神の子扱いされている優しい義兄に気を遣ってたら、なんか執着されていました

下菊みこと

文字の大きさ
8 / 108

妹という立場を与えた

しおりを挟む
「…ゴッドリープ様、それはどういう意味でしょうか」

教徒の一人がオレに言う。

オレは余裕の表情で答えた。

「ちょうど最近、妹のような存在が欲しいと思っていたんだ。それも赤子ではなく、同じくらいの歳の頃の子供がいいと」

キューケンと名乗った幼子は、オレと歳の頃が変わらない様子なのでそういうことにしておく。

「なるほど、神のご配慮でキューケン様がパラディース教にいらしたのですね」

「うん。だからキューケン…いやさキューはオレの妹として預かる。オレの名の下に保護して、オレの妹として大事に扱うことにするよ。お前たち他の教徒とは違い特別扱いするが、どうか許しておくれ」

オレがそういえば、教徒たちがもちろんですと口々に答える。

キューは一瞬でも困惑した表情を浮かべたが、オレが助け船を出したことにすぐ気付いたようで何度もぺこぺこ頭を下げた。

…やはりキューは、賢い子らしい。最初の自己紹介や先手を打ち神の子でないと否定した時点でそんな気はしていたが。

「キュー、それじゃあおいで。兄様がキューに部屋と服と家具を与えてあげようね」

「はい、兄様」

やはり賢い。すぐにオレを兄様と呼んだ。

可愛い可愛いキュー。今この瞬間よりオレのお気に入り。そしてオレの妹。

教徒の背中から降り、オレの差し伸べた手を当たり前のように取る。

その小さな手は子供体温で、優しく握れば握り返してくる。

教徒たちはそのオレたちの様子を和やかに見守る。

「さあ、ここがキューの部屋だよ」

オレはキューに、オレの部屋の隣…両親の部屋の反対側の部屋を与えてやった。

「キュー、今日からこの部屋を使ってね。この隣がオレの部屋。そのさらに隣は両親の部屋だよ。オレの両親は元パラディース教の教祖。今はもういないから、オレが神の子兼天主…えっと、神の子はそのままの意味で天主はこのパラディース教で一番偉い人ね」

「はい、兄様」

キューは複雑そうな表情を浮かべた。

神の子、天主というオレの境遇。パラディース教を両親が開いたこと、その両親がもういないこと。

それらを憐れんだらいいのか尊敬しておくべきなのか迷っているのだろうな。

本当に賢くて可愛らしい子だなと思う。

「大丈夫だよ、キュー。オレは平気だ」

そう言ってキューの頭を優しく撫でれば、キューは嬉しそうに笑ってオレの手を受け入れた。

…なにこの可愛い生き物。純粋に愛おしいんだけど。

「教徒たちに命じて部屋を掃除させるよ。御用達のお店があるから、最高級の家具と服も今から呼び寄せて用意させるね」

少しだけ、そこまでしてもらっていいのかと戸惑う表情が見て取れた。

しかしキューの着ているものは高級なものなのが一目でわかる。

おそらくは良い家柄の娘だったのだろう。

であれば、オレの妹であることも考慮してより相応しいモノを用意してあげたいというのが兄心。

教徒たちに命令して部屋の掃除と商人への連絡をさせる。

「ゴッドリープ様、商人は昼過ぎには商品を持ってくるとのことです」

「そう。じゃあキュー、お昼を食べたら家具と服を買い与えてあげようね」

「うん、兄様」

頷く姿も可愛らしい。よくよく見れば、色だけでなく整った顔立ちも珍しい。ここまでの器量良しはなかなかいない。

「キューはいい子だね」

大人しくオレに従うキューを褒めれば、やはり嬉しそうに笑う。可愛いなぁ、可愛いなぁ。

妹なんぞに興味はなかったが、妹ということにして正解だった。

この可愛い生き物を愛でる口実になった。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

無能だとクビになったメイドですが、今は王宮で筆頭メイドをしています

如月ぐるぐる
恋愛
「お前の様な役立たずは首だ! さっさと出て行け!」 何年も仕えていた男爵家を追い出され、途方に暮れるシルヴィア。 しかし街の人々はシルビアを優しく受け入れ、宿屋で住み込みで働く事になる。 様々な理由により職を転々とするが、ある日、男爵家は爵位剥奪となり、近隣の子爵家の代理人が統治する事になる。 この地域に詳しく、元男爵家に仕えていた事もあり、代理人がシルヴィアに協力を求めて来たのだが…… 男爵メイドから王宮筆頭メイドになるシルビアの物語が、今始まった。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

面倒くさがりやの異世界人〜微妙な美醜逆転世界で〜

波間柏
恋愛
 仕事帰り電車で寝ていた雅は、目が覚めたら満天の夜空が広がる場所にいた。目の前には、やたら美形な青年が騒いでいる。どうしたもんか。面倒くさいが口癖の主人公の異世界生活。 短編ではありませんが短めです。 別視点あり

転生貧乏令嬢メイドは見なかった!

seo
恋愛
 血筋だけ特殊なファニー・イエッセル・クリスタラーは、名前や身元を偽りメイド業に勤しんでいた。何もないただ広いだけの領地はそれだけでお金がかかり、古い屋敷も修繕費がいくらあっても足りない。  いつものようにお茶会の給仕に携わった彼女は、令息たちの会話に耳を疑う。ある女性を誰が口説き落とせるかの賭けをしていた。その対象は彼女だった。絶対こいつらに関わらない。そんな決意は虚しく、親しくなれるように手筈を整えろと脅され断りきれなかった。抵抗はしたものの身分の壁は高く、メイドとしても令嬢としても賭けの舞台に上がることに。  これは前世の記憶を持つ貧乏な令嬢が、見なかったことにしたかったのに巻き込まれ、自分の存在を見なかったことにしない人たちと出会った物語。 #逆ハー風なところあり #他サイトさまでも掲載しています(作者名2文字違いもあり)

「白い結婚最高!」と喜んでいたのに、花の香りを纏った美形旦那様がなぜか私を溺愛してくる【完結】

清澄 セイ
恋愛
フィリア・マグシフォンは子爵令嬢らしからぬのんびりやの自由人。自然の中でぐうたらすることと、美味しいものを食べることが大好きな恋を知らないお子様。 そんな彼女も18歳となり、強烈な母親に婚約相手を選べと毎日のようにせっつかれるが、選び方など分からない。 「どちらにしようかな、天の神様の言う通り。はい、決めた!」 こんな具合に決めた相手が、なんと偶然にもフィリアより先に結婚の申し込みをしてきたのだ。相手は王都から遠く離れた場所に膨大な領地を有する辺境伯の一人息子で、顔を合わせる前からフィリアに「これは白い結婚だ」と失礼な手紙を送りつけてくる癖者。 けれど、彼女にとってはこの上ない条件の相手だった。 「白い結婚?王都から離れた田舎?全部全部、最高だわ!」 夫となるオズベルトにはある秘密があり、それゆえ女性不信で態度も酷い。しかも彼は「結婚相手はサイコロで適当に決めただけ」と、面と向かってフィリアに言い放つが。 「まぁ、偶然!私も、そんな感じで選びました!」 彼女には、まったく通用しなかった。 「なぁ、フィリア。僕は君をもっと知りたいと……」 「好きなお肉の種類ですか?やっぱり牛でしょうか!」 「い、いや。そうではなく……」 呆気なくフィリアに初恋(?)をしてしまった拗らせ男は、鈍感な妻に不器用ながらも愛を伝えるが、彼女はそんなことは夢にも思わず。 ──旦那様が真実の愛を見つけたらさくっと離婚すればいい。それまでは田舎ライフをエンジョイするのよ! と、呑気に蟻の巣をつついて暮らしているのだった。 ※他サイトにも掲載中。

悪役令息(冤罪)が婿に来た

花車莉咲
恋愛
前世の記憶を持つイヴァ・クレマー 結婚等そっちのけで仕事に明け暮れていると久しぶりに参加した王家主催のパーティーで王女が婚約破棄!? 王女が婚約破棄した相手は公爵令息? 王女と親しくしていた神の祝福を受けた平民に嫌がらせをした? あれ?もしかして恋愛ゲームの悪役令嬢じゃなくて悪役令息って事!?しかも公爵家の元嫡男って…。 その時改めて婚約破棄されたヒューゴ・ガンダー令息を見た。 彼の顔を見た瞬間強い既視感を感じて前世の記憶を掘り起こし彼の事を思い出す。 そうオタク友達が話していた恋愛小説のキャラクターだった事を。 彼が嫌がらせしたなんて事実はないという事を。 その数日後王家から正式な手紙がくる。 ヒューゴ・ガンダー令息と婚約するようにと「こうなったらヒューゴ様は私が幸せする!!」 イヴァは彼を幸せにする為に奮闘する。 「君は…どうしてそこまでしてくれるんだ?」「貴方に幸せになってほしいからですわ!」 心に傷を負い悪役令息にされた男とそんな彼を幸せにしたい元オタク令嬢によるラブコメディ! ※ざまぁ要素はあると思います。 ※何もかもファンタジーな世界観なのでふわっとしております。

せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません

嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。 人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。 転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。 せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。 少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。

処理中です...