタジーの三拍子で贈る、スカッと復讐劇!
勧善懲悪が好きな方、読後感すっきりしたい方にオススメです!
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
精霊の愛し子が濡れ衣を着せられ、婚約破棄された結果
あーもんど
恋愛
「アリス!私は真実の愛に目覚めたんだ!君との婚約を白紙に戻して欲しい!」
ある日の朝、突然家に押し掛けてきた婚約者───ノア・アレクサンダー公爵令息に婚約解消を申し込まれたアリス・ベネット伯爵令嬢。
婚約解消に同意したアリスだったが、ノアに『解消理由をそちらに非があるように偽装して欲しい』と頼まれる。
当然ながら、アリスはそれを拒否。
他に女を作って、婚約解消を申し込まれただけでも屈辱なのに、そのうえ解消理由を偽装するなど有り得ない。
『そこをなんとか······』と食い下がるノアをアリスは叱咤し、屋敷から追い出した。
その数日後、アカデミーの卒業パーティーへ出席したアリスはノアと再会する。
彼の隣には想い人と思われる女性の姿が·····。
『まだ正式に婚約解消した訳でもないのに、他の女とパーティーに出席するだなんて·····』と呆れ返るアリスに、ノアは大声で叫んだ。
「アリス・ベネット伯爵令嬢!君との婚約を破棄させてもらう!婚約者が居ながら、他の男と寝た君とは結婚出来ない!」
濡れ衣を着せられたアリスはノアを冷めた目で見つめる。
······もう我慢の限界です。この男にはほとほと愛想が尽きました。
復讐を誓ったアリスは────精霊王の名を呼んだ。
※本作を読んでご気分を害される可能性がありますので、閲覧注意です(詳しくは感想欄の方をご参照してください)
※息抜き作品です。クオリティはそこまで高くありません。
※本作のざまぁは物理です。社会的制裁などは特にありません。
※hotランキング一位ありがとうございます(2020/12/01)
奈落を封印する聖女ですが、可愛い妹が追放されたので、国を見捨てる事にしました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
ファンケン公爵家の長女クラリスは本来家を継ぐ立場だった。だが奈落の底に住む魔族を封印する奈落の聖女に選ばれてしまった。聖なる役目を果たすため、クラリスは聖女となり、次女のエレノアが後継者となった。それから五年、両親が相次いで亡くなり、エレノアは女性ながら公爵となり莫大な資産を引き継いだ。その財産に目をつけたのが、日頃から素行の悪い王太子アキーレヌだった。愛人のキアナと結託し、罠を仕掛けた。まず国王を動かし、エレノアを王太子の婚約者とした。その上で強引に婚前交渉を迫り、エレノアが王太子を叩くように仕向け、不敬罪でお家断絶・私財没収・国外追放刑とした。それを奈落を封じる神殿で聞いたクラリスは激怒して、国を見捨てエレノアと一緒に隣国に行くことにしたのだった。
偽物と断罪された令嬢が精霊に溺愛されていたら
影茸
恋愛
公爵令嬢マレシアは偽聖女として、一方的に断罪された。
あらゆる罪を着せられ、一切の弁明も許されずに。
けれど、断罪したもの達は知らない。
彼女は偽物であれ、無力ではなく。
──彼女こそ真の聖女と、多くのものが認めていたことを。
(書きたいネタが出てきてしまったゆえの、衝動的短編です)
(少しだけタイトル変えました)
【完結】女王と婚約破棄して義妹を選んだ公爵には、痛い目を見てもらいます。女王の私は田舎でのんびりするので、よろしくお願いしますね。
五月ふう
恋愛
「シアラ。お前とは婚約破棄させてもらう。」
オークリィ公爵がシアラ女王に婚約破棄を要求したのは、結婚式の一週間前のことだった。
シアラからオークリィを奪ったのは、妹のボニー。彼女はシアラが苦しんでいる姿を見て、楽しそうに笑う。
ここは南の小国ルカドル国。シアラは御年25歳。
彼女には前世の記憶があった。
(どうなってるのよ?!)
ルカドル国は現在、崩壊の危機にある。女王にも関わらず、彼女に使える使用人は二人だけ。賃金が払えないからと、他のものは皆解雇されていた。
(貧乏女王に転生するなんて、、、。)
婚約破棄された女王シアラは、頭を抱えた。前世で散々な目にあった彼女は、今回こそは幸せになりたいと強く望んでいる。
(ひどすぎるよ、、、神様。金髪碧眼の、誰からも愛されるお姫様に転生させてって言ったじゃないですか、、、。)
幸せになれなかった前世の分を取り返すため、女王シアラは全力でのんびりしようと心に決めた。
最低な元婚約者も、継妹も知ったこっちゃない。
(もう婚約破棄なんてされずに、幸せに過ごすんだーー。)
異母妹に婚約者の王太子を奪われ追放されました。国の守護龍がついて来てくれました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「モドイド公爵家令嬢シャロン、不敬罪に婚約を破棄し追放刑とする」王太子は冷酷非情に言い放った。モドイド公爵家長女のシャロンは、半妹ジェスナに陥れられた。いや、家族全員に裏切られた。シャロンは先妻ロージーの子供だったが、ロージーはモドイド公爵の愛人だったイザベルに毒殺されていた。本当ならシャロンも殺されている所だったが、王家を乗っ取る心算だったモドイド公爵の手駒、道具として生かされていた。王太子だった第一王子ウイケルの婚約者にジェスナが、第二王子のエドワドにはシャロンが婚約者に選ばれていた。ウイケル王太子が毒殺されなければ、モドイド公爵の思い通りになっていた。だがウイケル王太子が毒殺されてしまった。どうしても王妃に成りたかったジェスナは、身体を張ってエドワドを籠絡し、エドワドにシャロンとの婚約を破棄させ、自分を婚約者に選ばせた。
婚約破棄が国を亡ぼす~愚かな王太子たちはそれに気づかなかったようで~
みやび
恋愛
冤罪で婚約破棄などする国の先などたかが知れている。
全くの無実で婚約を破棄された公爵令嬢。
それをあざ笑う人々。
そんな国が亡びるまでほとんど時間は要らなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる