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第7部 いざ男爵領へ

第53話 空間魔術師

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「いよいよ最後はこのパメラ様の出番ね」
 いつの間にか左目に、黒い眼帯を付けるようになったパメラさんが言う。

「吹き抜ける青藍せいらんの風よ、我が道を阻む愚か者に荒れ狂え」

〈〈〈〈〈 ウインドカッター!! 〉〉〉〉〉

 パメラさんが叫ぶ!!

 横幅2mくらいの半円状の風の魔法が飛んでいく!

 しかし遅い。
 魔法感知が出来る人なら気づかれてしまうだろう。

「やっはり使い勝手が悪いわ、この魔法は」
 パメラさんは言う。

「ついに右手の封印を解く時が来たようね」
 そう言いながら、左手で右手首を押さえ呪文を唱える。

「我は汝と契約を結ぶものなり、風を司る神よ複数の刃となりて、砂塵の嵐で埋め尽くせ」

〈〈〈〈〈 エア アロー!! 〉〉〉〉〉

「ドォ、ドォ、ドォ、ドォ!!」
       「ドォ、ドォ、ドォ、ドォ!!」
             「ドォ、ドォ、ドォ、ドォ!!」
       「ドォ、ドォ、ドォ、ドォ!!」
    「ドォ、ドォ、ドォ、ドォ!!」

 複数の風の矢を成型し、目標に放つ複数相手の魔法だった。
 辺り一面、木々が倒れ地面に穴が開く。

「シ~~~~~~~~ン!」

「右手の封印を解いたからかしら。やりすぎちゃった、テヘ」

(そんな封印、元から無いわい!これはどうしたんだ?パメラさんの魔力はここまででは、なかったはずだ。それにエアアローは冗談話の魔法だ)

 みんな唖然としている。
 しかし、これでは不味い。

「そ、それだと周りを巻き込むから、こんな感じで一発ずつ打てない?」
 俺は指を拳銃の形にして、一発ずつ打つ感じで「バン!バン!」と口で言った。
 
「こんな感じかな?」
 レッドキャップの魔石で作ったワンドを、空き地になった方に向け放つ。
「それ!」

「パン、パン、パン、パン!」

 おぉ、一発づつになってる。
 これなら使いやすそうだ。

「ねえ、エリアスっち。なにか名前を付けてよ」
「う~ん。エアガンかな」
「エアガンね、それでいいわ。エリアスっちに聞いた通り、魔法はイメージが大切だってわかったわ」
 あ、あれは冗談ですから。
「それに右手の封印を解くと威力が上がるのよ。左眼の邪眼を解放したら、さらに威力が凄そう」
 そ、それは気のせいです。
 封印も邪眼も元々ありませんから。
 でもパメラさんは雰囲気から入るタイプなのか、最近では右手首にサポーターの様なものを巻き左目に眼帯をしている。
 もう完全な中二病ですよ。


「あっ、それからこんな魔法が出来るようになったの。みんな私のそばに来て」
 パメラさんが言うので俺とオルガさん、ルイディナさんは側に寄った。

〈〈〈 神聖なる天使の翼を、螺旋の階段を登りて我に与えたまえ 〉〉〉

 パメラさんが呪文を唱えると空間が歪んだ。
 するとドアくらいの大きさで、その中は違う景色が見える空間が出来た。
「さぁ、みんな行こう!」
「パメラさん、これは?」
「大丈夫よ(多分)」
 俺はパメラさんに手を引かれ、4人でそのドアの空間をくぐった。

 一瞬、上下左右が分からなくなるような錯覚に見舞われた。
 目を開けてみると、そこには3日前に発ったはずのアレンの街の城門が見た。

 こ、これは。空間結合か。
「やった!やったわ、エリアスっち」
 パメラさんが俺に抱き着いてくる。

「エリアスっちの、言う通りにしたら出来たの。エリアスっちは良い先生ね」

 俺はパメラさんのステータスを見た。

 【スキル・鑑定】簡略化発動
 名前:パメラ・ドラード・セルベルト
 種族:人族
 年齢:17歳
 性別:女
 職業:空間魔術師
 レベル:17

【スキル】
 発展スキル風魔法:LV1
 ウインドカッター:LV1
 エアアロー:LV1
 エアガン:LV1
 空間結合:LV1

 俺はパメラさんに職業が、空間魔術師になっていることを説明した。


「空間魔術師?でもエリアスっちに空間を繋げると、一度行ったことがある町や村へ一瞬で行ける、て言われたから頑張ってイメージしたんだ」
 頑張ると、できるのだろうか?
「えらいね、パメラよく頑張ったね」
 オルガさん、ルイディナさんがパメラさんの頭を撫でながら褒めている。


 俺は自分のステータスを見た。
 思った通りだった。
 俺の時空間魔法ストレージがLV2(2/3)表示になっていた。
 2/3て、なに?
 やはり3人に使うと、LVが1下がるてことか?
 オルガさん、ルイディナさんも使えるかもしれないという事?

 そして新しいスキルがあることに気づいた。
【生存スキル】スキル譲渡:LV1
 やはり、譲渡できるのか。
 でも【生存スキル】てなんだ?

 考えても仕方ない。
 俺は嫁3人に時空間魔法を使えることを、話していないことに気づいた。

「パメラさん、元の場所に帰れそう?」
「多分、無理。気力が出ないもの」
 パメラさんを鑑定すると最高でMP70あるはずなのに20しかない。
 どんだけMP使う魔法なんだ。

 パメラさんの魔力が回復するまで、今夜はアレンの街に滞在することにした。

 俺達は戻ってきたことが分かると体裁が悪いので、フードを被りながら今まで泊まったことのない宿屋を探した。

 ふっ!
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