【完結】聖女戦記物語。結局、誰が聖女役?-魔法より武力と丈夫な体に自信があります-

ジェルミ

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第2部 外の世界

第27話 裏切り

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 俺はイルマちゃんのフードを取って見せた。
「角!?」
「そうです。だからイルマちゃんは、聖女ではありません」
「えっ」

「そして俺はイルマちゃんのオマケです。だから聖女召喚は失敗したのです」
「そんな、あれほどビッチェ王女様が、ご苦労されたのに」
「だから俺達は用無しですよね。このまま王都に戻っても、魔族とオマケを王国が保護してくれるとは思えません」

「しかし」
「あっても一生口封じのため、幽閉されるか消されるかでしょう」
「ビッチェ王女様は、そんな方ではありません。一緒に戻りましょう」
「無理ですよ、本当はイルゼさんも分かっていますよね。俺達の未来が」
 イルゼさんは黙り込む。

「俺とイルマちゃんはこのまま消えます。王女様に召喚は失敗したと伝えてください。短い間ですかが、お世話になりました」
「タケシ様…」

「それでは、私が困るんだよ」

 シュッ!
   シュッ!

 ドスッ!
  ドスッ!

 矢が飛んできて、俺の背中に突き刺さった。
 
「うっ!」
 
 ロターリ司祭が生き残った騎士団を従え、勝ち誇った顔でこちらを見ている。

「その矢の先には魔物対策で持参した、ポイズンスネークの猛毒が塗ってある。いくらお前でも、これには耐えられまい」
「ロターリ司祭様、なんと言う事を…」

「イルゼか、メイド風情は黙っておれ。この男にはここで消えてもらおう」
「なぜこんなことを、されるのですか!」
「このタケシという男は、私に恥をかかせたからだ。それに召喚が失敗したとなれば、教会の面子にかかわる。今まで王女からもらっていた報酬もあるからな。駄目でしたでは、済まないのだよ」

「だからと言ってこんな」
「ここに生き残った騎士団員も、私の息がかかったものだ。あれだけの上位の魔物がでたんだ。私達神官と騎士団の働きによって、討伐したが戦いに巻き込まれ、聖女とその男は死んだことにする。そしてまた報酬をもらい、今度こそ聖女召喚を成功させればいいのさ」
「そんなことはさせません」

 グサッ!

「えっ?」

 イルゼが後ろを振り向くと、レーナのバスターソードが背中に刺さっていた。
「レーナちゃん、なぜ」
「ごめんね、イルゼさん。私はいつまでも組織に縛られたくないのよ。だからロターリ司祭様に、後ろ盾になってもらって組織を抜けるのよ」
「そ、そんな」

 私達は一生、組織の言いなりのまま。
 逃げ出せば追手が掛かり、普通の幸せは望めない。

 レーナちゃんは普段から何を考えているのか、分からないところがあった。
 もっと普段から話していれば、こんな事にならなかったかもしいれない。
 私は薄れていく意識の中で後悔をした。



「騎士団員、後は魔族の女だけだ。早く始末してしまえ!」

 ロターリ司祭の声が響いた。
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