【完結】聖女戦記物語。結局、誰が聖女役?-魔法より武力と丈夫な体に自信があります-

ジェルミ

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第2部 外の世界

第21話 魔物討伐隊

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 翌日の早朝。
 陽がやっと昇り始めたころ魔物討伐隊が集まった。
 騎士団30名、内騎馬隊15名、弓兵10名、歩兵5名。

 シャルエル教よりロターリ司祭を含めた神官5人。
 ロターリ司祭は俺を見つけ、見下すような目で俺を見た。

 召喚された時に、司祭と一悶着あったからだ。
 司祭が些細な事で、俺に掴みかかってきたから手を振り払った。
 当たり所が悪かったのか、司祭の手の骨が折れた。
 ビッチェ王女がヒールを使い、その手を治した。
 俺が魔法を見たのは、その時が初めてだった。
 まだ根にもっているのかな。


 そして聖女イルマちゃん。
 メイドのイルゼさん、レーナさん。
 そしてオマケ扱いの俺、本郷 武だ。

 シャルエル教の神官5人と俺達4人は、2台の馬車に分かれ目的地まで進む。

 これから向かうアウルの森は、徒歩で3時間くらいの場所だそうだ。
 魔素も弱く、出てくる魔物も大したことはない。

 騎士団や見習い神官の練習場所になるくらいの、魔物しかいないらしい。

 そしてこの討伐隊を纏めているのが、騎士団長アーガス・リベラ。
 30代半ばの口髭を貯えた金髪だ。

 ビッチェ王女より、聖女イルマを託されたことで意気揚々としている。
 それほど名誉なことらしい。

 そしてリベラ団長の補佐をしているのが、コニーと言う20代後半の男だ。

 聖女イルマとシャルエル教の神官を載せた2台の馬車の前後を、騎士団員が守り左右を固めている。

 馬車の中はイルマちゃん、メイドのレーナさん。
 俺とイルゼさんが並んで向き合って座っている。

 イルマちゃんは白いフード付きのローブを着ている。
 要望が通ったみたいだね。
 フードがあれば、角が隠せるからね。

 そしてメイドのイルゼさんとレーナさんは、プレートアーマーを着ている。
 要所要所を金属で覆い、動きやすそうな作りの防具だ。
 イルゼさんは青色の髪をポニーテールに纏めている。
 レーナさんは赤髪でボブカットだ。
 そして腰には高そうな、バスターソードを提げている。
 2人共、戦闘メイドだからその姿が様になっている。
 
 方や俺は中古のバスターソードと、ライトアーマーを着ている。
 なぜならオマケだからだ。

 そして今日は大切な日になる。
 ここからイルマちゃんと抜け出し、自由になれるかどうかの日だ。
 やるしかない。


 昨日、イルゼさんからお金をもらった。
 これは先日、ビッチェ王女にイルマちゃんがお願いしていた件だ。
 持ち合わせがないのは不安だと言う話と、この国の貨幣を覚えたいという理由だ。
 小さいのもから大きい貨幣まで、一通り用意してほしいとお願いしていた。

 異世界言語の効果なのか、お金の価値は俺が理解できる金額に聞こえてくる。

 イルゼさんの説明によると硬貨は100円、500円、1,000円、10,000円、100,000円、1,000,000円の6種類だと言う。
 俺がもらえたのは100円、500円、1,000円、10,000円、100,000円の5枚だけ。
 全部で111,600円だけだ。
 一日5,000円が高収入の、この世界ならこれでも十分だけど。

 お金に余裕がないと、人は心が不安になる。
 これからイルマちゃんと2人で逃げることを考えると、お金はいくらあっても困らない。


 しかし3時間も馬車に載っているのは辛い。
 乗り心地がとにかく悪いのだ。

 そして乗り心地が限界近くなった頃、馬車は目的地のアウルの森の入口に着いた。


「みなさん、目的の場所に着きました。馬車から降りてください」
 騎士団リベラ団長の補佐をしている、コニーさんの声が聞こえた。

 俺達4人は馬車を降りた。
 シャルエル教の神官5人も、馬車を降りた降りたところだ。

 騎馬隊10人も馬を降り、残る人達に馬を預けている。
 騎馬は移動時に、馬車を守るためだけの護衛用のものらしい。

 騎士団30人中5人が、馬車や騎馬を面倒を見るために森の入口に残る。

 そして俺達は森の中を進んで行った。
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