【完結】聖女戦記物語。結局、誰が聖女役?-魔法より武力と丈夫な体に自信があります-

ジェルミ

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第3部 聖女降臨

第47話 石猿

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 私と双子の侍女リンリン、ランランの前を歩兵20名、弓兵12名が歩いている。
 そして私達の前後を神官6人が歩いている。
 後には歩兵10名、弓兵8名が付いてくる。
 前衛には補佐のコニー、後方は騎士団長アーガス・リベラが守ってくれている。

 しかし前後に分かれてしまうと、大した人数に感じない。
 むしろ不安になる人数だ。

 しばらく歩くと明るかった森が暗くなり始めた。
 ドンヨリとした重みを増したような空気になる。

「ビッチェ王女様、これが瘴気しょうきです。奥に行けば行くほど瘴気は強くなり、強い魔物がいると聞いております」

 私の前を歩いている神官の1人が教えてくれた。
 彼ら神官6人は前回討伐には参加しておらず、この森は初めてだと言う。


「ここら辺からだ」
 前衛を指揮している補佐のコニーが、ぽつりと言う。

 ガサ、ガサ、ガサ、ガサ
   ガサ、ガサ、ガサ、ガサ

 前の方からなにか音がする。

「ヒィッ?!」
 コニーが、とても驚き怯えている。
 こんなので大丈夫なのかしら?
 そう思った時だった。

 森の中から小柄な人型が5体出て来た。
「ゴ、ゴブリンだ!全員でかかれ~!!」
 コニーが、とても怯えた声で叫ぶ!!
 周りの兵士達がその怯え方にクスクス笑っている。

「そんなに強いのゴブリンは?」
 私は隣を歩くランランに聞く。

「いいえ、ゴブリンは魔物の中では弱い方です。それほど脅威ではありません」
「ではどうしてコニーさんは、あんなに怯えているのかしら?」
 後を振り向くと騎士団長アーガス・リベラは顔面蒼白になっている。
 前回の討伐でいったい何があったのかしら?

「ゆ、弓兵、前へ出ろ!撃て~!!」
 それは指揮と言うレベルのものではなかった。
 コニーは冷や汗をかき、とても指揮が出来るとは思えなかった。

 シュンッ!!シュンッ!!シュンッ!!シュンッ!!
   シュンッ!!シュンッ!!シュンッ!!シュンッ!!
    シュンッ!!シュンッ!!シュンッ!!シュンッ!!

「ギャッ!!」「グギャ!!」
「グギャ!!」「グギャ!!」「ギャッ!!」

 5体のゴブリンは、あっと言う間に倒された。

「ゴブリンなんて、こんなもんさ」
「そうだぜ、俺達にかかれば簡単さ」
 ゴブリンを倒した弓兵が自慢そうに言う。

「ここからだ。気を付けろ!油断するな!!」
 後方にいる騎士団長アーガスが叫ぶ!

 その言葉に兵士達は身構える。
 だがなにも起こらなかった。
「騎士団長、しっかりしてくださいよ。前回、何があったのかは知りませんが、怯えすぎですよ」
「そうですよ、ここは比較的、弱い魔物の溜まり場ですから」
「騎士団長がそれじゃあ、俺達の方が不安になりますよ。なあ、みんな?」
 そう1人の兵士が、みんなに同意を求めた時だった。

 ゴキッ!!
 変な音がしたと思うと、男の首が右に折れた!
 そして男は倒れる。

「歩兵は円陣を組み盾構えろ!弓兵は円陣の中に入れ~!!」
 騎士団長アーガスが、指示を出した時だった。

 ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!
    ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!
       ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!

 歩兵のかざす盾に何かが凄い勢いで当たる。
 よく見ると拳くらいの大きさの石だった。

 周りに木々があり、ふと見上げるとたくさんの何かが木の上にいた。
 歩兵の誰かが叫ぶ!! 
「石猿だ!!」

「石猿て?!」
 私が驚いて聞くと、リンリンが教えてくれた。
「石猿は160cmくらいの大型の猿の魔物です。知恵があって手に石を持ち相手に投げ、弱ったところを集団で襲うと言われています。そしてその厚い毛に覆われた体は防御力が高く、力もあり攻撃力が高いそうです」

 その間にもつぶてが飛んでくる。

 ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!
    ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!
       ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!

 しばらく歩兵が盾で耐えると、つぶては飛んでこなくなった。
 手持ちの石が無くなったのだろう。
 それなら、次に来るのは…。



 キィ~!!キィ~!!キィ~!!キィ~!!キィ~!!
    キィ~!!キィ~!!キィ~!!キィ~!!キィ~!!
  キィ~!!キィ~!!キィ~!!キィ~!!キィ~!!
    キィ~!!キィ~!!キィ~!!キィ~!!キィ~!!キィ~!!

 書き声がしたかと思うと、たくさんの猿が木から降りて来た。
 あれが石猿。
 茶色の長い毛並み。
 体長は160~170Cmくらい。
 そして私達は囲まれてしまった。

 よく見ると50匹はいるかもしれない。
 
「完全に囲まれているね~」
 ミリアちゃんが他人事ごとのように言う。

 騎士団長アーガスと、補佐のコニーは呆然としている。
 そしてなにかブツブツ言っている。
「だから嫌だって言ったんだ」
「何が名誉の挽回をしてこいだ。ここは初心者向けの場所じゃねえよ!」

 指揮官がこれでは、統制が取れずみんなやられてしまう。

「さて、ここは私達の出番ね!」 
「ミリアちゃん、どうするの?」
 私は死ぬかもしれない場面なのに、不思議と落ち着いていた。

「私の言う通りに言ってね。風の魔法でみんなに声が届くようにするから」
「わかったわ」
 そういうと私は頷いて見せた。

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