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警告なんぞされましても

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「まあ、君の言いたいことはわかったよ。ただ、僕としてはもう一回余計なお世話をしなければならない」

「ええ…」

やっぱりわかってないじゃん。

「ねえ、君は自覚しているの?その刺青がなにか」

「兄様との約束の証」

それがどうしたのだろう。

「…それは君を縛り付けるものだ。それがある限り君はあの子から離れられない」

「それがどうしたの?そのための約束の証でしょう?」

ずっと一緒にいるための約束の証なのだ。

「いつか君が自立して自由になりたいと願っても、それがある限り許されないんだよ」

「そんなこと願わない。兄様の側がキューの幸せ」

押し問答になりそうだなぁ。

「酷なことを言うようだが、離れるならなるべく早く離れたほうがいい」

「キューは兄様から離れたりしない」

ほら、押し問答になってしまった。

「僕なら君にたくさんのお金と食料を持たせて、逃がしてあげられるよ」

「そんなこと頼んでない」

「その刺青も、今この瞬間消してあげられる」

「!」

私は急いで小指を隠す。

「だめ!これは兄様との約束の証なの!」

「それは君をあの子に縛り付ける鎖だ」

「いいの!やだ!やめて!消さないで!」

私が必死で抗議すると、お狐様はようやくやめてくれた。

「…わかった。君のそれは君が望むまでは消さない」

「一生望まない」

「わからないよ。それの意味を知ったら、逃げたくなるんじゃないかな」

さっきから意味深なことを言うばかりでちゃんとは教えてくれない。

「…キューもお狐様のこと、嫌いになりそう」

「ええ?どうしてだい?」

「善意だとしても押し付けがましいの!!!」

思わずお狐様相手なのにキレ散らかす。

憎まれたらどうしよう。

今のところ「押し付けがましい」という言葉にショックを受けてそれどころではなさそうだけど。

「押し付けがましいのか…そうか…」

今度こそ、ちゃんとわかってくれたかな。

そう思ったら、突然眠たくなった。

それを見たお狐様が目を閉じてごらんというから目を閉じる。

そうすると、夢ではなく兄様のいる現実に戻ってきていた。
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