トイレで記憶を失った俺は、優しい笑顔の精神科医に拾われる

気がつくと、俺は駅のトイレで泣いていた。

自分の名前も、どうしてここにいるのかも分からない。 財布の学生証に書かれていた名前は、“藤森双葉”。

何も分からないまま駆け込んだ総合病院で、混乱する俺に声をかけてくれたのは、優しい笑顔の精神科医・松村和樹だった。

「大丈夫ですよ」

そう言って、否定せず、急かさず、怖がる俺を受け止めてくれる先生。

けれど、失った記憶の奥には、思い出したくない“何か”があるようで――。

記憶を失った大学生と、穏やかな精神科医の、静かな救済の話。
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