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昼食を食べ損ねた俺
しおりを挟むハンカチを受け取った後、レイ・スティードは二人が立っていた場所へと視線を戻したがあの二人は既にどこかへ移動したようで、誰もいない殺風景な風景が広がっていた。
「もうすぐ昼休憩も終わる。もう行かなくてはいけない。」
第二皇子は先ほどまでいた二人など気にしていない様子で、俺の頭を優しく撫でてきた。
(なぜ撫でる?)
そして俺に向かって優しく微笑み....
「またな、クレノ。」
そう一言残して、第二皇子は立ち去った。
(またなって.....
もしかして俺、レイ・スティードに認識されちゃった....?)
けれど俺はレイ・スティードが嫌っているノア・カーティスの取り巻きのモブの一人だ。だからまたなとは言っても、これから話しかけてくる事はないだろう。
(でも...かっこよかったな....)
やはりBLゲームの世界。
この世界には俺みたいなモブ顔の凡人もいるが、それ以上にイケメンや美女がそれはそれは多い。
だがその美男美女達の中でも、群を抜いて美しい顔立ちをレイ・スティードはしている。
銀色のさらさらの長い髪も緑色の瞳も本当に綺麗で、男でノーマルの俺ですら胸が高鳴ってしまうほどにレイ・スティードは容姿端麗だった。
それに加えて勉強もできるし、剣の腕前も一流。
モテない方がおかしい。
ノア・カーティスが執着するのも分かる。
(まぁ、本人はそれをものすごく嫌そうにしてるけど。)
モテ男も大変だな。
自分は平凡なモブに生まれ変わって良かったなと、そんな事を考えていたら、学園から昼休憩が終わった鐘が鳴る。
「あ....弁当食べ損ねた.....」
そして俺は、自分が昼食を逃した事に気付いたのだった。
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