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魔女、欲望MAXモード
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「セックスしたーい! アルフレットさんと獣みたいにセックスしたーい!!!」
リディアが声を抑えて叫んだ先、それはアルフレットの先輩ウェリスだ。
ちょうどウェリスだけが門番をしていたタイミングに出くわしたため、リディアは煩悩を全部彼に吐き出していた。
「まぁ、フツーはそうなるよな。セックス無しの付き合いなんてなかなかマニアックな趣味してるよなぁ、アルフの奴も」
「というか! そもそもあなたがアルフレットさんをセックスパーティーに連れて行ったからトラウマになってんだよ!」
「いやぁ、可愛い後輩のために一肌脱ごうと思って実際脱ぎに行ったんだけど……まさかそんなことになってたなんてなぁ……」
苦笑するウェリスをリディアは睨みつける。
「うわっ……まだ一週間も一緒にいないくせにアルフみたいな表情してんなぁ……やっぱ恋人って似るんだな」
「え? 本当? いや、それよりも! まだ一週間も経ってないけどもう我慢できないの! アルフレットさんが隣にいるのにセックスは禁止だなんて……何かのプレイなの? こんな禁欲プレイ、マニアックすぎない?」
「だからマニアックな奴なんだよ。そんなに我慢できないなら俺とセックスする?」
「そんなこと、女神もアルフレットさんも許さないよ。分かってんでしょ?」
「はは……確かに。うーん、でも君ってけっこう前からアルフのこと好きだよね? そん時はアルフとセックスできなくても我慢出来てたんじゃないの?」
アルフレットは醸し出す険しい雰囲気から近づく者は少ないが実はファンが多い。
そして、リディアは嫌われない距離感を保ちながらアタックする猛者だった。
愛の気配に敏感なウェリスはそんな彼女に気づいていたため、不思議に思った。
アルフレットと結ばれた期間よりも結ばれなかった期間の方が長いことを知っていたから。
「あのねぇ、絶対食べられないって分かっているものを我慢するのはそう難しくないの。でもね、一口でも食べるともっともっとってお腹が減るのよ! こんなこと私だって初めてだから余計に我慢できないの!」
「俺ぁ一日でも我慢するのは辛いなぁ……」
「ただでさえアルフレットさんは顔も身体も私好みで、しかも会えばすっごい愛を語って来て、人を嬉しくさせて……なんなの? そこまで餌を与えるなら全部くれてもいいじゃない? ねえ、寸止めの毎日を与えて悶えさせるプレイなの? ねえ?」
「わーお、だいぶキてるねぇ……」
ギラつくリディアの瞳にウェリスは初めて女性を怖いと思った。
このままだと良からぬことに手を染めそうな気がした彼は代替案を出してみた。
「性癖がマッチするかまでは女神さまも関与できねーからよ。アルフの求めることが受け入れられないならアイツとは別れたらどうだ? 好みが見た目なら、似たような奴を探せばいいだろ」
「……デッド・オア・ダイ?」
「おい、どっちも死ねって意味じゃねーか」
「アルフレットさんみたいな人、そう簡単に見つかるわけないでしょ! というか、そんなホイホイ入れ替え可能な人じゃない!」
「うーん、好みの子を探して声をかけるようのが日課の俺には分からねーなぁ」
「そりゃあ、私だって昔はそうだったけど……というかみんな大抵そうだと思うけど……でもアルフレットさんは違うの」
もじもじしながらリディアが言うのをウェリスは共感できないまま受け入れた。
「だとしたら結局アイツとセックスできねーのは辛いだろ。アンタが我慢するか、アイツが信念を曲げるかしねーとな」
「そうなんだよぉ! アルフレットさんとセックスしたいーーー!!」
結局はなしは振り出しに戻った。
ウェリスははあ、とため息を吐いて言った。
「アルフの奴も一発ヤッてみればいいのになぁ。あいつって結構思い込みが激しい頭でっかちなところあるからなぁ……俺の見込みだとアイツはむっつりスケベの絶倫野郎だぜ。アンタの商品でその気にさせちゃえば?」
「縄で縛ってアイマスク付けて、バイブで彼の性感を刺激するってこと?」
「え、こわ……俺そこまで言ってないよ。ほら、勃起不全に効くお香とか売ってんじゃねーの? さりげなくそれを家で焚いたらどうよ」
「……なるほど。フフフ……」
セックスが思うようにいかないカップルというのも存在する世界だ。
ウェリスとしてはそんなカップルへのアドバイスと同じ感覚で言ってみただけだが、リディアは妙に笑みを深めている。
ウェリスはこの時さらに彼女が怖いと思った。
「おい、言っとくけど俺の可愛い後輩に無理強いはさせるなよ? そんなことしたら女神さまの天罰が下るからな?」
「フフフ……もちろん、私が愛するのはアルフレットさんだから……でも、確かにその気にさせてみるのはいいかも……ちょうど愛の日が近づいているから……フフフ……」
かなりの恐怖を覚えたウェリスはこの後、気が乗らないセックスの断り方をしっかりとアルフレットにレクチャーしてやった。
だが、教わった当人はと言うと。
「実は僕……セックスに偏見を持っていただけなのかもしれません。リディアさんと話しているうちに……彼女ともっと触れ合いたいと思い始めていて……だから、もしかしたらこのレクチャーを使う日は来ないかもしれないです」
「え? そ、そうなのか? アルフ?」
ウェリスは思った。
もしや余計なことをしちゃったかな、なんて。
彼の脳裏に浮かぶのは怪しく笑むリディアの姿。
が、アルフレット本人がセックスに乗り気であるならばなるようになるだろう、と持ち前の気楽さで忘れることにした。
リディアが声を抑えて叫んだ先、それはアルフレットの先輩ウェリスだ。
ちょうどウェリスだけが門番をしていたタイミングに出くわしたため、リディアは煩悩を全部彼に吐き出していた。
「まぁ、フツーはそうなるよな。セックス無しの付き合いなんてなかなかマニアックな趣味してるよなぁ、アルフの奴も」
「というか! そもそもあなたがアルフレットさんをセックスパーティーに連れて行ったからトラウマになってんだよ!」
「いやぁ、可愛い後輩のために一肌脱ごうと思って実際脱ぎに行ったんだけど……まさかそんなことになってたなんてなぁ……」
苦笑するウェリスをリディアは睨みつける。
「うわっ……まだ一週間も一緒にいないくせにアルフみたいな表情してんなぁ……やっぱ恋人って似るんだな」
「え? 本当? いや、それよりも! まだ一週間も経ってないけどもう我慢できないの! アルフレットさんが隣にいるのにセックスは禁止だなんて……何かのプレイなの? こんな禁欲プレイ、マニアックすぎない?」
「だからマニアックな奴なんだよ。そんなに我慢できないなら俺とセックスする?」
「そんなこと、女神もアルフレットさんも許さないよ。分かってんでしょ?」
「はは……確かに。うーん、でも君ってけっこう前からアルフのこと好きだよね? そん時はアルフとセックスできなくても我慢出来てたんじゃないの?」
アルフレットは醸し出す険しい雰囲気から近づく者は少ないが実はファンが多い。
そして、リディアは嫌われない距離感を保ちながらアタックする猛者だった。
愛の気配に敏感なウェリスはそんな彼女に気づいていたため、不思議に思った。
アルフレットと結ばれた期間よりも結ばれなかった期間の方が長いことを知っていたから。
「あのねぇ、絶対食べられないって分かっているものを我慢するのはそう難しくないの。でもね、一口でも食べるともっともっとってお腹が減るのよ! こんなこと私だって初めてだから余計に我慢できないの!」
「俺ぁ一日でも我慢するのは辛いなぁ……」
「ただでさえアルフレットさんは顔も身体も私好みで、しかも会えばすっごい愛を語って来て、人を嬉しくさせて……なんなの? そこまで餌を与えるなら全部くれてもいいじゃない? ねえ、寸止めの毎日を与えて悶えさせるプレイなの? ねえ?」
「わーお、だいぶキてるねぇ……」
ギラつくリディアの瞳にウェリスは初めて女性を怖いと思った。
このままだと良からぬことに手を染めそうな気がした彼は代替案を出してみた。
「性癖がマッチするかまでは女神さまも関与できねーからよ。アルフの求めることが受け入れられないならアイツとは別れたらどうだ? 好みが見た目なら、似たような奴を探せばいいだろ」
「……デッド・オア・ダイ?」
「おい、どっちも死ねって意味じゃねーか」
「アルフレットさんみたいな人、そう簡単に見つかるわけないでしょ! というか、そんなホイホイ入れ替え可能な人じゃない!」
「うーん、好みの子を探して声をかけるようのが日課の俺には分からねーなぁ」
「そりゃあ、私だって昔はそうだったけど……というかみんな大抵そうだと思うけど……でもアルフレットさんは違うの」
もじもじしながらリディアが言うのをウェリスは共感できないまま受け入れた。
「だとしたら結局アイツとセックスできねーのは辛いだろ。アンタが我慢するか、アイツが信念を曲げるかしねーとな」
「そうなんだよぉ! アルフレットさんとセックスしたいーーー!!」
結局はなしは振り出しに戻った。
ウェリスははあ、とため息を吐いて言った。
「アルフの奴も一発ヤッてみればいいのになぁ。あいつって結構思い込みが激しい頭でっかちなところあるからなぁ……俺の見込みだとアイツはむっつりスケベの絶倫野郎だぜ。アンタの商品でその気にさせちゃえば?」
「縄で縛ってアイマスク付けて、バイブで彼の性感を刺激するってこと?」
「え、こわ……俺そこまで言ってないよ。ほら、勃起不全に効くお香とか売ってんじゃねーの? さりげなくそれを家で焚いたらどうよ」
「……なるほど。フフフ……」
セックスが思うようにいかないカップルというのも存在する世界だ。
ウェリスとしてはそんなカップルへのアドバイスと同じ感覚で言ってみただけだが、リディアは妙に笑みを深めている。
ウェリスはこの時さらに彼女が怖いと思った。
「おい、言っとくけど俺の可愛い後輩に無理強いはさせるなよ? そんなことしたら女神さまの天罰が下るからな?」
「フフフ……もちろん、私が愛するのはアルフレットさんだから……でも、確かにその気にさせてみるのはいいかも……ちょうど愛の日が近づいているから……フフフ……」
かなりの恐怖を覚えたウェリスはこの後、気が乗らないセックスの断り方をしっかりとアルフレットにレクチャーしてやった。
だが、教わった当人はと言うと。
「実は僕……セックスに偏見を持っていただけなのかもしれません。リディアさんと話しているうちに……彼女ともっと触れ合いたいと思い始めていて……だから、もしかしたらこのレクチャーを使う日は来ないかもしれないです」
「え? そ、そうなのか? アルフ?」
ウェリスは思った。
もしや余計なことをしちゃったかな、なんて。
彼の脳裏に浮かぶのは怪しく笑むリディアの姿。
が、アルフレット本人がセックスに乗り気であるならばなるようになるだろう、と持ち前の気楽さで忘れることにした。
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